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合法ハーブという商品|2011脱法ドラッグ問題1

このところ、私は相次いで、脱法ドラッグ関連の取材を受けています。大麻そっくりの効き目を売り言葉に、大都市圏を中心に広がり続けている脱法ドラッグ。最近では「合法ハーブ」などと呼ばれる、こうした商品の存在が社会の注目を集め始めているようです。
当ブログでは、脱法ドラッグ、とくに「合法ハーブ」と呼ばれる喫煙ミックスの問題について、2009年以来、多量の情報を取り上げてきましたが、この辺で中間まとめをしておきたいと思います。過去記事の情報を整理し、また2011年の状況を踏まえて、脱法ドラッグの現況を考えていきます。

まず、アメリカから、今年6月イリノイ州で起きた交通事故の話題から。突然暴走した乗用車が住宅の壁を突き破って子ども部屋を撃破、幸い子どもは無事でしたが、運転していた19歳の少年は死亡しました。

事故の直前、少年は地元のショッピングセンターで「アイアロマ」という商品を買ったといいます。これは「ポプリ」と称して販売されている脱法ドラッグで、アメリカではいま「合成大麻」と呼ばれて青少年に広まり、社会の関心を集めています。
8月10日付けのCBSニュースは、この話題を取り上げ「合成大麻とは何だ」という記事を掲載しているので、紹介します。



↑CBS "Synthetic marijuana" blamed for teen's death: What is it?


<記事の概要>
合成大麻を吸ったことがあるという死亡した少年の友人は、「最悪の経験だった、発作を起こし、記憶はぶっ飛び、死ぬかと思った。」と語る。
インターネットの販売サイトなどでは「アイアロマ」など多数の大麻もどきの喫煙製品が「ポプリ」などと称して売られている。これら製品には大麻の有効成分であるTHCに似た成分(合成カンナビノイド)が含まれている。救急医療にあたる医師は、合成カンナビノイドは、幻覚やパラノイア、パニック、吐き気などを起こすことがあり、また血圧の上昇や致死性の発作に至ることもあると注意を促す。
こうした合成カンナビノイドが野放しになっているのはなぜか。当局は成分を検査しては1種ずつ禁止措置をとっているが、翌日にはもう新しい成分が登場しているのが現実なのだ。

[出典]
CBS>●"Synthetic marijuana" blamed for teen's death: What is it?(August 10, 2011 2:08 PM)
http://www.cbsnews.com/8301-504763_162-20090732-10391704.html?tag=mncol;lst;2

「ハーブ」と称する脱法ドラッグ



ビデオに映し出された商品の数々、これと類似のものがいま日本でも「合法ハーブ」などと称して販売されています。1パックに1から3グラム程度の乾燥植物片がはいって、日本での販売価格は4〜5千円ほど。「ハーブ」「お香」などと呼ばれ、「人体に摂取するものではありません」などと表示されていますが、購入者する人たちは、これが大麻に似た作用を持つ脱法ドラッグだと知っているのです。

こうした商品を売るのは、インターネット上の販売サイトや、ヘッドショップと呼ばれる店舗。また最近では「合法ハーブ専門店」「合法ハーブカフェ」などとうたう店舗も出現し、店内に設けた休憩スペースで購入したハーブを喫煙する光景もみられるといいます(8月3日付け週刊SPA!「OLがズッポリはまる“脱法ドラッグ”カフェ」8月3日(水)18時43分配信)。

幻覚作用を売り物にする植物系の喫煙ミックスは、脱法ドラッグの市場では、以前から「ナチュラル系」などと呼ばれて一定の地位を占めていましたが、その内容に変化が見え始めたのは2006年ころ、始まりはヨーロッパでした。「スパイス」の商品名で販売される喫煙ミックスが、「大麻そっくり」の使用感が味わえるとして、ユーザー間のクチコミで急速に広まり始めたのです。

↑スパイス商品の一例(写真はDEA)


急速な拡大とともに使用者の健康被害の報告も増え始めましたが、植物に含まれる幻覚性物質によるものとは異質な症例に、専門家は戸惑ったといいます。
この種の商品に科学のメスが入ったのは、2008年末のことでした。ドイツとオーストリアの研究チームが、「スパイス」商品に合成カンナビノイドが添加されていることを突き止めたのです。

合成カンナビノイドとは、大麻の有効成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)に類似した化合物で、人工的に合成されたものの総称です。1960年代に大麻からTHCを単離することに成功して以来、次々と合成カンナビノイドが開発されてきました。研究室で開発され、専門誌などに発表された合成カンナビノイドは100種を超えています。

1960年代に開発されたものは主にTHCのアナログで、HU−210、Nabiloneなど。HUというのはヘブライ大学の頭文字で、HU-210はTHCの100倍強力だといわれます。1970年代にはPfizerがCP 59,540、CP 47,497などのCPシリーズを発表しました。1990年代になるとJ.W. Huffmanらが次々と、いわゆるJWH化合物と呼ばれる合成カンナビノイドを発表しました。JWH-015、JWH-018、JWH-073などです。

多数の合成カンナビノイドが研究室段階で合成されましたが、そのほとんどは、製品化されることなく今日に至っています。

でも、誰かが過去の研究に着目し、学術文献に発表された化学式などの基本情報を参照すれば、同じものを合成することは可能なのです。薬学や化学の研究に用いられる試薬として、化合物を製造する化学メーカーにとっては、量産もとくに難しいことではありません。
化学に通じた人たちの間では「中国やインドの化学会社に電話をかければ、どんな化合物でも手に入る」とウワサされ、実際、脱法ドラッグの多くは、その原料となる化合物をこうして調達しているといわれます。「スパイス」の場合も、添加された合成カンナビノイドは、発展途上国の化学会社が製造したものだと推測されています。

[参考文献]
EMCDDA Thematic papers :Understanding the ‘Spice’ phenomenon
http://www.emcdda.europa.eu/publications/thematic-papers/spice

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