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「ハンセン病大国」―インド、ブラジル、インドネシア―

「ハンセン病大国」
―インド、ブラジル、インドネシア―

前回のブログで記した通り、上記3カ国は世界のハンセン病患者の約8割を占める。インドでは2005年に、国際社会からは奇跡といわれた人口1万人に1人以下の患者数になり、国家レベルでは制圧に成功。国父ガンジーの悲願が達成された。

しかし、国家レベルでは制圧されても州や県レベル、あるいは山岳部族などには未発見の患者が多いと想定されてはいたが、ここ10年ほどの患者数は横ばいが続いていた。

我々のささやかな活動が評価されたのか、ナッダ(J.P.Nadda)保健大臣の大号令のもと、ハンセン病蔓延地域を中心に、3億2000万人を対象にしたハンセン病発見大キャンペーンが行われた。

9月14日から10月4日まで、19の州149ディストリクトに対して約30万人のヘルスワーカーが投入された。対象となった地域では、隠れたハンセン病患者が多数発見された。最も多く発見されたのはビハール州で、4,400人にのぼった。この例からも、今後もハンセン病特有の隠れた患者を発見することの重要性を各地方政府に強調し続けていく必要がある。

モディ首相とは3回面談し、インドの宿痾(しゅくあ―長い間治らない病気)と呼ばれたハンセン病対策が又一段と強化されることになったことは嬉しいニュースで、私のインドでの活動も活発化され、数字で具体的な成果を実現したいものと、腕ならぬ足をさすって1月末からの出番を待っているところである。

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モディ首相からも力強い言葉をいただき・・・

インドネシアは人口3億人の多島国家で、2000年に制圧に成功したとはいえ、その後患者数は毎年16,000人〜19,000人の横ばい状態が続いている。その上、行政上の地方分権が進んだ為、中央政府保健省の指示が末端の行政単位まで徹底しない欠点がある。

昨年12月12日〜18日までインドネシアで活動したが、ハンセン病対策はほとんど前進しておらず、これでは駄目だと直感したので、「今年は貴国を6回訪問して各地方で徹底的に活動したいので、一年間の具体的計画を立案するように」と要請した。

保健省、WHO、日本財団、笹川記念保健協力財団が一体となって対策を立て、この一年精力的に活動して具体的な患者の減少が見られるか、保健省をその気にさせてモチベーションを上げてもらうにはどうしたら良いか、真剣に考慮しているところである。

世界唯一のハンセン病未制圧国はブラジルである。一昨年12月の訪問の折、「世界の貧困国でも制圧に成功しているのに、サッカーのワールドカップ、オリンピックが開催できる人材豊富なブラジルで、何故制圧達成できないのか」とある会合で話したところ、そのことが事前に保健大臣の耳に入り、不愉快な会談となったが、その直後、その大臣は退任された。

ルセフ大統領を中心にした大きな汚職問題から、ブラジル政府、特に保健省のハンセン病対策は機能不全に陥り、長年共に汗をかいてきた幹部は離職や転勤となり、打つ手なしの状況が続いている。

ジュネーブでWHOのマーガレット・チャン事務局長ともこの件について話し合ったが、有効な手段もなく、機会を見て私がブラジルに行くことにした。WHOとしては、天然痘撲滅に次ぐハンセン病の世界制圧は画期的な成果であり、チャン事務局長の退任(今年5月)の置き土産にしたいと心密かに努力してきたが、水泡になってしまった。

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チャンWHO事務局長とも話し合ったが・・・

「100里の道のりは99里をもって半ばとする」とは、困難な問題解決への私が常用する警句であるが、皮肉なことに、ブラジル1カ国の未制圧はまさにこの言葉通りになってしまった。しかし、残念至極の心境の中でも「困難な仕事を苦しみと考えず、詰め将棋のように、どのような手段・方法で解決するのかを楽しみとして考えよう」との持論を実践する大きな課題となってきた。

近頃、本番の将棋の試合でスマホを使った使わないの議論が話題となったが、私はアナログ人間でスマホも持たない。当方は一民間人、相手方ブラジル政府である。風車に立ち向かうドン・キホーテは槍を持っていたが、情熱と忍耐力と問題解決まで諦めない信念だけが私の唯一の武器である。

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