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「土日の部活は常識」陰の推進者はあの人

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【3. 親は圧倒的に「土日部活動賛成派」】

では、親御さんはどうでしょうか。

そのタイプを分類してみると、A「やらせたくて存分にやらせている」が多いはずです。部活動に所属している子供が多数派で、かつ土日祝も実施しているのが常識なのだから、論理的に考えるとそうなります。もし、やらせたくて存分にやらせているのでなければ、子供が辞めたいというのを無理にやらせていることになりますが、それは自己主張をそれなりにする中高生相手には難しいでしょう。つまり、「週末を含めた部活動を支持する層」親が最も多いと思われます。

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親の部活動に対する気持ち

子供が行きたくて行っていて、その間は、親も自由な時間ができる。スポーツクラブだったら1回何千円、月に数万円かかるところが、何と「無料」&「時間無制限」。反対する理由は何もありません。

もし「土日の部活をなくす」と言ったら、親御さんから大反対運動が起きても不思議ではないでしょう。子供の側はといえば、部活を楽しみながらも内心はたまに休みたいと思っているので、きっと反対運動までは起きません。その点で、一部の熱心な親御さんは、土日部活動の陰の推進者といえるかもしれません。

教師は週末も働く(部活顧問)のが常識なのか?

【4. 部活動の土日祝日実施は「常識」というロジック】

顧問、子供、親。3者の立場で見てきましたが、これらを総合的に考えると、やはり現在の日本では部活動の土日祝日実施は「常識」「当然」となりそうです。とりわけ子供と保護者のニーズが高いので顧問の側は熱意の有無に関係なく、やるしかない。事実上、選択の余地は残されていません。

子供も保護者も歓迎する土日の部活動→子供を育てるのが教員(顧問)の仕事→よって、土日もやるのが当然。

何もおかしな点はないように見えます。

しかし、ここで立ち止まって考えてみます。「常識の前提」におかしな部分はないでしょうか? 論理に穴はないでしょうか? あります。抜けているのは、ずばり「教員の勤務時間」という視点です。

教師は生徒に何かあれば「24時間対応すべし」という理想はわかりますが、物理的に難しいこともあります。また、教師という仕事は、勤務先(自治体や学校法人など)との「契約」で成立しています。

勤務時間内はもちろん、週末も個人の好き嫌いに関係なく仕事に従事するということは、大げさに言えば、自分の生命としての時間の「切り売り」をする行為といってもいいかもしれません。時間の重要性を甘く見てはいけません。時は金なり、どころか、お金よりはるかに価値があるのが時間なのだと、私は考えています。

経済的な富など全てを手に入れたように思える人でも、最後の最後に欲しがるのは「時間」だと言います。働き詰めに働いて地位と財産を築いた人物が、最後には口を揃えて「子供が小さかった頃にもっと○○する時間があれば……」といった発言をすることからも、時間にはプライスレスな価値があると言えるでしょう。

世の中には教師=聖職者というイメージがありますが、教員は決して聖人などではなく、ごく普通の人間です。平凡な人間です。だから、限界はあります。

平日も遅くまで働いて、土日も“滅私”して部活の顧問として無理に働き詰めれば、疲労は蓄積し続け、そのうち倒れてもおかしくないでしょう(教員という職業を選んだ性質上、真面目な人が多く、結果的に本当に倒れてしまう人が多いのです)。

週末の試合に勝っても負けても、顧問は大変

むしろ、辛抱強い人でもいずれストレスが爆発して、その負のエネルギーが子供にぶつけられることもないとは言えません。例えば、よく問題となる体罰はそうした熱意と疲労が歪んだ形で出現した、と捉えられるケースもあるかもしれません。爆発が自分に向けば、若くして精神疾患による退職、最悪は死に至る可能性もあります。

死ぬほど部活そのものに苦悩するかどうかは人によりますが、少なくとも本来あるべき時間を削られるのは間違いありません。他にもやるべきことがある人間にとっては、常識としての土日祝日休みなしの「半強制勤務」は害悪の方が大きい、と胸の中で思っている教師は少なくないでしょう。

仮に倒れない場合も、顧問本人の家庭やプライベートにしわ寄せがいっている可能性は大です。

【5. 顧問を一人の親、一人の人間として見つめると……】

もし自分が親の立場で、子供が土日両日に部活動に行っている間、解放されている気分の人がいたら、どうか顧問とその家族にも思いを馳せて欲しいと思います。

顧問に小さい子供がいても、妻に丸投げか、子供がどこかに預けられているパターンが多いのです(中高の部活動の顧問は、男性が7~8割と圧倒的多数です)。

その子は「うちのお父さんは、きっと僕(私)のことはどうでもいい」と心のどこかで思っているかもしれません。奥さんも、同じように思っているかもしれません。不憫なのはそう家族に思われている顧問の教員自身も、自分の時間がほとんどないということです。いつ家族とゆっくり過ごせる日が来るのか、見通しは暗い。

何といっても、来週もその次も、試合の日まで休日はずっと部活。なら休めばいいといわれますが、下手に休めば周り(特に保護者)が黙っていません。もし休んだ後で次の試合に負けたら、何を言われるかわからない。そう心情を吐露する教師もいます。

そして無事試合に勝てば、次の休日も部活の試合です。そういった犠牲の上に、今子供が土日に通う部活動が成り立っていないかどうか。週末の部活は当たり前という「常識」を今一度見つめ直す機会を、親子間や顧問と親の間で持ってもいいのかもしれません。

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