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処方履歴の管理|偽造処方せん事件3

処方薬乱用が深刻な社会問題になっているアメリカでは、患者ごとに医薬品の処方履歴を管理する「処方薬監視システム」データベースの構築が進んでいるといいます。データベースには、患者1名ごとに過去の処方履歴が登録されており、医師や薬局が、履歴を確認したうえで医薬品を処方することで、異なる医療機関による重複処方や、不正な入手を防ぐことができるというものです。医師や薬剤師が不審な履歴に気づけば、当局に連絡することになっています。

ピル・ミル(クスリ工場)と呼ばれるほど、強力な鎮痛剤などの処方せんを乱発する診療所が集中し、全米の処方薬問題の震源地といわれてきたフロリダ州でも、ようやくデータベースが稼動し始めたというニュースが、9月はじめに報道されていました。全米で36番目の、処方薬追跡システムの誕生です。

患者のプライバシー保護、医師や薬局の負担増などとともに、馬鹿にならないコストも、このシステム導入の障壁となってきました。フロリダ州の場合、データベースの立ち上げと最初の1年間の運用費用に当てられた予算は、約108万ドル(約8380万円)。州によっては、薬局や製薬会社からの協力金で運用している例もありますが、フロリダ州では連邦の助成金や個人からの献金で予算を調達しているとか。

[参照]
(1)各州での処方薬監視システムについて(米司法省)
STATE PRESCRIPTION DRUG MONITORING PROGRAMS
http://www.deadiversion.usdoj.gov/faq/rx_monitor.htm

(2)CBSニュース/フロリダ州処方薬データベース稼動のニュース
Fla. prescription database goes into operation(September 2, 2011)
http://www.cbsnews.com/stories/2011/09/02/ap/tech/main20101044.shtml

ところで、日本でこうしたシステムを運用することができるかと考えてみると、意外にも、アメリカと比べて、はるかに簡単に導入可能な状態であることに、あらためて気づきます。
まず、日本では、健康保険組合にすべてのレセプトが集約され、基本的には患者1名ごとに管理されているはずです。現在では、ほとんどのレセプトが電子データで管理されていることでしょう。健康保険組合単位で、加入者の処方履歴をチェックすることなら、すぐにでも実現できそうな気がします。予算は、ごくわずかなものでしょう。

考えてみれば、処方薬の重複処方・過剰処方や、不正入手などで、もっとも被害をこうむるのは健康保険組合ではありませんか。患者は薬局で代金を支払いますが、患者の負担は通常は薬品価格の3割で、残りの7割を負担しているのは健康保険組合です。もし加入者が必要のない薬品を入手すれば、保健組合にその代金の7割を無駄に出費させることになるのです。
仮に7万錠のデパスを不正に入手した場合に、健康保険組合が受ける損害を計算してみましょう。デパス1ミリグラム錠の薬価は1錠あたり15.6円、7万錠で109万2000円。この70%を組合が支払うとして、76万4400円。これが組合の損害額なのです。

処方薬の重複や過剰をチェックし、加入者が使う医薬品を適正な範囲にとどめる努力は、加入者の健康管理の点でも、組合の財政管理の上からも、意味のある仕事ではありませんか。処方薬の過剰処方や不正入手の問題への取り組み、薬局や薬剤師さんたちだけでなく、健康保険組合の問題として見直してみることも必要ではないでしょうか。

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