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統一修習と給費制のあけぼの(13)

裁判所法案の改訂経緯はこうだ。

第3次法案 89条2項 「司法修習生は、その修習期間中国庫から一定額の給与を受ける。」

第4次法案  条2項 「司法修習生は、その修習期間中、別に法律で定めるところにより、国庫から一定額の給与を受ける。」

第5次法案 75条2項 「司法修習生は、その修習期間中、国庫から一定額の給与を受ける。」

給費制に関する裁判所法の条文案は、一見、殆ど改訂がなく、特に異論もないまま、成案に至ったように見える。だが、第4次法案に着目すると、そうでないことが分かる。

内藤頼博著『終戦後の司法制度改革の経過』によると、昭和21年11月4日に始まった法制局の審査では、「第三次法案と第五次法案が審査の対象になった」とあり、第四次法案が抜けている。また、第三次法案と第五次法案には、条文に番号が振られているのに、第四次法案では、「第 条」となっており、条文の番号が振られていない。番号が振られていないことは、番号が分からなかったことを意味する。

このことは、第三次法案に対して、法制局からダメ出しがあったとき、差し替え用として、第四次法案が用意されていたことを意味すると思われる。

なぜ、第4次法案には「別に法律で定めるところにより」との文言が挿入されているのか。すでに述べたとおり、裁判所法案は、新憲法の附属法という重要な法律だから、新憲法の施行と同時に施行することは、GHQの至上命令であった。他方、司法修習生に給費制を導入するか否かという条項それ自体は、何が何でも新憲法と同時に施行しなければならないほどの重要性はない。そこで、この条項に何らかの問題が発生し、裁判所法施行までに解決しない見通しとなった場合には、裁判所法施行後に別の法律を定めることにして、問題の先送りを図る意図であったことを意味する。

では、何らかの問題とは何か。

私の調査した限り、この点に言及しているのは、畔上英治もと判事による『戦後50年想い出すまま』(「法の支配」108号)のみであり、そこには、こうある。

「大蔵省は、医師はインターン中は国から給料を受けていないのに、弁護士になる者にも給料を支払うのは不公平であるとして、給料支払いに反対した」

これによれば、大蔵省が、給費制に反対したことになる。

余談になるが、現在、財務省は給費制に反対している。そして、畔上元判事の記憶によれば、60年前も、大蔵省が給費制に反対したというのである。官僚組織のしつこさには感銘を受けると同時に、組織の意思というものが100年単位で存続する、という点にも留意が必要だと思う。もちろん、弁護士会という組織も例外ではない。

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