- 2017年01月23日 07:30
「サイボウズで複業しませんか?」 複業採用のQ&Aを社長に直接聞いてみた
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「サイボウズで複業しませんか?」
2017年1月17日、サイボウズが「複業採用」を発表し、多くの反響がありました。新しい働き方に対する共感もあれば、本当に複業採用ができるの? なんて声も。そこで、ソーシャルメディア上でいただいた反響を直接、サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久にぶつけてみることにしました。
副業ではなく「複業」採用──「そもそも誰もが複業している」ことが前提
複業採用、結構反響ありましたね。
ありましたね~。最初は「サイボウズで複業したい人を採用する」という取り組みがおもしろいかどうか分からなかったんですけど、今回の反響を見ると、世の中には複業をしてみたい人がいっぱいいるんだと思いました。
サイボウズでは社員の副業を認めていて、それをより拡大したという感じですかね。かつ、今回の採用は「副」業ではなく、「複」業に関するものだと。
そうですね。副業と複業で言葉は似ていますが、僕はとらえかたが違うと思っています。 まずは「副業」について話します。例えばどこかの会社にフルタイムで働く「主業」があるんだけど、空き時間で株の売買や不動産投資をするといったことは、副業としてイメージしやすい。 副業という言葉だけを見るとどうしても「会社に雇われたり、金銭の授受が発生したりする」と思いがちですが、僕の解釈はそれだけではない。
「副業」は副収入といった「Sub」の意味合いをもつイメージですね。
ええ。最近、経済産業省の副業の会合に行った時に「副業ができる人は意欲が高く、スキルもある人じゃないか?」という議論になりました。 いや違う、ちょっと待てと。僕は副業ではなく「複業」のスタンスです。意欲やスキルに関係なく、複業はできるじゃないかと。
今回は「複業」採用ということもあり、複数という「Multi」の意味合いを持たせているのかなと思います。
そうなんです。そこは前提として話しておきたいなと。 僕の思う複業は「2つの会社で同時に働く」を、もう少し広げたものなんです。家事や育児だって外注すればお金が掛かるでしょう。これも立派な仕事じゃないですか。これも複業だといえるんじゃないでしょうか。
そうすると、誰もが複業をしている状態ともいえます。
そうですね。会社で働いていなくてもみんな何かしらの仕事をしているし、現実的に複業をしていない人はいないはず。だからこそ、「副業採用」ではなく「複業採用」と言っています。
これがサイボウズの複業採用に対する前提でもありますね。
会社の仕事しかしていません、という人はいないはずですから、広い意味ではすべての人々が複業している。むしろ複業が当たり前だと思っています。 そしてどのように複業するかは本人の意思に任されているので、複業を増やしたければ増やしてもいいし、減らしたいなら減らせばいい。
分かりました。ではこの後の質問に対する答えは、すべて「副業」ではなく、「複業」に対する答えになってくることを踏まえた上で、実際の反響を青野さんにぶつけてみたいと思います。
「人は会社1社にフルコミットしなければいけない」ではなく、誰もが「複、複、複」で生きている
では、最初のコメントから。こんな状態になったら、どうしますか?
もしも弁護士が、サイボウズの法務に複業採用で入社したとして、M&Aのディールが緊迫している時期に 「明日は副業の大事なお客と面談するので会社に行きません」となったらどうするのか。
うーん、どうもならないんですけど……(笑)。この方は「主業」と「副業」という見方のようですね。 ただ、この副業を会社の仕事ではなく、家族の仕事に置き換えてみるとどうでしょう。大事な仕事があるけど、子どもが熱を出してしまったとする。この場合だと、仕事よりも子ども、よくあるケースですよね。複業の発想です。 仕事と家庭に優劣はないですし、みんな「複、複、複」で生きている。それを踏まえた上で、今回のようなケースのときでも、その時々で対応するしかないのでは。
「会社で仕事をすることが大事」という美徳があるがゆえに、「本業に差し支えがないように」といった意識が働くのかもしれません。
生きていれば、普通にみんな差し支えていますよね。熱が出れば休むし(笑)。「人は会社1社にフルコミットしないといけない」ではなく、「そもそも人は会社1社にフルコミットすることはできない」と見方を変えてみるのがいいのかも。