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ネットからの収入割合が5割を超えた新聞

広告収入の減少で苦境に立つ米国の新聞。望みはインターネット広告の増大ですが、最近は年率で10%ほどの成長にとどまり、減少する一方のプリント広告を 補うまでにはいきません。あのニューヨークタイムズですら、今年上半期のデジタル広告は580万ドルも前年同期より増やしましたが、全広告収入は2636 万ドルも減ってしまいました。また、販売収入などを含めた全収入に占めるデジタル広告収入の割合はニューヨーク・タイムズの場合で15%程度です。

そんなわけですから、標題にあるような数字は新聞経営者にとっては夢の様な数字なわけですが、「ネット収入は、さらに増大する」と豪語する新聞幹部がいます。わずか4年前に誕生したPoliticoの編集主幹Jim VandeHei(40)です。ニュースサイトThe Wrapのインタビューに、当初は新聞(無料)からの収入が80%だったが、その割合は年々変化し、2011年にはイーブンになったとし、さらに増大すると答えているのです。

ワシントンの政治と行政にフォーカスしたPoliticoはネットでの評判が特段に高いので、新聞のことはあまり知られていませんが、実は当初からフリーペーパーとデジタルの両輪でスタートしています。新聞はワシントンの連邦議会開会中は週5日発行されていて、発行部数は3万3千部といいます。有料で郵送もしてくれるようですが、基本はワシントンDC周辺の店頭での無料配布です。読者層が限定されるので部数自体は当初から変わりません。

なぜ、ネット収入、つまりネット広告ががどんどん増えたのか。それは記事の量だけでなく質やサービスが一般紙やテレビ局を凌ぐからだと言われます。当初からワシントン・ポストのホワイトハウス担当だったVandeHeiと同僚のJohn F. Harrisをはじめとする40人の編集スタッフという陣容は、それだけで既存メディア並かそれ以上でしたが、その後もスタッフは格段に増えています。

サイトでスタッフ全員の紹介をしていますのでチェックしてみたところ、編集スタッフだけで、いまや160人以上で、広告や総務スタッフを合わせると230人ほどにもなります。これだけの人員をワシントン政治・行政に集中させて、携帯端末に当日の議会、行政の動きをブリーフィングするニュースレターを朝一で届けることから始まり、日中はそれこそ分刻みでネット報道し、それを

翌日の新聞で編集・整理して提供します。メール、ウェブ、新聞が有機的に繋がっているわけです。

このようなシャワーのような政治・行政ニュースを必要とする人は限られていますが、VandeHeiは先のインタビューで“We might get fewer eyeballs, but we’re getting a very elite eyeball.”と言っています。つまり視聴者数、読者数は少なくても、教育程度が高く、金持ちで権力のある人たちが読者なので高額の広告が集まるのだと。ただし、少ないと言っても月間のユニークビジター数は400万を超えています。

さらに、ネット収入を増やすため、2月からはPOLITICO Proという新サービスも始まっています。これは国政の中でも重要課題であるエネルギー、テクノロジー、ヘルスケアの3分野に限ってのプレミアムコンテンツを配信するというもので、スタッフは本体とは別で、それぞれの分野別に8人程度の専門記者を配置していて、編集長やデスクなどを含めると35人の体制です。で、その料金は1分野で年間2495ドル。1分野を追加すると1000ドル。つまり3分野全部だと4495ドルという超高額設定です。

その契約者数はどの位なのか、Politicoはまだ明らかにしていませんが、Pro開始当日のPoliticoの記事の中で、Tim Grieve編集長が「すでに目標数を上回った」と語っていますので、出足は悪くなかったよう。また、ワシントンには2010年の統計だと12,964人のロビイストがいて、そのロビイングに35億1千万ドルも使われたということですから、この層に喰い込むだけでも相当の数が見込めそうです。

まあ、これらを加えるとネットからの収入は、新聞からの収入をどんどん超えていくというわけですね。政治に特化したニッチだからだという見方も出来ますが、日本の新聞社は米国の新聞に比べるとずっと沢山の記者を抱えているわけですから、特定分野に絞った有料ニューズレターをいくつも配信することなどはそう難しくないような気もしますね。そういえば、The Wrapの記事でCBSNews.comのシニア政治記者のBrian Montopoliがこう言っています。”they’ve redefined the way I do my job and the way the internet-based journalists work.”

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