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大麻政策に見直しの波?

大麻は、地球上でもっとも広まっている薬物で、世界薬物報告書の推計によると、2009年の世界での大麻使用者は1億2500万人−2億300万人、世界の15-64歳人口の2.8%−4.5%に当るといいます。同じく世界中に広まっているアンフェタミン類(メタンフェタミン、アンフェタミン、メトカチノンなど)の使用者が1400万人−6400万人と推計されているのと比べて、大麻の使用者は圧倒的に多くなっています[1]。

これほど広まってしまった大麻をどのように管理していけばいいのか、このところ、欧米社会では議論が続いていますが、折から、オランダとアメリカから、相次いで大麻政策に関するニュースが届きました。

ここでは、ニュースを通じて最新の動きを把握するとともに、いま欧米で議論されている大麻政策の大きな流れについて、簡単なまとめをしてみたいと思います。

(1)高THC大麻への規制強化|オランダ

10月7日、欧米のメディアはいっせいに、オランダが高THC大麻に対してハードドラッグ並みの規制策を適用するというニュースを掲載しました。

オランダでは大麻は規制薬物とされていますが、1970年代から大麻に対して独自の寛容政策をとっており、大麻を他の薬物と切り離して「ソフトドラッグ」と位置づけ、使用者による少量の所持を処罰せず、また一定条件の下で認可されたコーヒーショップでの大麻販売を許容してきました。

ところがこの数年、コーヒーショップに対する政策に大きな変更がありました。国境を越えて大麻を買いにくる外国人の増加など「大麻購入ツアー」が国際的な批判の的になり、また、国境地帯での大型店増加から、周辺の治安への影響も指摘されていました。2009年、オランダ政府はコーヒーショップ政策の見直しに着手し、外国人客の入店制限や店舗の小型化など、方向転換を示していました[2]。

今回の発表はこれに続くもので、コーヒーショップで販売される大麻のほとんどを占めてきた高THC品種を「ハードドラッグ」として規制するというものです。「オランダ産大麻」としてブランド品扱いされてきた品種のほとんどが、他の薬物と同じように規制されることになります。

<ニュースから>*****
●オランダは高THC大麻の分類見直しへ

オランダ政府は、強力大麻をハードドラッグと同じカテゴリーにしようとしている。大麻に含まれる有効成分のTHCの濃度があがったことで、大麻は一世代前のものよりはるかに強力になっている。

近く、15%以上のTHCを含むものはすべて、コカインやエクスタシーと同じハードドラッグとして扱われることになる。この変更は、コーヒーショップにとっては人気の高い高THC品種の販売見合わせということになり、在庫品の80%が効力の弱い品種への切り替えを迫られ、コーヒーショップは大きな打撃を受けることになる。

この変更によって、オランダが伝統的にとってきた大麻に対する寛容政策は、過去のものとなる。

強力大麻に対する禁止措置は来年から導入されると予想されている。また来年にはオランダ政府は、旅行者のコーヒーショップへの入店を禁止することも計画している(記事の大意)。(BBCニュース2011年10月7日)[3]
******
■出典
[1]国連薬物犯罪事務所編『2011年版世界薬物報告書World Drug Report 2011』25ページ
[2]オランダ保健・福祉・体育省のサイト内記事
Government to scale down coffee shops(11 September 2009)
http://english.minvws.nl/en/nieuwsberichten/vgp/2009/government-to-scale-down-coffee-shops.asp
[3]BBCニュース>Dutch to reclassify high-strength cannabis(7 October 2011)
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-15225270BBC

[サイト内の関連記事]

■オランダのコーヒーショップは旅行客締め出しへ向かうか(2010/12/16)
http://33765910.at.webry.info/201012/article_11.html
■コーヒー・ショップはなぜ削減されるのか|大麻供給店の問題(2010/02/11)
http://33765910.at.webry.info/201002/article_11.html
■コーヒーショップはなぜ削減されるのか2|大麻供給店の問題(2010/02/11
http://33765910.at.webry.info/201002/article_12.html

次回へ続きます

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