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家計にも直撃?年収1,000万円超の会社員の不幸な事実 - 浅野千晴(税理士)

あなたはお金持ちと聞くと、年収いくらくらいを想像しますか?

「年収1,000万円」は1つの収入のボーダーラインとなるのではないでしょうか。そのような憧れともいえる年収1000万円ですが、税金の負担が、今徐々に重くなってきています。

■年収は同じなのに控除が下がって結局「増税」に


日本で一番税収が高い税は、個人に対して徴収される所得税です。今のご時世として、国は日本企業の国際競争力を高めるには法人税を下げざるを得ず、代わりに所得税の負担を増やして税収を確保するという傾向が続いています。ただし、景気が低迷する中、低所得者層から税金を取るわけにはいきません。その結果、一番取りやすい高所得層が狙い撃ちされてきています。

増税といっても、単純に税率を上げているわけではありません。給料は、給与所得控除と呼ばれる税率をかける前に決められた「経費」を差し引くことができます。今までは給料が上がれば上がるほどこの経費も多くなっていましたが、この控除に上限(頭打ち)が設けられたのです。

まず、平成25年に収入が1500万円超の会社員を対象に制限を設け、平成28年は1200万円、今年(平成29年)からは年収1000万円の会社員にまで対象を広げ、給与所得控除額は一律220万円になりました。経費が固定されると、稼ぐお金が多ければ多いほど、税金を多く納めることになります。また所得税だけでなく、翌年の6月に追って課税される住民税も同様に増税になります。たくさんもらっている人は税金を取られて当然と皆思っているのか、消費税増税のような激しい反対もなく、1000万円超の会社員はこうして静かに増税をされています。

■1000万円を超える収入のさらに痛い仕打ち?各種手当


この他、年収1,000万円の人は手当を減らされる、結局もらえないといった制限の対象になります。まず、子供のいる家庭に支給される児童手当は対象外となります。

さらに、子供が中学を卒業して高校生になると、子供手当に代わるものとして、高校の学費が無償化となる「高等学校等就学支援金制度」があります。ここでも所得制限があり、年収1000万円の世帯は援助を受けることができません。

また、年収でなく、経費となる所得控除後の金額での判定となりますが、平成29年度の税制改正で所得が1000万円を超えると配偶者の控除ができないことになりました。年収1,000万円を少しだけ超えたくらいの人は今のところはまだ配偶者控除を受けることができますが、これも今後また変更されることにもなるかもしれません。

■年収1000万円は本当にリッチなのか


平成28年9月公表の国税庁による「平成27年度民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給料は420万円ですが、年収1,000万円以上の割合は給与所得者全体の47,940千人のうちの2,092千人、割合では4.3%です。100人のうちの4人という割合は意外に少ないと思うのかもしれません。

また、多く稼ぐ分、出費も多く、年収が高い割にはリッチだと感じる人も少ないでしょう。実際、年収1000万円レベルはいたって普通です。子供の学費を払い、住宅ローンを払うとあっという間に給料はなくなってしまいます。他の人より少しだけ余裕があるので子供に塾に通わせてあげたり、家を買うところを少しだけいい場所にすることができたりする程度なのではないでしょうか。本当にリッチと言われる年収レベルは一般的に3000万円と言われているのもそのせいかもしれません。

■重要なのは計画的な貯え


サラリーマンは年収2000万円を超えない限り、確定申告をする機会はあまりありません。年末調整も会社にお任せがゆえに、自分がいくら税金を支払っているのか無頓着な人も多いです。

年収1000万円の人は、お金がある程度あるので、ちょっとした贅沢はできます。しかし、そういった積み重ねが生活コストを上げる結果につながってしまいがちです。さらに貯蓄に回す余裕がなくなってしまっても、生活レベルを下げることはなかなか難しいため、将来老後破産になりかねません。「今までたくさん税金を納めてくれたから老後は特別に国が面倒を見てくれる」など、納税の特典があればいいのですが、税金は多く納めても少なく収めても扱いは同じです。やはり老後により良いサービスを受けたいのだったら自らの計画的な貯えが必要となるでしょう。

増えた税負担を減らすためにも、医療費やふるさと納税といった制度を活用し、税金を取り戻す節税にも目を向けてみるのもよい機会なのではないでしょうか。

【参考文献】
■なぜ高齢者は預金をたくさん持っているのにお金を使わないのか (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/50299969-20161225.html
■マイナンバーは税金の無駄遣いの救世主になることができるか (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/50115713-20161130.html
■あの有名企業も名指しで経産省から勧告、消費税の転嫁拒否という「パワハラ」。(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/49892463-20161030.html
■配偶者控除見直し論議。そもそもパート労働者は労働を調整して節税しているのか。(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/49590772-20160920.html
■スポーツ選手は見た目より厳しい?ご褒美には税金が待っている (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/49318448-20160816.html

浅野千晴 税理士

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