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  • ヒロ
  • 2017年02月09日 10:00

減少する中国外貨準備がもたらす影響

中国の外貨準備が遂に3兆ドルを下回りました。1月末で2兆9982億ドルでこの半年ぐらいはコンスタントに月数百億ドルずつ減少しています。ピークは4兆ドル近くあったわけですが、かつての日経平均が4万円目前にして反転してしまったことがパッと頭に浮かんでしまいます。中国の外貨準備も同じ道をたどるのでしょうか?

トランプ大統領は中国元が必要以上に安くなるよう為替介入していると糾弾していますが、少なくともそれは全く逆で中国は今、元安を必死に食い止めるため介入し続けています。その介入額は2016年だけでも47兆円に迫る(日経)とされます。

このところ、中国発の景気の良い話がほとんど聞こえてこなくなりました。一時は企業買収、海外不動産取得に鉄道事業の入札など世界各地で「どこまでやる気か」と思わせるニュースが満載でした。ところが外貨準備が急激に減少するのに呼応するかのように中国の海外事業の展開も一時のブームが過ぎ去ったかのようであります。

企業活動だけではありません。中国の正月に当たる春節は中国人の海外旅行も最大のピークとなりますが、春節が空振りに終わったのは韓国だけではなく、日本も失望させたようです。中国からの団体旅行が入らず、中国人に人気のツアーエリアも閑古鳥が鳴いていたとも聞こえてきます。中国からの飛行機が降り立つ地方空港もキャンセルが相次いだようです。

理由の一つに外貨持ち出し制限である年5万ドルが効いていることがあるでしょう。しかも中国政府はこのルールを厳格化し違反者には厳罰が下るようになっています。また、昨年の5月から導入された旅行客の免税ポイントも大幅に引き上げられ、日本などで買い物をする魅力が半減したほか、「業者買い」していた人たちもめっきり減ってしまいました。中国の爆買いブームに便乗していた人たちは大いなるしっぺ返しであります。私は数年前から「これはブームだからいずれ沈静化するので今更中国人爆買いビジネスに便乗してはいけない」と明言した通りとなってしまいました。

中国人はもともとが倹約的で日本やアメリカほどの消費大国ではありません。倹約の一つの理由は社会保険制度が充実していないため、老後の面倒は自分で確保しなくてはならず、貯蓄の要があることも一つあるでしょう。また、中国人は投資こそが消費であり、消費財を買うなら不動産や金製品など資産価値が出るものを求めます。また、中国の製品の質が向上したこと、ネット商品が充実し、外国に買い求める必要性がなくなったこともあるでしょう。中国は世界でも有数のネット決済大国であり、買い物の利便性は極めて高いとされています。

外貨準備の減少は世界における中国の存在感を低下させる原因を作っています。不動産も今はそう簡単には買えません。外貨持ち出し制限には不動産の為に使ってはならぬと決められているからです。

習近平国家主席の教義は「倹約」であります。正にその言葉通りに中国は派手なふるまいから質素倹約に変わってきているのかもしれません。いや、そうせざるを得ないと言った方がよいのでしょう。

ところで日経の「真相深層」に「米国防長官、対中国『もう寛容ではない』政策転換を予告 南シナ海、軍艦派遣加速へ」という記事があります。記事の内容はともかく、「狂犬」マティス国防長官は蔵書7000冊の超インテリであり、「いまの中国は明王朝の冊封体制を復活させようとしているかのようだ」と述べたことに非常に興味を持ちました。アメリカの高官から冊封体制という中華思想の根源話が出てくるとは正直想定外であります。

人間、物事が順調に進んでいるときは笑顔で前向きに成長努力をします。しかし、トラブル続きで八方ふさがりになってくると守りの姿勢に変わり、それでも守り切れないと力による反抗をするでしょう。

今の中国は守り一辺倒で、トランプ大統領のアメリカがチクチク中国を刺激します。韓国に設置予定のTHAADも韓国世論がどうであろうと予定変更なしで推進する見込みです。その時、中国は従順になれるのか、力づくの海上進出を図るのか、大きな岐路に立たされそうです。

折しも頼みの綱であった英国はEU離脱でガタガタ、ドイツも欧州問題で手いっぱい、アメリカと日本には頼れない、更には冊封関係にある韓国、朴槿恵大統領は親中から親米に転換し、裏切られた気持ちを持っているでしょう。となると中国は外交的には力ある盟友が少なすぎる気がします。

ロシアのプーチン大統領は個人的主観ですが中国とは本質論が合わない気がしております。その根拠の一つに2014年5月に中ロ間で調印された4000億ドルの天然ガス供給契約 の進捗が計画通りとなっていないなどロシア側のイライラが募っていることがあります。もともと中ソ関係は「仲良し」と思われますが、実態は良い時と悪い時の繰り返しであります。双方とも実利主義で利益相反することもあるからでしょう。

こう見るとマティス国防長官の指摘する「冊封体制」は現代においては思想と現実にギャップがあるようです。

減少する外貨準備が中国ブームの衰退となるのか、ゲームの展開は今年秋の党大会まで何も見えないかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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