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「マインドフルネスによって“正しく休む”ことが生産性を高める」精神科医・久賀谷亮氏インタビュー

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「しっかりと休んでやるべきことをやる」があるべき姿

BLOGOS編集部

―日本では長時間労働が問題になっていることから、生産性の向上が叫ばれています。生産性向上に、マインドフルネスは有効だと思われますか?

実際に、そういうデータもあるので、有効なことは間違いないと思います。ダラダラ長くやるのではなく、生産効率を上げるために、マインドフルネスが役に立つでしょう。

ただ、注意してもらいたいことがあります。多くの日本人は勤勉で努力家で、自分を追い詰めていくのが好きですよね。なので、おそらく、マインドフルネスの要素の中でも、「生産性」「集中力」といった部分にばかりフォーカスしてしまっていると思います。

確かに生産性も向上させなければいけないのですが、「しっかりと休みをとりながら、やるべきことをやる」というのが正しい姿でしょう。なので、マインドフルネスを導入する際にも、「正しく休む」という視点で取り入れて欲しいと思います。生産性にばかり焦点をあてると、これまでの日本人の考え方の二の舞いですよね。

―確かに日本では「うつ病は甘え」といったような言説が、今でも一部に見られます。

「弱い」「怠けている」といった精神論に原因を求める言説もありますが、実際には、脳の中で起きている現象が原因なので、その人の性格は関係ありません。実際、日本はうつも自殺も多い国ですが、あまりに自分に厳しすぎますし、自虐的なので、そうした根性論、努力論というのはなくしていいと思います。

実際に、マインドフルネスを実践している方の感想を聞いていると、自分を追い詰めすぎる日本人の気質が透けて見えます。「きちんと出来ているかどうか」「どうしたら成果が出るか」「まだか、まだか」となっている方が多い。

そこで皆さんに気づいていただきたいのは、「うまく続かないのであれば、そこに気づいただけで1歩前進じゃないか」ということです。マインドフルネスは継続性が重要ですし、葛藤している過程で、問題に気づいただけでトライした価値があったと考えるべきです。

まずは5分、あるいは1分でもよいので、とにかく続けてみてほしいです。多くの方が、”正しい”やり方を追求しようとするのですが、正しくなくてもよいので、継続することが重要です。そのために、「1日の決まった時間にやる」「誰かと一緒にやる」いった工夫をすると良いと思います。

瞑想を行うときは、呼吸に注意を向けて、「1、2…」と10までカウントしていきます。10まで言ったら、また1にもどってカウントしていく。もし、呼吸に注意を向けることが、「どうしても自分に合わない」ということであれば、体の感覚や周囲の音といった他のものに注意を傾けることにトライしてみることもお薦めします。すべての人にとって呼吸に注意を向けることが最適なわけではないので、試行錯誤をしてみると良いでしょう。

―最近、日本では『嫌われる勇気』というアドラー心理学の書籍がベストセラーになっていますが、その中でも、「過去や未来ではなく今に集中すべき」といったエッセンスが出てきます。これはマインドフルネスの考え方に非常に近いのではないでしょうか。

それは非常に面白いポイントですね。私もアドラー心理学の本を読みましたが、医学の世界で「認知療法」と呼ばれるようなエッセンスも入っていると感じました。

また、『嫌われる勇気』というタイトルが示すとおり、いわゆる承認欲求や自己肯定感が非常に大きなテーマだと思います。これは、先ほどから話題に上がっている”日本人的な気質”、つまり非常に自分を追い込んで、ゴールに対して根性で向かって行くといった自虐的な態度と関連があるのではないでしょうか。つまり、もう少し自分に優しく、自分を高評価出来る、自己肯定感を持てるようになっていいと思うのです。

アドラー心理学が日本でブームになっていることは、これまで良しとされていた日本人的な気質を見直すタイミングが来ているとも考えられます。そして、脳科学の見地からも、もう少し自分に優しくしてあげた方がよいと私は考えています。

<プロフィール>

BLOGOS編集部
久賀谷亮:医師(日・米医師免許)/医学博士(PhD/MD)。
イェール大学医学部精神神経科卒業。アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。




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