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安倍首相迎えるトランプ大統領の狙い

By CAROL E. LEE and ALASTAIR GALE

 ドナルド・トランプ米大統領は10日の安倍晋三首相の訪米を利用し、アジア太平洋地域での同盟関係を重視している姿勢を示すことで同盟諸国を安心させたい意向だ。トランプ氏は先に、同盟関係について疑問を生じさせるような発言をしていた。

 トランプ氏は同盟関係全般を米国と世界の安全保障にとっての「基盤」ととらえている。アジアでの同盟関係は「安全保障と地域の繁栄の両面でわれわれが成功するための中核」であることを、安倍氏の訪米中に明確に示したい意向だ。政権高官が明らかにした。

 「いまだ残っているかもしれない疑念の解消に向けて、これは大いに役立つだろうと思う」とその高官は話した。

 トランプ氏は選挙期間中、アジアでの軍事的関与の縮小や、日本と韓国の核武装について発言するなど、米国が過去数十年間にわたり継続してきた外交政策からの決別を示唆していた。

 大統領選でトランプ氏が勝利したことを受け、特に日本では、第2次世界大戦後の平和と繁栄をもたらした国際秩序の混乱に対して懸念が浮上している。共同通信が1月末に実施した世論調査では、トランプ氏によって国際情勢が不安定になると考えている人の割合が84%に達した。

 これは日本にとっては極めて重要な問題だ。米国は日本にとって最大の輸出先であるほか、安全保障の保証人でもある。日本に駐留している米軍兵士は約5万人で、アジアで最大規模だ。

 トランプ氏が就任直後に環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を表明したため、米国のアジアからの後退に対する日本の懸念は強まった。

 先週来日したジム・マティス国防長官は、北朝鮮の核開発や中国の軍事的台頭に対抗するための重要なパートナーとして日本をとらえていることを示し、安心感を与えた。日本の政府関係者によると、マティス氏は同盟関係への日本の貢献を称賛し、駐留米軍の費用については言及しなかった。

 マティス氏の発言は日本の懸念を和らげる一助にはなったものの、トランプ氏と側近の間で断続的に矛盾した対応が起きていることを日本政府関係者は懸念している。このためトランプ氏が安倍氏に対して方針を再確認することは大きな意味を持つ。

 トランプ氏は同盟関係への全般的な支持に加え、東シナ海の尖閣諸島が日米安保の適用範囲であるという米国側の現状認識を維持する考えを示す見込みだ。

 米政府高官は「トランプ大統領が(安保)条約の確約をかなり明確な表現で語るのは確実だと思う」とし、こう続けた。「(尖閣)諸島に対する日本の施政を損ねることを目指したいかなる一方的な行為にも、われわれは反対する」

 通商面では二国間協定を好むトランプ氏がTPPからの離脱を決めたこともあり、今後の方向性について協議するとみられる。

 米政府高官は「二国間協定では多国間協定の場合と比べ、米国にとってより有利な条件を交渉することができる」と述べた。日本の政府関係者はTPPの方を支持するものの、二国間協定へ向けた議論も排除しないとの見解を示した。

 トランプ氏が大統領就任後、外国の首脳と会談するのは1月下旬のテリーザ・メイ英首相に続き、安倍氏が2人目。

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