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ウッズも驚いたトランプ氏の飛距離、かつてはオバマ・ゴルフを痛烈批判 - 佐々木伸 (星槎大学客員教授)

 トランプ米大統領は先週末、日米首脳会に続いて安倍首相をフロリダの別荘に招待し、究極の“接待ゴルフ”を世界中に披瀝した。同氏は翌日も首相を見送った後、1人で再びプレー。だが、トランプ氏はかつて、オバマ前大統領を税金を使ってゴルフ場に通っている、と繰り返し非難した経緯があり、自分に甘い権力者の姿を垣間見せている。

“70歳にしては凄い飛距離”とウッズ

 それにしてもトランプ氏のタフさには頭が下がる。1メートル90センチ、110キロというプロレスラーのような体格だけにそれもむべなるかなとも思うが、ゴルフの腕前はシングルだ。

 特にその飛距離はプロ級だ。昨年12月24日のクリスマスイブに、トランプ氏や彼の息子、孫と一緒にプレーしたプロゴルファーのタイガー・ウッズは自身のブログで「大統領は70歳にしては素晴らしい飛距離だ。攻撃的なゴルフだった」と感心しきりだった。

 トランプ氏の別荘「マールアラーゴ」はフロリダ州の保養地ゴールドコースト沿いのパームビーチにある。別荘の近辺に同氏は2つのゴルフ場を所有。ウエスト・パームビーチの「トランプ・インターナショナル」と近くのジュピターにある「トランプ・ナショナル」だ。

 安倍首相とは11日に「トランプ・ナショナル」で18ホールを回り、この時は全米、全英オープンの優勝経験者である南アフリカのプロゴルファー、アーニー・エルスも一緒にプレーした。昼食後にトランプ氏は今度は通訳だけを連れて首相と2人だけで「トランプ・インターナショナル」を9ホール回った。プレー後にトランプ氏は「首相を良く知ることができた」と語っている。

 いずれも報道関係者を完全にシャットアウト。首相との写真はトランプ氏がツイッターに掲載したものしかない。トランプ氏は首相が帰国の途についた12日も再び「トランプ・インターナショナル」を1人で5時間プレーした。先週も同じゴルフ場で友人らと4時間半プレーしている。

 トランプ氏はかつて「食事をするよりもゴルフをすればその人物がより分かる」「取引ができるヤツとしかゴルフはしない」などとゴルフを商売に利用していることを明らかにしているが、一方でオバマ前大統領の在職中のゴルフを5年間に渡って痛烈に批判していたことでも知られる。

 例えば2014年10月13日の批判は厳しい。「米国が困難な問題に直面している時にオバマ大統領が1日中ゴルフに興じているなんて信じられるか」「エボラ出血熱対策を話合う会議のために世界中から人が集まってきているのに大統領はゴルフをすることを決めた」「われわれは税金で彼のゴルフプレーをまかなっている」

 トランプ氏が前任者を批判しておいて自らゴルフに熱中していることに米メディアや識者は批判的だ。ブッシュ政権の元高官によると、トランプ氏のゴルフが宣伝されることにより、「マールアラーゴ」やゴルフ場の価格が上がり、また外国の指導者らに対して、トランプ氏と親交を結びたいなら同氏の施設を利用すべきだというメッセージを発信することになる、という。

 確かにトランプ氏が大統領に当選した後、「マールアラーゴ」のリゾート施設への入会金が2倍の20万ドルに跳ね上がっているという。ホワイトハウスはフロリダの別荘を「冬のホワイトハウス」と称しており、同元高官は私的な利益のために公的施設を使っている良い例ではないか、と指摘している。

米国旗と紋章外す

 こうした批判を意識してか、トランプ氏は安倍首相とのゴルフ場への移動に使った大統領専用車「ビースト」の前部に取り付けてある米国旗を外し、また車のドアに通常付けられている大統領の紋章もはがした。首相とのゴルフがあくまでもプライベートであることを示すための措置だった。

 トランプ氏にこうした公私混同の批判が出るのは、同氏には常にビジネスなどとの利益相反や公職者に不可欠な倫理観の欠如が散見されるからにほかならない。娘イバンカ・ブランドの商品購入をめぐる騒動はその恒例だ。

 イバンカさんはファッション・ブランド「イバンカ・トランプ」の商品を販売しているが、高級百貨店ノードストロムが最近、同商品の販売中止を決定した。これに怒ったトランプ氏は2月8日「イバンカは極めて不当な扱いを受けている。ひどい」と、大統領の職権乱用とも受け取られかねないようなツイートを発信。

 さらに大統領の信頼の厚さを売り物にするコンウエー大統領顧問が悪のり。テレビ出演で「買い物嫌いの私も今日何か買う。みんなも買って。オンラインでも買えるから」と、イバンカ商品の購入を視聴者に呼び掛けた。

 米国では、政府職員は公的立場で友人や個人的な利益を図ってはならないと倫理法で定められており、同顧問の行動はこれに違反する疑いが濃厚。このため議会の指摘を受けた政府倫理局が倫理規定に違反していないかどうかについて調査を開始したばかりだ。

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