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日本の債券先物の建玉が10兆円台に復活した理由

 2月3日に大阪取引所に上昇している長期国債先物の中心限月の建玉が10兆円を回復した。債券先物の建玉が10兆円台を越えたのは2016年2月4日以来となる。この日付けを見てピンと来た人もいるのではなかろうか。この数日前となる1月29日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利付き量的・質的緩和の導入を決定していた。

 昨年1月29日に日銀が決定したマイナス金利政策により、その後の国債の利回りは20年ゾーンあたりまでマイナスとなってしまった。債券市場では日銀のマイナス金利政策による国債利回りのマイナス化を受けて参加者が減少し、その結果として債券先物の建玉も減少していったのである。

 国債の利回りのマイナス化により、銀行や年金や生保などの資金運用に支障を来すようになり、日銀のマイナス金利政策に対して金融機関からも批判が相次ぐようになった。三菱東京UFJ銀行は国債市場特別参加者制度の資格を返上したが、これも国債利回りのマイナス化が影響していたといえる。

 こうした金融機関などからの批判を受け、日銀は総括的な検証を行うとともに昨年9月に長短金利操作付き量的・質的緩和政策を決定した。これまで日銀は操作できないとしていた長期金利を操作対象に加えたわけであるが、この政策の目的はマイナス金利政策の修正と言えた。

 つまり国債のイールドカーブをある程度スティープ化させて、金融機関の資金運用をやりやすくさせることが目的となったのである。これを受けてマイナスに沈んでいた10年国債の利回りがプラスに浮上し、債券市場での売買高も回復基調となった。債券市場の機能が回復し、それを示す象徴的なもののひとつが、この債券先物の建玉の10兆円台回復と言える。

 しかし、問題はこれからである。債券市場を取り巻く環境は改善しつつある。世界的な過度のリスク要因は後退し、原油価格の上昇もあり、欧米を中心に物価はしっかりしてきた。FRBの利上げとその背景にある雇用の改善等で米長期金利は2.5%近辺まで上昇してきた。日本の金利も上昇圧力が強まりつつある。そのなかにあって日銀は長期金利を国債の買入オペの調節で抑えようとしているが、その調節は容易なことではない。2月3日に日銀は指し値オペを実施したが、これは頻繁に使えるものでもない。債券市場の機能が回復すればするほど、市場を無理矢理押さえ込むには無理が生じることにもなるのである。

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