- 2017年01月26日 07:00
社員に求めるのは「会社に◯時間いるか」よりも「Twitterのフォロワー数」──コルク佐渡島庸平さんに聞く、会社に依存せずに生きる自立心の作り方
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編集部の明石(@akyska)が自身のTwitter活用相談を始める

自分がどういう人生を生きる主人公なのか、まず考えてみましょうか。明石さんにとって今現在、サイボウズという会社は頭の何割くらいを占めていますか?

うーん……。7〜8割くらいですね。

会社や仕事が、自分の人生と一体化している感じですね。

いい意味でオン・オフの境界線がないんです。まだ入社2年目の新人ですし、当面は仕事を一生懸命やりたい、と思っています。

それならプロフィールは「サイボウズで働く社会人2年目。人生をかけて打ち込むものを探しています」みたいに書いて、会社のロゴ前に立った笑顔の写真を使うのはどうでしょうか。履歴書だとキャラは伝わってこないけど、こうやって考えて設定したTwitterのプロフィールなら、その人が何者なのかパッと伝わりますよね。

ひと目でわかる気がします。


ツイートに関しては、たとえば「サイボウズの社風や雰囲気は◯◯な感じ……だから仕事にのめり込むようになった」みたいに、仕事をおもしろいと感じるきっかけになった社内のしくみや制度を紹介してみると、たくさんリツイートされる可能性はあるでしょうね。 でも、歳を重ねていくにつれて、体調面で気になることが出てきたり、結婚や出産を意識したりするようになるかもしれません。そんなときは「私、仕事に打ち込むためだけに生きてるんだったっけ……?」みたいに、悩みを率直にさらけだしてみると、共感も増えていく。

なるほど……!
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ただ、さらけだすことでリスクはありませんか?

「他人にさらけだされる」のとは違い、「自分からさらけだす」のにはリスクはないと思うんです。何をどうさらけだしていくか、自分で範囲を決められますし、正しくさらけだす結果、幸せな方向に進んでいくんじゃないか、と思っていて。

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正しくさらけだす?

アドラー心理学で興味深いことが言われているんですよ。「他者は、仲間である」と認識するのが大事だと。人は他者に対し、基本的には悪意を持っていないし、こちらが悪意を持たなければ、仲間になれる可能性がある、というんですね。 このとき前提にあるのは「自分が変わらなければ相手も変わらない」という考え方。「相手は自分の仲間なんだ」と信頼して、自らを変えていくのが、自分からさらけだす行為です。ぼく自身、そういったスタンスでSNSを使っていますね。
起業するのは簡単だけど、リーダーになる覚悟をもつのは難しい

その前提を聞いて腑に落ちました! ここからは、仲間やチームの話を伺っていきたく。

仲間やチームについて語るとき、よく出てくる言葉に「One for all, All for one」ってありますよね。最近までずっと「1人はみんなのために、みんなは1人のために」って意味だと思っていたんです。

え、違うんですか?

はい。正しくは「1人はみんなのために、みんなはひとつの目標のために進む」だそう。

知らなかった……!

話を戻すと、コルクでは「『クリエイターが生み出した作品を、世界に届け、後世に残す』ために、必要不可欠な会社になる」という目標を掲げています。言い方を変えると、クリエイターが創作活動だけで食べていけるビジネスモデル、世界を作るということ。 その目標を実現するために、社員全員に貢献してほしいし、貢献するうちに売り上げも自然とついてきて、持続可能なビジネスモデルができている──コルクのメンバーは全員、同じ“船”に乗っているわけですから、この理想的な状態に向かって船が快適に走行できるよう、力を出してほしい。

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“船員”たちのリーダーとしてメンバーを見て、感じることはありますか?

同じ船に乗る人間だからといって、必ずしもリーダーのビジョンを真に理解しているとは限らない、ということですね。とはいえ、編集者を10年、経営者を4年やっている人間が示すビジョンを、社会人になって間もない若い人が理解するって、相当難しいだろうなとわかってはいるんですけどね(笑)。
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以前、noteに「リーダーは1人ではなれない。チームを作ろうと努力して、チームのメンバーからリーダーとして信頼されないと、リーダーにはなれない」と書かれていました。

あの頃は、自分がリーダーとしてふるまうことを、心のどこかで恐れていました。ぼく自身も変わらずにいましたし。変化が起きたのは10月。取締役CTOの萬田大作が、正式にジョインしてくれてからです。 萬田は「佐渡島さんのビジョンをいっしょに叶えたい」と言って、ぼくのビジョンを実現するために入社してくれた人。彼がぼくをリーダーとして扱ってくれたおかげで、リーダーとしてふるまうきっかけをもらえましたし、リーダーとしてのふるまいに躊躇(ちゅうちょ)する気持ちもなくなりました。
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自分から変わる勇気を持てたんですね。

出版社を退職して、コルクを起業して社長になる──ここまでは自分1人で完結することだから、決して難しくないんです。でも、チームを率いるリーダーになる覚悟をもつ、という状況は、萬田がいなければ無理だったと思います。
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リーダーというと、マネジメントもリーダーシップも両方兼ね備えなければならないイメージがありますが、どうお考えですか?

