- 2017年02月01日 18:31
LINEを既読無視する若者と分断社会の民主主義
2/2多様性は若者の一人一人の「内」にあること
座談会の「もっとリア充な人にきてほしい」と発言したある若者の言葉を発端に、またフロアが湧いた。
ブダペストのEUの2020年の若者政策を議論するカンファレンスの冒頭で
「若者について話すのではなく、若者とともに話そう」(”Let’s not talk about young people, but let’s talk with young people”)
と発言したのはスウェーデンの若者学の研究者のエリック教授だ。スウェーデンの若者政策を綴った政策文書には、「若者はこれまでになくその生き方・ライフスタイル・価値観が多様化し・複線化している」ことを指摘している。かつての日本では「一億総若者」と若者は輪切りにされてきたと古市憲寿が指摘するが、昨今はそれができなくなっているのは自明だろう。
参加者の若者が「一見リア充そうな人でも実は、人の目ばかり気にしているから本当は怖くて『ソフト』になっているから『普通』にみえるんだよ」と発言していたが、その通りで僕ら若者世代は奥も闇も深い。それを最近の若者はとんでもなく「複雑だ!」といわずに、「カラフル」になっているんだといいたい。
あらゆる属性の分断こそが民主主義の危機
昨年のイギリスのEU離脱の日、ぼくはイギリス人の友人らとスウェーデンの夏至祭をストックホルム郊外の城で過ごす。次の日、イギリス人の女友達が号泣。ぼくが驚いたのは、彼女の祖父母と両親が脱退に投票したということ。もちろん彼女は残留派。後に、これが単に世代間の価値観の分断を招いている象徴的な話しではないことを投票者の統計をみて知る。
経済格差のみならず、都市と田舎、世代による分断がいよいよ如実に現れ本格的に無理ゲー化してきたのが、英・米の2016年だった。
http://tatsumarutimes.com/archives/8928
こんな時代におけるローカルな取り組みが担うことは何か。これまで無視していた、英国脱退、トランプに投じた人にデモや暴動で「反発」するのではなく、その背景を理解しようとすることではないか。排外主義的な思想になるその背景を理解することではないか。それが、異なる主義主張者同士の妥協点ではなく「浮揚点」を浮かび上がらせ、合意形成していく民主社会をつくっていくことになるのではないか。
今一度、こやって民主主義を市民に、(支配を)戻していくことではないか。
身体化されたSNSが奪う若者の時間
By: Kārlis Dambrāns – CC BY 2.0
もうひとつ、講演前の別の大学教授との雑談で知ったこと。どうもこの5年前くらいから学生が忙しくなっているようで、ゼミなどの予定調整も大変の様子。返事も来ないとか。先生は、気になって何がそんなに忙しいのか聞いたらLINEの話になったと。曰く、学生はいくつもグループに所属しており、あらゆる通知が届きまくる。そしたら別のアプリの通知が届く。この繰り返しの末、既読無視をしてしまうと。
そういえば静岡でも同じように「LINEはみるようにしていません」という学生がいたことを思い出す。僕自身も共感でき、最近では「通知」はLINEくらいしかオンにしていない。
何が問題って、
・このわずかな「通知の山」が大量の時間を奪っている
・別に大して重要ではない通知と、重要な通知が一緒くたになっていること(地震通知と芸能人の不倫報道)
・平面化した過剰な情報の中で疲れてしまい、現実世界で重要なものとそうではないものの区別ができなくなる可能性があること
・意思決定が、「通知」から「選ぶ」という受け身な「消費者的」なものになること
・終いには「接続」を遮断してしまい連絡も取れなくこと(携帯端末の意味がない)
IT畑の人は「デジタル・デトックス(解毒)」をすることでうまくデバイスを操り、自分の体を「放電」することもできるが、これがすべての人ができるわけではない。
何が怖いってデジタル機器がますます「身体化」していることが。体の一部により近づいているという意味だ。スマホがどんどん便利になっていくのは、小型になったり、片手だけで操作できるようなったり、音声だけで動かせるようなっているから。それは「身体の一部のように」していくことで実現する。これはつまり、身体化していく「デジタルデバイス」が実態を伴う身体に与える影響が大きくなるということ。LINEいじめにより自殺問題は、このことの象徴かもしれない。同じメッセージをやりとりをするメディアであっても、手紙のやりとりだけで自殺まで追い込まれることはないだろう。身体との距離がますます近くなった、デバイスを通じたやりとりは、心の影響も大きいのではないだろうか。
まさに「攻殻機動隊」の世界がここにある。
どうでもいい「通知」が「心を病ませる」ってのはここにあるのかと。だからといってMac BookもOne Plusも投げ捨てようとは思わないけど、こういう視点は僕自身も考えさせられた。
まとめ
ちょっと文章が硬く専門に偏っていますが、今後はたまにはこういう投稿もしていこうと思います。Ideas worth spreading! ということで。




