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【年金シリーズ2】「朝貢投資」に年金(GPIF)を使わせてはならず -日米同盟第一主義はアメリカ・ファーストよりタチが悪い-

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<GPIFのハイリスク運用が問題>

 年金でもう一つ忘れてならないのが、金融政策と絡む年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の問題である。年金給付に回されなかった厚生年金、国民年金の余剰金は約135兆円にも達しており、この運用をいかにするかも、将来の年金支給に大きくかかわってくる。将来現役世代が減り、年金受給者が増えることから、少しでもうまく運用して、将来の年金給付の増大に備えようというものである。国民の将来の年金給付の約1割を担うといわれている。
 堅実を旨として国債等の手堅いものしか対象としなかったが、2014年に資産の構成割合を日本株式25%、外国株式25%(それぞれ12%だった)に増やし、国内債権を60%から35%に減らし、外国債券を15%認める。この変更は運用益が多くなる可能性もあるが、一方で損をする確率も高まり、短期的には揺れが大きくなる。最近でも16年夏のイギリスのEU離脱により株価が下落した時は、大きくマイナスとなっている。
 例えば、15年の運用実績はマイナス3.8%、5.3兆円(実際に売買して損失を出した額ではなく評価額)の損失だった。ところが政府は過去15年間では45.4兆円プラスで長期的には年金財政が安定すると説明している。

<「グリーンピア」と「かんぽの宿」の無駄遣い>

 旧年金福祉事業団(年金資金運用基金)が「高齢となり老齢年金を受給するまでの長期にわたり保険料を支払い続ける被保険者等の福祉の向上を図ることを目的」という美名の下、1980~88年にかけて、全国13ヶ所1953億円を投じて巨大な保養施設(グリーンピア)が造られた。定期預金の金利が7~8%の頃であり、今よりも年金受給者が少なく、保険料を支払う者がずっと多かった古き良き時代である。しかし、所詮素人の経営にすぎず、厚生省の天下り先という重要な役割(?)を果たしただけで行き詰まり、2005年には売却総額48億円で地方自治体等に引き取られていった。壮大な無駄遣いである。
 2009年には日本郵政が、旧郵政公社から受け継いだ土地・建物に総額2400億円の費用がかかった「かんぽの宿」を109億円で一括してオリックス不動産へ売却しようとした。今は亡き鳩山邦夫総務大臣の「公正な入札とはいえない」の一声により中断されることになったが、その後も赤字経営が続き、一部の施設は安値で売られている。日本は同じ過ちを犯しているのである。

<GPIFの株式投資はもっと危険>

 私は岩手県の田老と隣りの津南にだけ行ったことがある。前者はそれこそ三陸海岸の岸壁にそそり立った大きな建物である。1994年に開かれた農政の講演会に講師として招かれたが、お客の数はまばらだった。「狂ったカジノリゾートは百害あって一利なし -外国人観光客を呼ぶなら農村リゾートに投資すべし- 16.12.13」と同じく、「大型アホバカ」リゾート施設はつぶれると嫌味も忘れなかった。
 ところが、2011年の東日本大震災の時は、その強固な岩盤に救われびくともせず、避難所として役立ったという。国民の血税(保険料)を喰い物にしたせめてもの罪滅ぼしであろう。こんなところで役立つとは誰も予想しなかったに違いない。
 グリーンピアは運用基金の乱用である。しかし、運用益だけしか注ぎ込まなかったため本体(保険料)の目減りはなかった。それに対して、GPIFの株式運用等に伴うマイナスは、本体そのもののマイナスにつながる分タチが悪い。来日したマチス国防長官は名うての読書家で、歴史に学んでいるといわれるが、日本政府はた「失敗の本質」を忘れ、また三度目の大きな間違いをしでかすおそれがある。

<GPIFが日本の企業を支配>

 GPIFは、透明性を高めるためと、保有株の個別銘柄等を公表した。そこから見えてくる金融上の問題としてGPIFが日本企業の大株主(1位)となり、2位の日銀とともに日本の巨大な機関投資家として、民間企業の経営に政府が介入していることが挙げられる。個別企業で見ると何と33社の筆頭株主となっており、政府(GPIF)が株を通じて企業を簡単に動かせることになる。また、株価は市場で決められなければならないのに、あまりに巨大なGPIFが公正な株価を歪めるおそれがある。

<安倍「株高内閣」の悪巧みが隠れてみえる>

 厚労省によると、14年度には年金は約51兆円支払われたが、保険料で62%、税金で23%賄い、積立金
の取り崩しは9%にすぎず、年金受給には運用による短期的なマイナスは何の影響もないとしている。ただ、このままマイナスが続くようだと、将来世代の年金給付に不足が生ずるおそれがある。
 世界各国とも低金利が続いている。政府がそうした中で少しでも運用益を増やそうとして、利率の低い国債から運用益の高い株式を増やそうというのは理解できないわけではない。しかし、株高に支えられるアベノミクスの加勢をするために、巨額なGPIFに目をつけて、株の世界に引き込んでいたとしたら許せないことである。将来の年金給付を犠牲にして、今の株高のために年金が使われてはたまらない。
 2004年の年金法の改正時に、積み立てた保険料(つまり年金基金)の運用益の乱用が問題となり、年金給付以外に使えなくなり、2006年にGPIFに衣替えした経緯がある。運用委員会がにらみを効かせ、資産構成割合(ポートフォリオ)もチェックする今の仕組みとなっている。約135兆円もの巨額の金は、悪いことを考える者が虎視眈々と狙うのは昔も今も同じである。我々はGPIFを監視し続けなくてはなるまい。

<トランプの公共投資1兆ドル(120兆円)の公約>

 先週(1/31~2/2)「公的年金、米インフラ投資、政府、雇用創出へ包括策、首脳会談で提案へ、通商などで閣僚協議」等と、とんでもない記事が出てきた。日本の将来に使われるのならまだしも、何とアメリカにおべっかを使うという政治目的のために使われんとしていることが明らかになった。
 これには少々背景を説明する必要がある。トランプ大統領出現により、アメリカ経済は大混乱すると思いきや、1月25日に株価がダウ平均で史上初めて2万ドルを超えた。これは、10年で6兆ドル(約700兆円)の大幅な減税(例:法人税35%→15%)と1兆ドルの学校、道路、橋、港湾等への公共投資というトランプの公約への期待の表れでもある。
 ところが、問題はその財源である。減税しては財政収入は増えない。いくらメキシコ等に海外移転したアメリカ企業や、トヨタのように迂回輸出をする外国企業の輸入品には国境税を掛けるといっても額は知れている。メキシコのペニャニエト大統領がメキシコ国境の壁の建設経費を負担しないといっており、国境税を実現したとしてもまずはそちらに充当しなければなるまい。ほっておくと、トランプが尊敬するレーガン時代の「双子の赤字(財政赤字と貿易赤字)」が再来しかねない。

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