ある方から「マネジメントとリーダーシップは別物」と言われたことがあります。簡単にいうと、マネジメントはやりくりすることで、リーダーシップはより明確なビジョンを示すこと。 うちだと、マネジメントは萬田に任せて、ぼくはリーダーシップを磨かなければ、と考えています。先ほどの話に戻りますが、クリエイターが生み出した作品を、世界に届け、後世に残すために、社員に対し「まずはTwitterを……」と指針を示すわけです。 Twitterに注力することが、本当にクリエイターのためになるのか、自分の能力が高まるのか、若干迷いを感じている社員がいたとしても、より鋭く明確なビジョンを掲げ、全員に邁進してもらう必要があります。

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迷いを感じる、というのは確固たる正解がないからでしょうか。

そう。たとえば、営業職だとこうすればうまくいく、みたいな正解がありますよね。でも、「Twitterに力を入れたら、将来的にクリエイターのためになる」という前例はまだない。ほかの誰もそんなことを言っていないし、やっていないから。 ぼくの言っていることが、正解なのか不正解なのか結論づけるまでには、もう少し時間がかかるんですよね。極端な言い方をすると、ぼくたちは真っ暗闇の中を進んでいるようなもの。だから、ぼくがサーチライト的な役目を果たしながら、みんなを引っ張っていかなくちゃいけない。 社員には「2年はついてきて」と伝えています。SNSそのものを完ぺきに理解するには、2年はかかるだろうと思っているので。現在のやり方でうまくいかないところがあれば、3ヶ月ごとに変更を加えていくつもりです。
会社と個人の関係がゆるやかに、自由になっていく未来
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最後に1つ、お聞きしたいことが。会社と個人の関係性は、今後どうなっていくとお考えですか?

雇用している/されているといった上下関係のようなものではなく、どんどんゆるやかになり、アライアンス(提携、同盟などの意)的なものになっていくんじゃないでしょうか。 先ほどのアドラー心理学の話と同じく、リーダーが関係者をむやみに“拘束”するのではなく、心から信頼し「(副業など含めて)自由にして構わない。でも、会社の仕事には全力で取り組んでね」というスタンスで、みんなが楽しめる目標を示し続けるのが、互いにとってよい関係性を生み出すと思います。
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会社と個人の関係性が変わっていく中で、会社のルールのあり方も変化しそうですね。今のコルクではルールや規則を設けていますか?

ほとんどないですね。社員が増えるにつれて「自分で意思決定する負担をかけたくないから、ルールを置いてほしい」と要望が出てくるかもしれませんが。でも、ルールがあると“やらされている感”が出てしまうため、できるだけなくしたいと考えています。
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たしかに、ルールは自立心を阻害してしまいそうです。

堀江貴文さんが主宰する会員制コミュニケーションラウンジ「堀江貴文イノベーション大学校」を見ていると、すごくいいなと思うんです。超優秀な人たちが仕事を終えた後、自主的に集まって、本気で遊んでいるんですよ。

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優秀な人たちが本気で遊ぶ……。すごいコミュニティですね。

本気の人間だけを集めて遊び続けるほうが、給料を払って働いてもらうよりも、組織として強くなったり、良質なアウトプットを生み出せたりするんじゃないか、と見ているんです。作品を創るのも、完成した作品を広げるのも、すべてが本気の遊びという感覚。社員は0人で、ボランティアだけでコンテンツを作れないか、とも考えています。
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こうした取り組みで、しっかり収益を出せるようになると、やはり会社と個人の関係性は変わっていきそうです。

収益が出るようになれば、儲けを別の作品創作に充てるなど、遊びの報酬が遊びになって、プロジェクトがどんどん拡大していく。最初は1〜2時間/日の遊びだったのが、24時間/日遊びにしたい、という人が出てくるかもしれない。 そうなると、その人をコミュニティプロデューサーにして、給料を払って……というように、最初からルールを設けるのではなく、臨機応変に回していくほうがおもしろいと思います。
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すごくワクワクします。コミュニティプロデューサーを育成する実践型コミュニティ「コルクラボ」でも、そういった取り組みをおこなっていくんですよね。

Facebookグループを活用した既存のコミュニティ(オンラインサロンなど)とは異なる、コミュニティの濃度を濃くするUI/UXを独自開発したので、いろいろと試しながら運営を続けていくうちに、これまでにないコミュニティプロデュースの知見が蓄積していくはずです。そこで得た知見を、作家と作品創りをしていく場で、応用していきたいと思っています。
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仕事が”本気の遊び”になり、企業と個人の関係性はゆるやかなアライアンス的なものになっていく。労働時間や働き方にとらわれない、「成果」を出すための仕組みがこれから必要になっていくのかもしれません。 今日はありがとうございました。
聞き手:藤村能光・明石悠佳/構成:池田園子/写真:橋本美花



