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【自治体ランキング】生活保護費「10年で5倍」「予算の1/4」という不都合な真実

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先日、小田原市の生活保護担当職員が、「生活保護なめんな」と印刷されたジャンパーを受給世帯訪問の際に着ていたことが問題となり、大きなニュースとなった。

これを受け小田原市は、担当部署の部長以下7人を厳重注意処分とし、謝罪会見を行った。

社会福祉法では、ケースワーカーの配置は、受給者80世帯当たり1人を標準としている。ところが、小田原市の場合、約2,320世帯が生活保護を受給しているため標準数は29人のところを、現在は25人となっていた。

1人が担当する世帯数が多く現場が疲弊していることも問題の背景にあるとして、市は新規採用や他部署からの配置転換などで、新年度には4人程度増員する方針を示した。

この「生活保護なめんなジャンパー」問題をニュースだけで見ていると、「なんて非常識な市役所なんだ!」「人権侵害も甚だしい!」といった声が多くの人から出てきそうだ。

もちろん、役所としてあるまじき問題であり、大きく批判にさらされるべきだと思う。ただ、冷静になって考えなければならないのは、このジャンパーを着て受給世帯を訪問していた職員が「悪い」という話なのだろうか……。

ちなみに小田原市の職員たちはこのジャンパーを10年にもわたって着続けていたという。この間、役所内部から異論や指摘が出なかったということ自体が大きな問題なのではないかと思う。

しかし、さらに深刻なのは、背景にある生活保護の現実である。

小田原市の生活保護費は10年で2倍に増加

2014年度の小田原市の生活保護費は55億45万円。同年の一般会計予算規模が638億円なので、市の予算のじつに1割近くが生活保護に当てられているのだ。

自治体の負担は年々増えている。

ちなみに小田原市の場合、2002年の生活保護費は28億9,243万円しかなかった。2002年と2014年を比較すると、その差は26億802万円。割合にすると190.2%にも膨れ上がっているのだ。

市民1世帯当たりの生活保護費の負担額を見ると、年間6万5,398円にものぼる。こうした現実は、決して小田原市に限った話ではない。

全国順位で見ても、小田原市は、2014年度の生活保護費は200位、世帯当たりの負担額は193位、2002年からの増価額こそ123位だが、それも割合で見ると269位でしかない。

決して小田原市だけが極端なわけではなく、背景となる問題は、全国の自治体が一様に抱えていると言える。

大阪市の生活保護費は年間3,146億円!

これまで生活保護の実態は、まるで「パンドラの箱」のように、その内容について明らかにされることはなかった印象がある。

特定の自治体や国の生活保護費の推移に関するデータは見たことがあるが、少なくとも、全国の自治体を比較したデータなど見た記憶がない。

そこでこの問題についても考えるにあたり、まず、自らの住む自治体の状況を把握してみてはどうだろうかということで、総務省や厚労省の情報をもとに、基礎自治体を比較できるデータを作ってみた。

政策形成を考える際には、個々人が問題だと感じる1人称の課題も重要ではあるが、全体最適を考えれば、その前段となるエビデンスの共有が最も重要になる。

読者の皆さんには、ご本人が体感していることも含めて現場からの「虫の目」はもちろんだが、全体の中での位置付けを見る「鳥の目」、さらには時間や月日の流れの中でどういう傾向があるのかといった「魚の目」を意識をすることもご提案したい。

先日、自治体職員との集まりでも話をしたのだが、職員でさえも、自らの自治体の課題を解決する際に、他市との比較や全国での自分の自治体の位置付けを把握していないことがある。

そこで今回は、生活保護問題についても「鳥の目」に立った全国での各自治体が置かれている状況や、さらには時間の経過と共にどういったトレンドになっているのかといった「魚の目」の視点について紹介していこうと思う。

図表:自治体別生活保護費ランキングBest20(2014)

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全国で最も生活保護費が多かったのは大阪市(大阪府)で、その額は年間3,146億3,813万円におよぶ。

次いで高かったのは、札幌市(北海道)の1,360億3,983万円で大阪市の約1/3。3位が横浜市(神奈川県)の1,357億1,334万円。

以下、4位神戸市(兵庫県)900億8,519万円、5位名古屋市(愛知県)898億9,621万円、6位福岡市(福岡県)848億2,408万円、7位京都市(京都府)822億9,457万円、8位川崎市(神奈川県)638億6,072万円、9位足立区(東京都)497億5,059万円、10位北九州市(福岡県)494億2,912万円、11位堺市(大阪府)493億9,608万円、12位広島市(広島県)469億6,280万円、13位江戸川区(東京都)404億964万円、14位板橋区(東京都)388億4,848万円、15位東大阪市(大阪府)380億4,499万円、16位大田区(東京都)362億9,741万円、17位さいたま市(埼玉県)361億831万円、18位千葉市(千葉県)353億円7,050万円、19位尼崎市(兵庫県)346億7,598万円、20位練馬区(東京都)342億7,072万円と続いた。

