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司法修習生の給費制廃止問題

司法修習生への給費制が廃止されるが、その前提となる事実関係の実態調査は、間違っており、このままの制度を続けるのであれば、この業界に優秀な人材は、来ない可能性が高まったといえる。

1 収入調査の実態と現実 

先日、給費制を廃止するのに、法曹の養成に関するフォーラムが公表した5年目の弁護士の収入調査などで、5年目が2000万円超の所得があるなどとの結果が話題に上ったが、この調査自体が、統計の母集団の取り方に問題がある点を全く無視している。

この手の調査は日弁連によって行われてきたが、その当時でも一部の派閥に属しているなど付き合いでアンケートに回答する層を除けば、ほとんどが回答していない。ましてや苦労している弁護士はほとんど回答していない。実際、法曹の要請に関するフォーラムが主催したアンケートの回答の回収率は13.4%である。一方で、大手事務所の勤務弁護士でも、賞与部分を入れてもこの数値に届かない方も多くなっているほか、事務所全体の経営状況から、リストラのため退職勧奨をされている例も見受けられる。

小職は、事務所を変えようと考える方の相談に乗ってきた経験上強く感じるものがあり、弁護士の収入調査の信憑性に疑問を抱かざるを得ない。

2 法科大学院での学費と貸与制となった場合の返済原資を確保できる保証はない。

年々悪化する内定率低下も、給費制を廃止しても返済できるというモデルが虚偽であることが分かる。日弁連の2011年の司法修習生の就職未定率は、43%となっている。ここまで下がると寧ろ本人の能力だけを批判するにはやや躊躇を覚える。

既に、大学の新卒の内定率を下回っているのだ。このような状況下で、給費制を廃止した場合、自分ですぐに独立して、この返済を行うことになるが、別のキャリアがある限られた恵まれた環境にある即独立の事例を除けば、学生から司法試験を受けすぐに登録したばかりの弁護士に相談したいと思う依頼者はそれほど多くはない。

ましてや、企業のクライアントが付く可能性はほとんどないのが現実である。そんなに甘い世界ではない。 以上を前提とすれば、給費制の廃止により、返済が確実にできる保証は全くない。下手をすれば、弁護士登録時に1000万円以上の借金をかかえ、自己破産に陥る事例も出てくるかもしれない。

こんな職業をこれから目指そうとする人はどれだけいるだろうか。1000万円をどぶに捨てて、失業者になり、破産もする可能性がある。一方で、成功しないとは言わないが、成功する確率はそれほど高くない。それでも、優秀なあなたはこの業界に来ていただけますか?

もちろん、財政が悪化する中で、弁護士だけ手厚く保護しろというつもりはない。給費制を廃止するなら、司法試験の受験資格から法科大学院の卒業を外せばいい。予備試験組と法科大学院組とどちらが優秀な人材を輩出できるか自由競争の制度の構築といった前向きな議論はできないのだろうか。

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