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- 2011年08月15日 01:39
南相馬市における妊婦宅の除染作業報告
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亀田総合病院 総合周産期母子医療センター長
鈴木真
2011年8月12日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
日本の未来と夢は、すべて子どもたちにかかっており、妊婦、子どもは優先的に守られるべきである。南相馬市は原子力発電事故のため警戒区域(20km圏内)、緊急時避難準備区域(20〜30km圏)を含んでいるが、多くの地域は低線量地域である。しかし一部に高線量地域があり、妊婦や子どもが居住するには危険な区域が存在するため、個々にその影響を勘案し対応する必要が生じている。
南相馬市で産婦人科医院を開業され、地区医師会長を務める高橋亨平先生は、5月初旬より市内に在住している15名の妊婦に個人線量計配布し独自に月間被ばく線量を測定してきた。その測定結果より年間被ばく量を計算し、3.5mSv/年以上であった4名に対して、その状況を説明し除染することを申し入れ、同意の得られた1名の方の住居について今回除染作業を行った。
作業は原町中央産婦人科院長 高橋亨平医師を中心として、南相馬のNPO方針実践まちづくり、石川建設会社、放射線測定機器販売会社サードウェーブ、医師として東京大学医科学研究所の上研究室および亀田総合病院総合周産期母子医療センター、以上合計21名が参加した。
除染作業は
1.放射線物質の分布評価(除染作業前の空間線量測定)
2.1の結果に基づいた除染部位、方法の検討
3.除染作業(高圧洗浄、表土除去、立木などの伐採など)
4.作業の効果判定(除染作業後の空間線量測定)
の順で行った。
まず、除染に先立ち空間線量の測定を行った。原則として、ある点における空間線量は空間で5m、地中で5cmからの放射線が85%を占めると考えられており、敷地内をある間隔で測定することにより、どこに、どの程度の放射性物質があるか推定することが可能である。そのため、敷地を2×2mの格子状に区分し、それぞれの交点および敷地外周との交点で、それぞれ地表から3つの高さ(5cm/1m/2m)で空間線量を計測した。
室内についても同様の方法で行った。平均空間放射線量は庭で1.46/1.12/1.11 µSv/hと地表が高く、空間で低くなっており、屋内の一階部分の外周の南側(庭側)では0.65/0.88/0.88 µSv/h、内側では0.42/0.52/0.62 µSv/h、二階では0.48/0.57/0.66 µSv/hと上方ほど高くなっていた。
また雨どい、浄化槽からの排水口付近などに線量率が高い部分が存在していた。立木などで特に高くなかった。
以上の結果より放射性物質は屋根、雨どい、および庭の表土に存在することが明らかになったため、屋根および雨どいの高圧洗浄と庭の表土剥離を行うことを決定した。
簡単な足場を組み屋根の洗浄を行ったのち、雨どいに詰まっていた泥および落ち葉を除去した。洗浄作業終了後表土の剥離を行った。表土を一次保管するための穴を住居より最も遠い場所に設定し、1mを目標に人出で掘り始めたが、30cm程度から粘土層が出現したため作業は困難となり50cm程度で終了となった。
次いで表土剥離を行ったが、芝の根が張っており、体力的にかなりきつい作業であった。すべての作業が終了するのに開始から昼食を挟んで6時間を要した。
終了後の空間線量測定結果は、庭では0.63/0.70/0.79といずれも40%程度低下した。室内について1階部分は南側 0.40/0.45/0.63 は28/49/38%低下し、中心部0.29/0.38/0.45 は30%程度低下したが、2階については大きな変化が見られなかった。
この結果を考察すると1階部分は雨どいの洗浄と表土剥離により極めてよい効果がみとめられたが、2階部分は低下しておらず、今回の洗浄方法では屋根の放射性物質除去は不十分であったと考えられた。
(参照:除染報告図)
http://expres.umin.jp/mric/img/Vol.235.pdf
鈴木真
2011年8月12日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
日本の未来と夢は、すべて子どもたちにかかっており、妊婦、子どもは優先的に守られるべきである。南相馬市は原子力発電事故のため警戒区域(20km圏内)、緊急時避難準備区域(20〜30km圏)を含んでいるが、多くの地域は低線量地域である。しかし一部に高線量地域があり、妊婦や子どもが居住するには危険な区域が存在するため、個々にその影響を勘案し対応する必要が生じている。
南相馬市で産婦人科医院を開業され、地区医師会長を務める高橋亨平先生は、5月初旬より市内に在住している15名の妊婦に個人線量計配布し独自に月間被ばく線量を測定してきた。その測定結果より年間被ばく量を計算し、3.5mSv/年以上であった4名に対して、その状況を説明し除染することを申し入れ、同意の得られた1名の方の住居について今回除染作業を行った。
作業は原町中央産婦人科院長 高橋亨平医師を中心として、南相馬のNPO方針実践まちづくり、石川建設会社、放射線測定機器販売会社サードウェーブ、医師として東京大学医科学研究所の上研究室および亀田総合病院総合周産期母子医療センター、以上合計21名が参加した。
除染作業は
1.放射線物質の分布評価(除染作業前の空間線量測定)
2.1の結果に基づいた除染部位、方法の検討
3.除染作業(高圧洗浄、表土除去、立木などの伐採など)
4.作業の効果判定(除染作業後の空間線量測定)
の順で行った。
まず、除染に先立ち空間線量の測定を行った。原則として、ある点における空間線量は空間で5m、地中で5cmからの放射線が85%を占めると考えられており、敷地内をある間隔で測定することにより、どこに、どの程度の放射性物質があるか推定することが可能である。そのため、敷地を2×2mの格子状に区分し、それぞれの交点および敷地外周との交点で、それぞれ地表から3つの高さ(5cm/1m/2m)で空間線量を計測した。
室内についても同様の方法で行った。平均空間放射線量は庭で1.46/1.12/1.11 µSv/hと地表が高く、空間で低くなっており、屋内の一階部分の外周の南側(庭側)では0.65/0.88/0.88 µSv/h、内側では0.42/0.52/0.62 µSv/h、二階では0.48/0.57/0.66 µSv/hと上方ほど高くなっていた。
また雨どい、浄化槽からの排水口付近などに線量率が高い部分が存在していた。立木などで特に高くなかった。
以上の結果より放射性物質は屋根、雨どい、および庭の表土に存在することが明らかになったため、屋根および雨どいの高圧洗浄と庭の表土剥離を行うことを決定した。
簡単な足場を組み屋根の洗浄を行ったのち、雨どいに詰まっていた泥および落ち葉を除去した。洗浄作業終了後表土の剥離を行った。表土を一次保管するための穴を住居より最も遠い場所に設定し、1mを目標に人出で掘り始めたが、30cm程度から粘土層が出現したため作業は困難となり50cm程度で終了となった。
次いで表土剥離を行ったが、芝の根が張っており、体力的にかなりきつい作業であった。すべての作業が終了するのに開始から昼食を挟んで6時間を要した。
終了後の空間線量測定結果は、庭では0.63/0.70/0.79といずれも40%程度低下した。室内について1階部分は南側 0.40/0.45/0.63 は28/49/38%低下し、中心部0.29/0.38/0.45 は30%程度低下したが、2階については大きな変化が見られなかった。
この結果を考察すると1階部分は雨どいの洗浄と表土剥離により極めてよい効果がみとめられたが、2階部分は低下しておらず、今回の洗浄方法では屋根の放射性物質除去は不十分であったと考えられた。
(参照:除染報告図)
http://expres.umin.jp/mric/img/Vol.235.pdf



