記事
  • ヒロ

「働き方改革」で変わるか、日本の労働市場

働き方改革が社会で大きく取り上げられています。大手企業を中心に残業時間管理や終業時刻の設定などを行い、「会社から社員を追い払う」努力を重ねています。これも電通事件で当局が極めて積極的にその実態解明に立ち向かい、社会的制裁を行い、本気度を見せたことが大いなる啓蒙活動のきっかけとなったかと思います。

では、この働き方改革、何処に向かうのでしょうか?

北米ではその人を丸々抱き込む雇用関係ではなく、プロフェッショナルサービス契約の体系が往々にして見られます。つまり、雇われている契約当事者はあたかも社員のように会社に来て仕事をしていますが、給与形態は全く違い、作業達成度に応じて支払われるサービス契約であります。

これは会社側からすれば一定の作業の達成に対する報酬という非常にわかりやすい体系ですので評価がしやすく、また、契約当事者が十分な作業をしなければ報酬が払われなかったり、あるいは契約の更改ができないことになります。

先日、IT系の友人と話をしていたのですが、東南アジアには相当のノマドワーカーがいるそうです。特にIT関係の場合、世界のどこにいてもWiFiさえ繋がっていれば仕事ができる環境にあるため、国家とか、会社の事務所といった枠組みから完全に離れて好きな国の好きな都市の好きな時間に仕事が出来るということなのでしょう。何故東南アジアかといえばシンガポールは別にして物価水準が極めてリーズナブルな上に多くの有名ブランド店等は東南アジア諸国にも進出しており、先進国とほぼ同等の商品が同じような価格で購入できる便利さもあるとのことでした。

ビジネス本作家の本田直之氏もかつて、サーフィンがしたいからハワイに住んで半日遊び、半日仕事をするという当時、画期的なライフスタイルを提唱して話題になりました。

さて、ここまで書くと「なるほど、これはいいことづくめじゃないか」と思われる人もいらっしゃるでしょう。しかし、これは先駆者特権として遊びや自由をその源泉としているからワークするのだと思います。一般的な日本人は非常にまじめです。仮に多くの社員がプロフェッショナルサービス契約形態に変わったらどんな世界が想像できるでしょうか?

まず、仕事の完成度を高め、雇い主からの評価を得るため、異様に頑張ってしまう人が出てくるはずです。その際、会社側から要求されている以上の作業を行い「プラスアルファ」の評点を取り、「さすが○○さんの仕事は違うねぇ。」と言わせる人がたくさん現れるはずです。つまり、仕事の分量からすれば残業40時間とか、夜は8時に終業どころではなく、徹夜作業を厭わない人たちが主導する世界になるとみています。

但し、過渡期を過ぎるとプロフェッショナルサービスを提供する人たちは複数のお客様を持つようになり、時間が足りず、プラスアルファの部分は少しずつ減ってくるでしょう。但し、仕事のボリュームはより増えるというわけです。

このストーリーが何を意味しているかといえば、企業からすれば作業効率が圧倒的に上がり、コストダウンを引き出すことができます。雇われる側からすれば優勝劣敗が確実におき、能力のない人が確実に弾き飛ばされる運命になるでしょう。当然ながらそこで雇用のガラガラポンが起きるわけです。

幸いにして少子高齢化で就労に適齢な人は減り続けていますので日本全体における雇用環境は当面、タイトな状況に変わりありません。ただ産業間の労働分布において人材が不足している業界と充足している業界とでインバランスが起きているだけですので雇用のシャッフルはある意味、雇用の健全化をもたらすのかもしれません。

ご承知かもしれませんが、日本の労働問題の最大のネックは労働生産性が異様に低い点であります。OECDの労働生産性では2015年で時間当たり35か国中20位、一人当たりでは22位と低迷しています。

日本とカナダを往復しているとなぜそうなのだろうといつも考えさせられます。「いざというときの対応」「お前も来い型(仕事につきあわせる)」「ほんのわずかのピークタイムの繁忙時の為の余剰な人員を抱える」は私がふと感じた理由です。同じことは中国でもそう感じたのですが、一つのことをやるのにそんなに大勢でなんで対応するのだろうと思ったことがしばしばあります。

日本では営業体制において「アカウント レップ型」の対応はあまりしません。これは一人の営業担当が顧客とマンツーマンで対応し、顧客のニーズを知り尽くしたうえで会社側に顧客の要望を反映させるという一種のブローカー的役割を持っています。日本は人事ローテーション制度や一人に責任を持たせない発想が背景にあるのでこの手法は定着しません。日本でこの営業体制が構築されれば日本の雇用体系はすっかり変わるはずです。

今、残業時間が大きく問題視されていますが、変えるなら労働体系の根本を変えるような刺激的手法が必要かもしれません。そして、そういう体制は往々にして著名企業が海外の仕組みを取り入れ、成果があったとアナウンスすることでフォロワーが出ることになるでしょう。

日本の労働事情が大きく変化するのか、私は今、革命前夜にあるような気がしています。

では今日はこのぐらいで。

あわせて読みたい

「働き方改革」の記事一覧へ

トピックス

議論福島第一原発処理水の海洋放出は許容できるリスクか?

ランキング

  1. 1

    北野武 死の「理由」憶測に持論

    NEWSポストセブン

  2. 2

    橋下氏 任命拒否の教授らに苦言

    橋下徹

  3. 3

    給付金効果はあったが見えぬだけ

    自由人

  4. 4

    岡村結婚の裏に涙のエレベーター

    文春オンライン

  5. 5

    日本における次世代の目玉産業は

    ヒロ

  6. 6

    大阪市なくなるのは嫌という心理

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  7. 7

    白昼堂々万引きも放置? 米の現状

    後藤文俊

  8. 8

    蓮舫氏 交通・経済回す政策示す

    立憲民主党

  9. 9

    すすきの感染 酒飲みにうんざり

    猪野 亨

  10. 10

    ロンブー淳 TVに抱く気持ち悪さ

    文春オンライン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。