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政府案「残業月100時間」「2カ月平均80時間」は過労死を政府が容認するもの

 過労死の労災認定基準は、脳・心臓疾患が発症する前の1カ月間に月100時間超、または2カ月から6カ月間に月80時間超の残業です。

 ところが、政府は2月1日、「働き方改革実現会議」の中で、単月なら100時間、その翌月と合わせた2カ月平均では80時間までなら残業を認め、残業上限を月平均60時間、年間計720時間までとする政府案に沿って議論を進めています。

 「単月なら100時間」「2カ月平均では80時間」というのは、今現在の過労死ラインです。政府は労働者が過労死してしまう残業時間を「残業の上限規制」にしようとしているのです。言い換えれば、企業が労働者を過労死するまで残業させることを政府が容認するということです。現時点で安倍政権の「働き方改革」というのは「過労死容認のための改革」と言わざるをえません。

 佐々木亮弁護士の「法として時間外労働は100時間までならOKというメッセージを発信するのは危険」、「特に法を守らないブラック企業が、『法律が100時間まで働かせていいと言っているのだ!』などとわけのわからないことを言いだしそうで、想像するだけで暗澹とした気持ちになります」との指摘に同感です。

実際のデータでも見てみましょう。

 下のグラフは、厚生労働省「過労死等の労災補償状況」の中にある「脳・心臓疾患の時間外労働時間数(1カ月平均)別支給決定件数」の「死亡件数」から作成したものです。

 上のグラフを見れば分かるように、過労死の件数は残業80~100時間のところが最も多くなっているのです。

 下の表とグラフは、割合でも見たものです。

 上記にあるように、残業80~100時間は過労死の44.1%を占め、残業60~100時間になると51.8%を占めます。データで見ても、現在の政府案は過労死の半分以上を「容認」するものなのです。上の表にあるように、過労死をなくすためには、残業の上限規制を月45時間未満にする必要があります。そして何より原則は残業なしで8時間働いたら帰る、暮らせることです。いま「わたしの仕事8時間プロジェクト」がネット署名を集めていますので、ぜひご協力をお願い致します。「8時間働いたら帰る、暮らせるワークルールをつくろう。」の声を広げて、過労死・過労自死・長時間労働をなくしましょう。

井上伸

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