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カウンセラーやソーシャルワーカー、どう学校に位置付ける?

不登校、いじめ、家庭の貧困、虐待、さらには自然災害時の対応……学校で子どもに寄り添う存在は、まず教職員です。しかし教育の専門家である教職員にも、限界があります。今や心理の専門家であるスクールカウンセラー(SC)はもとより、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカー(SSW)も、学校や教育委員会には欠かせない存在となっています。文部科学省の協力者会議は先頃、教育相談に関する最終報告をまとめるとともに、SCとSSWの「ガイドライン(試案)」を作成しました。今後、学校にSCやSSWをどう位置付けることが求められるのでしょうか。

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SCの家庭訪問にも道

SCやSSWは、いずれも名称に「スクール」が付いているとおり、学校に関わる専門職です。その専門職性を発揮するには、まず子どもの側に立ち、学校とは一歩距離を置くことで、教職員には話せない相談も可能になるといった「第三者」としての役割も重要だとされてきました。

しかし、子どもの問題は、複雑化してから対応したのでは、解決が困難になるケースもあります。未然防止や早期発見、早期支援・対応が、ますます必要になっています。一方、ただでさえ教職員の多忙化が進むなか、初期段階の子どもに目が向きにくくなっていることも否定できません。

そこで2015(平成27)年12月の中央教育審議会答申では、教職員が心理や福祉の専門スタッフなどと連携・分担して学校の機能を強化する「チーム学校」を打ち出しました。

たとえばSCの場合、決まった日や時間にカウンセリングルームで子どもや保護者が相談に来るのを待つだけでなく、今後は、教職員への助言・援助はもとより、安心して過ごせる学校づくり、学級集団の把握などの役割も期待されます。校長が必要と認める場合には、保護者の了解を得たうえで、SCも家庭訪問ができるようにするとしています。

医療に倣って新たな関係構築を

SCやSSWがそうした新たな役割を担うには、各学校に常駐することが当然必要になります。文科省はSCやSSWを、将来的に教員などと同様、学校に必ず置かなければならない職として、国庫負担の対象にまで含めたい考えですが、国の財政も厳しいなか、そう簡単に行きそうにないのが現実です。そこで、まずは拠点校や教育委員会に常勤で配置し、各学校に巡回や派遣を行いながら、徐々に数を増やすことを目指しています。

学校の正式な一員になるということは、学校の責任者である校長の部下になって、監督下に置かれるということも意味します。それでは第三者としての専門職性が損なわれるのではないか……という懸念もあります。チームの一員として密接に連携・協力しながらも、お互いの専門性を尊重し合い、どう役割分担をしていくか、新しい関係の構築が課題になるでしょう。

手がかりになるのは、報告で提言されている「ケース会議」かもしれません。医療分野では、介護士や管理栄養士、臨床心理士、臨床検査技師なども含めた多様な職種が意見交換をしながら、治療や支援の方針を検討するカンファレンス(会議)が行われています。学校にも、そんな多様な「目」と「手」で子どもや保護者を支えていくことが必要になっているのです。

※教育相談等に関する調査研究協力者会議最終報告「児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/120/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2016/12/08/1379214_1.pdf

※中教審答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(2015年12月)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1365657.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

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渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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