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60年間の政策が失敗、「もんじゅ」は廃炉に。フランスと協力して開発進める高速炉も実用化の見通しはほぼなし

発電開始後4ヵ月目に火災発生
20年で発電量は14日分のみ

2016年12月21日に政府は高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を決定した。廃止の理由を政府は明らかにしていないが、開発の成果が得られそうにないこと、わずか8年程度の運転のために最低でも6000億円の追加費用が必要であり、国民の納得が得られないとの判断が働いたと考えられる。

日本の原子力開発の中核と位置づけられてきた「もんじゅ」は、核の巨大なエネルギーを知恵で制御したいと文殊菩薩にあやかって名づけられた。燃料を消費しながら、消費した以上の燃料を新たに生み出していく「夢の原子炉」として期待され、開発に成功すれば、エネルギー資源は1000年にわたって確保できると誇大に宣伝された。1956年に制定された日本で最初の「原子力開発利用長期計画」では増殖型動力炉の国産に目標を置くとされ、以来60年にわたってその「夢」を追い続けてきたのだ。

ただ、世界でもこのタイプの原発は未だ実用化されていない。技術的に非常に難しく、多くの国が撤退した。「もんじゅ」も実用化2段階前の原型炉で、発電システムとして機能できるかを確かめるための原子炉だった。

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「もんじゅ」は1983年に建設許可がおり、福井県敦賀市の白木地区に建設された。建設は85年に始まり、95年8月に初の発電に成功。しかしそのわずか4ヵ月後、40%出力で発電中にナトリウム漏洩・火災事故を起こした。それまでの発電量はフルの連続運転に換算すると14日分程度。以来1ワットも発電することなく20年以上も運転停止状態だった。途中、2010年には出力ゼロで試験運転を再開し、成功したが、2ヵ月後に燃料交換機で事故が起きて再び停止に追い込まれた。

この20年の間に開発に携わった人は退職していき、また、電力会社やメーカーも運転の見通しの立たない設備に見切りをつけ支援を減らしていった。そして昨年11月、ついに原子力規制委員会から、今の所有者(日本原子力研究開発機構)には運転を任せられないと烙印が押されてしまった。組織と設備の両面の劣化により、運転再開は望めない状態だった。

費やされたお金は1兆円以上
今後30年をかけて廃止措置

 停止期間中も維持管理のために毎年200億円程度を浪費。これまでに建設費を含めて1兆円以上が使われてきた。機構は、30年ほどかけて廃止措置を行い、炉内の燃料取り出しを優先して進めるとしている。原発は建設も大変なうえ、事故が起きたらその影響が極めて深刻なことを福島事故で思い知ったが、廃止するにも相当の時間と3800億円以上の費用がかかる。特に放射能への厳格な対処が求められ、安易に捨てることも再利用することもできない。

 60年間の政策が失敗に終わったが、政府は、「もんじゅ」に代えて高速炉の開発をフランスと協力して進めていくという。高速炉は増殖炉と原理的には同じタイプの原子炉だが、増殖機能がなく、燃料は消費するだけ。 政府は、相当先には国内に高速炉の実証炉(実用化の1段階前)を建設したいようだが、高速炉なら開発が楽かと言えばそうではない。このタイプも実用化されたものは世界にまだ1台もない。フランスも高速実証炉計画を打ち上げてはいるが、まだ建設許可が出ていない。費用調達も難しく、原子力の専門家ですら破綻していると指摘している始末だ。

 ところで、高速炉開発では「資源小国の救世主」という理由が通用しない。そこで新たに登場したのが「長寿命の放射性廃棄物の量を減らすことができる」という理由だ。フランスでは増殖炉の廃止後、その理由で高速炉開発を進めている。日本も真似をしているのだ。

 しかし、廃棄物を減らす研究は30年も前から行われているが、成果をあげていないし、実用化の見通しがない。その上、仮に量を減らしても放射性廃棄物の処分が避けられず、実利がない。 高速炉開発は、つまるところ、政策変更の影響を最小限に抑えたいための方便のようだが、多額の費用をかけて開発を進めるより、高速炉開発から撤退する英断こそが求められる。

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2016年12月に福井県で行われた「もんじゅを廃炉へ!全国集会」

(2017年2月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 304号より)

伴 英幸(ばん・ひでゆき)

1951年、三重県生まれ。原子力資料情報室共同代表・事務局長。79年のスリーマイル島原発事故をきっかけとして、脱原発の市民運動などにかかわる。89年脱原発法制定運動の事務局を担当し、90年より原子力資料情報室のスタッフとなる。著書『原子力政策大綱批判』(七つ森書館、2006年)

リンク先を見る原子力政策大綱批判―策定会議の現場から
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