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会社から正社員が消える時:変わる米企業

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 企業の労働生産性を見る指標の一つである「1人当たり売上高」。米航空業界では、この指標でヴァージン・アメリカの右に出る企業はない。なぜなら、同社で荷物の配送や機材の整備、予約、ケータリングを含む数多くの業務を行うのは正社員ではなく、委託を受けた外部業者だからだ。

 「顧客と対面しない業務のすべてを外注するつもりだ」。昨年3月、デービッド・カッシュ最高経営責任者(CEO、当時)は株主に向けてそう話した。4月にはカッシュ氏が立役者となり、26億ドル(現在の為替レートで約3000億円)で同社をアラスカ航空に売却することで合意。この価格は2014年11月に実施した新規株式公開(IPO)時の2倍以上だ。カッシュ氏は昨年12月、売却が完了した時点で退任した。

プラット・アンド・ホイットニー(P&W)の部品配送業務を担うユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の集荷・再配送施設
プラット・アンド・ホイットニー(P&W)の部品配送業務を担うユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の集荷・再配送施設 Photo: for The Wall Street Journal

 米国企業が従業員数の縮小にこれほど注力したことはかつてない。アウトソーシング(業務外部委託)の波は衣料メーカーの縫製部門を中国に、コールセンター業務をインドに移すなどしてきたが、いまや全米各地のほとんど全ての業種に波及しているようだ。

 米小売り大手ウォルマート・ストアーズの倉庫で荷物を下ろしている男女は米トラック輸送シュナイダー・ナショナルの物流部門が人材派遣業者から手当てした人々だ。米製薬大手ファイザーは昨年、臨床試験の大部分を外注した。

 米経済誌フォーチュンが毎年発表している「最も働きがいのある会社」ランキングで過去10年のうち7回トップに輝いたグーグルの親会社アルファベットは、関係者によると、正規社員と非正規社員がほぼ同数だという。 

 同社で働く約7万人の派遣・臨時・契約社員は自動運転車の試験や、製品の改良、マーケティング、データ関連プロジェクトなど数多くの業務を担当している。正社員は白いバッジをつけているが、非正規社員は赤いバッジをつけている。

様変わりする働き方や企業のあり方

 こうした傾向は企業や社員のあり方を劇的に様変わりさせつつある。企業にとっては雇用規模や人件費、福利厚生面で融通が利くようになる一方、従業員にとっては雇用の保障が弱まることを意味する。かつては郵便物の仕分け係から昇進を繰り返し、最後には幹部として眺めの良い角部屋のオフィスに出世するコースもあったが、今ではそれが難しくなった。外部に委託される仕事はもはや、将来のスター社員を輩出する出世コースには入っていないからだ。

 企業にとって、従業員を外注業者に置き換える最大の魅力は経費コントロールだ。外部委託しておけば、新たなアイデアや必要な変化への対応に足りるだけの正社員を抱えるだけで済む。

勤め先はどこ?
米国の労働力に占める非正規社員の内訳(青:フリーの契約社員、赤:非常勤社員、黄:臨時社員、灰:派遣社員、緑:複数の企業と契約している派遣社員)


 一方、労働者にとって、この変化は賃金の低下につながることが多い。また、「勤め先はどこ?」という単純な質問に答えるのが驚くほど難しくなることを意味する。外部委託によって作り出された労働力のこうした二層構造が、同一業務を担う労働者間の所得格差を広げていると指摘するエコノミストもいる。 

 政府機関が統計対象とする雇用カテゴリーにぴたりと当てはまるものがないため、こうした雇用形態で働いている人が具体的にどれほどいるのかは不明だ。エコノミストの推計は、全米労働力の3%から14%と幅広く、最大で2000万人と見積もられている。

 昨年発表された学術研究によると、アウトソーシングを最も狭い意味でとらえた統計の一つは、単一顧客での常駐業務に従事する間接雇用による労働者としており、米国の労働者全体に占める比率は2005年の0.6%から15年には2%に上昇している。

 企業は社外従業員について詳細をほとんど公開しないが、外部委託向け業務の種類や数を急速に増やしている。人材会社の幹部によると、大手企業の場合は全従業員の20~50%をアウトソースしていることが多い。 

 独SAP傘下の米SAPフィールドグラスで戦略・顧客部門を率いるアルン・スリニバサン氏は、石油、ガス、製薬業界では、外部従業員の数が少なくとも2対1の割合で正社員を上回る企業もあると指摘する。

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