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犯罪死見逃し(2010年08月10日宮崎日日新聞)

警察だけでゼロにできない

警察が取り扱う犯罪死や変死の遺体が年々増えているという。昨年1年間で16万体余りに上り、10年前の約1・4倍になった。

発見時に事件性があるかどうかを見極める専門家の刑事調査官(検視官)や、解剖によって死因を特定する医師が慢性的に不足している。このため、実は事件なのに病死として処理されてしまうことがある。警視庁の有識者研究会が先にまとめた中間報告で明らかにされた死因究明の現状だ。

検視官が現場に立ち会う臨場率を100%にするには千人程度が必要だという。実際は221人(今年4月現在)しかいない。解剖率も約10%にとどまっている。1998年以降、当初は事件性なしとされたが、後に犯罪死と判明した「見逃し」が39件あった。

■遺体取り扱いの流れ■

解剖率などを基に年間1700件前後の犯罪死が見逃されているとする推計もある。

警察庁の研究会は検視官の大幅増員や医師の確保などを提言。本年度中に「犯罪死の見逃し防止」に向けた最終報告をまとめる。しかし、死因究明の底上げは警察だけで何とかなる問題ではない。

監察医制度を所管する厚生労働省や法医学教育に関係する文部科学省、解剖費用の一部を負担する都道府県、さらに医学界なども参加する幅広い枠組みを整え、議論を進めていくことが求められる。

不自然な死を遂げた遺体が発見されると、まず検視官がその外見から事件性の有無を判断する検視を行い、医師も立ち会う。

事件性ありとなれば、刑事訴訟法に基づき司法解剖が実施される。事件性がなくても死因がはっきりしない場合、死体解剖保存法による行政解剖に回される。

■大都市限定の監察医■

大相撲の時津風部屋の力士暴行死事件(2007年)は最初、愛知県警の検視で病死として処理された。疑問を持った遺族が行政解剖を求めなければ、事件は闇に葬られていただろう。

この時、再捜査のきっかけになった行政解剖を担う監察医制度は東京23区と大阪、神戸、横浜、名古屋といった大都市圏にしかない。それ以外の地域では各地の大学の法医学教室などが解剖を手掛けている。

監察医制度のある都府県では昨年の解剖数が計9135件、ない道府県では計480件と地域格差が大きい。力士暴行死事件をきっかけに、司法解剖(昨年6569件)とともに行政解剖を増やすべきだとの声が専門家の間から上がった。だが、制度拡充などは進んでいないようだ。

司法解剖は国費、行政解剖は各自治体の負担という仕組みが妨げになっているとの指摘もある。

警察庁の研究会は、全遺体への薬物検査の実施やコンピューター断層撮影(CT)活用も提言に盛り込んでいる。それに加え、死因究明システムの一本化を検討することも必要だろう。

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全うな死因究明制度を作るには、まずは、死因究明の目的をしっかり定め、その目的を達するために、解剖、薬物検査、画像検査といった検査や、周辺の調査がどうあるべきかを考え、もっともシンプルなあり方を考える必要がある。今の制度は複雑すぎていて、目的も不明確なので、立法からやり直すべきである。

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