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中間管理職でそこそこの人生。勝負に出るため起業するのは、無謀?

出口治明 構成=八村晃代 撮影=市来朋久

――起業をするとすれば当然、会社を辞めることになります。失敗はできないと思うと悩みます。

50歳前後は、ちょうど起業に向いている年齢だと思います。職場での行く末も見えているし、貯蓄もある程度あり、社会での経験も積んでいるのですから。

僕は「50歳は人生の真ん中だ」と言っています。その意味は、人間は動物なので、自分で餌をとるようになるまでは一人前ではありません。つまり、親に養ってもらっているうちはまだ半人前です。今、大学の進学率は52%ですから、半分が高卒と考えたら、平均してちょうど20歳が社会に出る年齢です。つまり20歳が一人前の人間としてのスタートになります。

50歳は働いてから30年。人生85年と考えると、あと30年近く働けます。

――50歳は、一人前の人間としての折り返し地点ということですか。

はい。起業に最適です。パートナーさえ説得できれば、どんどん起業すればいいのではないですか。

――幸い、妻は「好きにすればいい」と言ってくれています。

それなら悩むことはありません。起業して仮に失敗したとしても、飢え死にするようなことはない。これからの日本は人手不足です。ご飯を食べていくための仕事はたくさんあります。

――起業に向く人、向かない人ってありますか?

現実に対してリアルな感覚を持っているかどうかが大切だと思います。ただ、中間管理職になられているのならリアルな感覚を持っているということですから、起業に向いていると思います。現職で仕事が評価されているのですから、経験値があり、能力も高いはずです。

あえて言えば人間には2通りのタイプがあると思います。人から言われて一心不乱に頑張るタイプと、自分で仕事をつくり出すタイプです。起業は、人から言われたことを頑張るだけでは駄目ですね。

――ああ、わかるような気がします。

僕が30歳くらいのときに、商社で第一線を走っていた友人が、お父さんが病気になったので家業を継ぎました。その友人と飲んでいたとき、こう言うのです。「人間は人を使う人間と人に使われる人間の2種類に分けられる。商社にいたときはめちゃくちゃ楽だった。迷ったときは、上司に投げればいいのだから」と。

ですから、起業するために必要な能力を一つだけ挙げるとしたら、自分で決めることができるかどうかでしょうね。

――判断力や勘なども必要なのでしょうか。

ビジネスのほとんどは基本、儲かるかどうかで、合理的に答えが出るものです。

Answer:50歳前後は起業に最適な条件が揃っています

画像を見る 出口治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険会長 

1948年、三重県生まれ。京都大学卒。日本生命ロンドン現法社長などを経て2013年より現職。経済界屈指の読書家。

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