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「子ども子育て新システム」の現状

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2 この7月の中間報告
 特に、この7月の中間報告で、既存の幼稚園制度も残し、3歳児未満の受け入れ義務を入れないことになりました。
 もともと、このシステムの必要性の建前として、待機児童の解消と幼保一体化の必要性がいわれていました。
 しかし、中間報告では既存の幼稚園を残す選択肢も残したため、結局幼保一体の建前自体がどこかに行ってしまいました。
 もともと、幼稚園と保育園が別々だから不便だ、などという親からの不満はありません。
 この議論の建前の1つである幼保一体化の必要性は全くなかったのです。
 制度としても幼保一体化をしないのであれば、新システムの建前の一つが崩れています。

 さらに待機児童の点ですが、確かに、待機児童問題が緊急であることは言うまでもありません。
 しかし、中間報告では、待機児童が問題となる3歳未満の子どもの受け入れ義務を導入しないとしました。最も待機児童が多いのは3歳未満児です。ここの拡大をしようとしないのでは、待機児童の解消にはなりません。

 「新システム」の建前はすでに崩壊しています。

 本当に待機児童を解消しようと思えば、「新システム」などという制度破壊をしている暇はないはずです。今の制度で十分対応出来るし、すべきなのです。
 
 また、制度の根幹から考え直すなら、イギリスのように、貧困層の子どもたちに対する手厚い保育を、という方向に進むべきですが、子ども子育て新システムにはこういった視点はありません。
 

第5 最後に



 子どもは、0歳でも個性ある存在です。この制度は、子ども達を個性ある存在としてとらえず、「サービスの対象物」として扱うに等しいものです。
 この制度に関するワーキングチームの議事録を見ても、子どもに軸をおいた議論がされていません。

 「子ども・子育て新システム」の下では、保育事故が増え、子どもの貧困が固定化し、少子化に拍車がかかりかねません。個人の尊厳を柱とする日本国憲法の理念と相反する機械的な「保育」が広がるでしょう。
 こんな制度が現実になれば、本当に取り返しのつかないことになります。

 民主党の他の政策を見ても、どれも場当たり的で、およそ現状を分析した上での議論がなされているとは思えません。
 そして、子ども手当も結局廃止される、というのです。
 新システムは、園への支給から親への現金給付に変えますが、その給付は子ども手当に上乗せする設計ですから、土台の子ども手当をなくす以上、「子ども子育て新システム」の議論自体中止すべきです。

 すでに千葉県弁護士会などでは、この制度の導入に反対する弁護士会会長声明が出されています。
 本当に待機児童を解消するには、行政の保育責任を放棄し、制度の根幹を解体する「新システム」などでなく、現行の保育制度を前提に、スピード感を持って幅広い育児支援の量と質の拡大をしていくことこそ求められています。

 子どものことを、将来の日本のことを考えて、保育、幼児教育のあり方について、一端議論を白紙にして議論をし直すことが必要です。
 来年の法案提出を何としても阻止していくことが大事です。そのため、署名などを積極的に取り組んでいきたいと思います。ご協力よろしくお願いいたします。

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