自治体の名前を見れば分かるように、生活保護費全体の金額なので、政令指定都市や東京23区など人口の多い大規模自治体がそのほとんどを占めた。

地域性を見るために、この上位20自治体を都道府県ごとに分けると、東京都が5区、大阪府が3市、神奈川県、兵庫県、福岡県が2市、北海道、京都府、愛知県、広島県、埼玉県、千葉県が1市と都市圏に多いことも分かる。

10年で5倍以上に増加した自治体も

図表:生活保護費増価額(2014-2002)と生活保護費増加率(2014-2002)

画像を見る

生活保護については、「急増している」、「逼迫した状況」等といった話は聞くこともあるかもしれないが、データで見ると、自治体によっては生活保護費が10年で5倍以上にまで膨らんでいる実態が分かる。

増加額で見ると、最も増えているのは大阪市(大阪府)で、2002年から2014年までの間に1,094億4,791万円も増えている。

次いで、横浜市(神奈川県)の568億9,087万円増、3位が札幌市(北海道)の539億5,634万円増となっている。

一方、逆に生活保護費を減らしている自治体もある。

人口減少など外部要因の影響もあるのだろうが、最も生活保護費を減らしたのは、夕張市(北海道)で3億8,735万円の減少となっている。

次いで、歌志内市(北海道)の2億3,024万円減、3位が芦別市(北海道)の2億1,721万円減、4位が三笠市(北海道)の1億6,160万円減、5位が深川市(北海道)の1億5,953万円減、6位が赤平市(北海道)の1億3,724万円減。ここまでが全て北海道の自治体になっているのも特徴的と言えるかもしれない。

その後は、7位が室戸市(高知県)の1億280万円減、8位が津久見市(大分県)の1億207万円減、9位が串間市(宮崎県)の6,827万円減、10位が相馬市(福島県)の6,451万円減だった。

これを増加率で見ると、可児市(岐阜県)の533.5%を筆頭に、霧島市(鹿児島県)525.9%、久喜市(埼玉県)462.1%、笠間市(茨城県)452.6%、那須塩原市(栃木県)409.0%、村上市(新潟県)407.0%、千曲市(長野県)397.9%、大田原市(栃木県)390.2%、佐渡市(新潟県)387.1%、湖西市(静岡県)384.7%となっている。

合併などが行われている自治体もあるので厳密ではないが、トレンドやオーダーを知るという意味で、参考までにこうした状況についても押さえておいてもらえればと思う。

年間予算の1/4を生活保護費が占める台東区

図表:自治体別予算に占める生活保護費割合ランキングBest20(2014)

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切実な財政状況をより明確にするために、各自治体における一般会計予算に占める生活保護費の割合についても調べてみた。

その割合が最も多かったのは台東区(東京都)の24.5%。年間の自治体予算の約1/4もを生活保護が占めているという極端かつ悲惨な状況であることが分かった。

次いで、門真市(大阪府)の23.4%、3位が田川市(福岡県)の20.4%、4位が板橋区(東京都)の20.2%、5位が大阪市(大阪府)の19.2%、6位が東大阪市(大阪府)の19.0%、7位が足立区(東京都)の18.7%、8位が新宿区(東京都)の18.0%、9位が尼崎市(兵庫県)の17.8%、10位が別府市(大分県)の17.6%、11位が守口市(大阪府)の17.3%、12位が江戸川区(東京都)の17.3%、13位が寝屋川市(大阪府)の17.2%、14位が北区(東京都)の17.0%、15位が嘉麻市(福岡県)の17.0%、16位が飯塚市(福岡県)の16.6%、17位が函館市(北海道)の16.6%、18位が小樽市(北海道)の16.5%、19位が墨田区(東京都)の16.4%、20位が奄美市(鹿児島県)の16.4%。

個人的には、生活保護費の総額よりも、この指標で出てくる自治体の方が生活保護が多いイメージにつながった。

これを都道府県別に見ると、東京都が7区、大阪府が5市、福岡県が3市、北海道が2市、兵庫県、大分県、鹿児島が1市と、そのほとんどが東京都と大阪府に偏っていることが分かる。

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