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窃盗事件の背景にある貧困と格差

犯罪で圧倒的に多いのは窃盗事件である。

数年、検挙数は減ってきているようであるが、それでも断トツである。

私がここ数年で国選事件で担当した窃盗事件では、貧困を背景にした窃盗が増えている、という印象を持っている(なお、私は無罪判決を複数得ているが、うち2件は国選である。基本的に国選をしっかりやる、ということを大事にしており、私選で刑事弁護を積極的に受けることはしていない)。

私が担当した国選事件の方で、数年前までしっかりした会社で働いていたが、リストラとなり、離婚したうえ、いわゆるホームレスとなってしまった方がいる。

その人は、数年前、図書館の本を持ち出して窃盗で検挙され起訴をされてしまった。その件では執行猶予になるも、その1年後、お金も底をつき、売店の弁当(600円くらい)を窃取し、警察に突き出された。

示談をするお金もなく、起訴された。

起訴後、私が国選弁護人として受けた。

この人の置かれている貧困を打開しない限り、窃盗を繰り返す可能性は変わらないことは明らかであった。そこで知人のホームレス支援のNPOにつなぎ、住居が定まらないと仕事に就けない悪循環を立つために、まず暫定的な住居を確保。
その後、就労先などのあたりもつけ、就労の上被害弁償もする、再犯をさせない環境を作る、と裁判官に力説し、何とか再度の執行猶予を、と求めた。

しかし、裁判官は、被害弁償が出来ていないということを理由に、実刑とし、前回の執行猶予も取り消し、彼は一定長期間、刑務所に行くこととなってしまった。

図書館の本と、600円の弁当の窃盗で、長期の刑務所暮らしである。

被害弁償をしてくれる身内などのセーフティーネットがあれば、同じ過ちを犯した時点でも、その後の処遇は変わっていた可能性は十分ある。

被害弁償が出来る人的物的資源があるか否か、という点で、処遇が変わり、人的物的資源がないために、刑務所に行くこととなる、というケースは少なくないと思われる。

貧困であるために、容易に社会から排除されてしまう構図が見えてくる。

不公平である、と素朴に思う。

窃盗事件から見えてくる、悲しい今日の現状である。

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