今日は、最近関わっている面白いプロジェクトについて紹介します。
厚生労働省ジョカツ部です。
1.大臣の若手特命チーム
これは、塩崎大臣が10月29日に立ち上げた若手の特命チームで、正式名称は「女性・イクメン活躍検討チーム」と言います。「ジョカツ部」は彼らが考えた愛称です。
女性の活躍推進策について、進め方も中身も自由に考えるのがミッションです。
僕自身は、既に若手と呼ばれなくない年齢になっており、メンバーではありませんが、兄貴分的な感じで彼らの活動をサポートしています。
彼らは、普段の役所の政策検討プロセスを大きく変えました。
2.新しい政策検討プロセス
〇 これまでの役所の政策検討プロセス
サービス提供者からの要望・意見を踏まえ、 既存の制度、予算、関係団体との関係から 「できること」を検討。
〇 ジョカツ部の政策検討プロセス
聴取した1417名の生活者の声を踏まえ、将来的検討事 項も含め、必ずしも、既存の制度、予算、関係団体との 関係にとらわれることなく、「すべきこと」を検討。
【詳しい対照表】※ジョカツ部提言より
厚労省の一般的な検討プロセス | ジョカツ部の検討プロセス | |
1.検討の場所 | 省内で、統計データやグラフ等に基づいた検討が一般的 | 霞ヶ関を飛び出して、実際に生の声を聞き、双方向の議論を通じて、何 が課題なのかを感じ、どうあるべきかを考える |
2.ヒアリング対象 | 関係団体や有識者のヒアリングが中心 | ①大学生、②子育て中の求職者、③企業の人事部、女性社員、④自治 体職員、子育て中の方、⑤この分野の若きカリスマ的存在の方など 様々な方からヒアリング <生の声ヒアリングを実施> メンバーがそれぞれ知人や友人に会って、課題やその解決策等を聴取 |
3.情報発信 | あまり開示 していない (国民の声はルーティン(パブコメ)での把握のみ) | 検討プロセスを見える化SNS(Facebook)等を活用して 積極的に情報発信(そこでの国民の声を施策に反映) |
4.意思決定・連携 | 各局ごとの検討、 各局ごとに「できること」を企画・提案 | 大臣直轄の選出メンバーによるチームでの検討。 局の所掌と関係なく「すべきこと」を企画・提案 |
3.提言の内容
12月27日
「ジョカツ部」は、こうした新たな検討プロセスで作り上げた提言を塩崎大臣に提出しました。
提言はこちら(↓)
http://www.mhlw.go.jp/ikubosu/dl/05.pdf
提言内容は多岐にわたりますが、
彼らが生活者の声や若きカリスマの声を聴いてたどり着いた結論は。。。
〇 女性は仕事も家庭もがんばっている
☆ 第一子出産後に仕事を続ける人の割合は初めて5割を超え、53.1%に。
※ 第1子出産前後の妻の就業継続率はこれまで4割前後で推移してきたが、2010~14 年では 53.1%へ上昇。(厚労省「第 15 回出生動向基本調査」)
〇 女性の活躍のためには男性と企業が変わらないといけない
☆ 男性の育休取得率は2.65%(厚労省「平成 27 年度雇用均等基本調査」)
☆ 男性の家事時間は1日当たり1時間7分 (総務省「社会生活基本調査(平成23年)」)
※ 欧米は2時間30分~3時間30分程度。
☆ 依然として日本は長時間労働。
※ 年間労働時間1,719時間(2015年総務省「労働力調査」。フルタイム労働者に限ると年間2,000時間を超えている)は、欧州諸国よりかなり長い。
男性の家事・育児参加と長時間労働の文化が変わらないと、
「女性の活躍」と言っても、女性に無理ゲーを押し付けるだけになってしまいます。
あるいは、企業でコアとなる戦力が長時間労働を前提としていては、子育て中の女性は能力があっても活躍することができません。