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有料ニュースサイトのトップNYT、無料のトップHuffpoのせめぎ合い

15日までウィーンで開かれていた世界新聞大会の一環として開催されたWorld Editors ForumのPaywall panel (課金小委員会)でニューヨーク・タイムズ(NYT)のJim Roberts編集局次長が、「今年3月にウェブサイトを有料化したにもかかわらずユニークユーザーが対前年比で2.3%伸び、3400万人となった。信じられないほどの驚きだ」と、有料化の成功を誇示しました。

一方、このブログでも紹介したように毀誉褒貶はあるものの、破竹の進撃が続いているHuffington Postは、さる3日に「3700万ユニークビジター、10億ページビュー、510万コメントの月間記録を達成」というプレスリリースを公表、広く報道されました。Roberts局次長の発言は、おそらくこれを意識したもので、「有料化でもびくともしないNYTの質の高さ」を強調したかったのでしょう。

Roberts局次長は、「課金はアクセスする読者が減るBad idea」だと思い、反対したそうです。特に、NYTのサイトで積極的に取り入れているソーシャルメディアなどの新しい試みに関心のある若い読者が離れてしまうことを懸念したとか。読者が減れば広告収入も減ると。「でも、私が間違っていた」と局次長。「我々の実験は初期段階だけれど、おおむね成功したと言っていいかもしれない」「ページビューの減少はわずかで、ユニークユーザーが増えているのだから」とし、サイトの有料読者22万4千、宅配読者の無料接続者は75万6千という最新数字を明かしました。

また、当初は編集局内では局次長同様、課金に懐疑的な空気があったそうですが、課金後は「価値あるデジタル製品を創造しているという全体的な雰囲気が広がり、ビデオや記事ファイルをより早くウェブに上げることを喜んでやっているようだ」というのです。実に興味深い変化ですね。

Roberts局次長の誇るNYTサイトの”成功”は、有料と云いながら、ソーシャルメディアや検索エンジンからのリンクや数多いNYTのニュースレターなどからのアクセスは無料でし放題というユルい課金の壁にしたことにあると言えます。それでページビューを殆ど減らさず、広告収入に影響が出ない一方で、ウェブ+スマートフォン15ドル、ウェブ+iPad20ドル、ウェブ+スマートフォン+iPad35ドル(いずれも4週間あたり)の有料顧客が22万4千人ということは、平均20ドルとして月450万ドル、年間で5400万ドル、50億円近くが殆ど追加コスト無しで得られることになります。紙の新聞への広告減少に苦しむNYTにとってこれは干天の慈雨かも知れません。局次長はこう締めくくっています。「It’s helping us fund our journalism

一方、ブログサイトから出発したHuffington Postは3月にAOLと合併してから一段と中身を充実させています。NYTの著名記者を次々、高給で引き抜いて編集力を高めているほか、合併後に記事のセクションを21も増やしています。また、カナダ、英国に続き、フランスへも進出するとのことで、量的拡大に余念がありません。Huffpoは他のサイトからの借用記事が多くて「Journalism」の本道とは言えないかも知れませんが、タブロイド新聞風の思わず読みたくなるような記事満載サイトに仕上がっています。ちなみにクリスチャンサイエンスモニターの記事によるとHuffpoの2011年の収入見込みはは6千万ドル程度とされ、NYTデジタルの有料収入見込みといい勝負。両サイトの「質」と「量」の闘いは示唆に富むとともに、これからも熾烈に続きそうです。

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