- 2017年01月21日 14:48
トランプ演説で占うアメリカの変貌
トランプ大統領の就任演説の日本語版全文を読んでみた。当選するまでの個性的な姿勢を少しは修正して、多少は融和的に国民の統合を呼びかけるかと思いきや、相も変わらぬ攻めの姿勢で一貫していた。冒頭の部分では、ワシントンの一部エリートに支配されてきたアメリカ国民を解放して主権を取り戻す的な構成になっていて、これではまるでアメリカ人が大嫌いな社会主義革命を宣言しているようなものだと思った。オバマ大統領の8年間は独裁の圧政だったとでも言うのだろうか。オバマがヘリコプターで会場から去ったのは、その雰囲気を事前に知っていたからかもしれない。
トランプの評価によれば、オバマ時代のアメリカは、何兆ドルも費やして遠い外国の国境を守り兵士の犠牲も出しながら、自国の国境は一向に守らなかったというのだが、アメリカの国境のどこが侵略されたのか思い当るところはない。たぶんメキシコからの不法移民を問題にしているのだと、しばらく考えたらわかった。だからこれからは「アメリカ第一主義」にするというわけだ。アメリカの大統領だからアメリカの国益を考えるのは当然のことだが、そこで欠落するのが世界の平和とか未来に向けての視点で、自由と民主主義は、演説の中で一度も強調されなかった。誰かがトランプは実業家だから政策も「取引」で考えると評していたが、そうかもしれない。日米関係も、たぶんアメリカのためになる「取引」で考えるだろう。
世界最大の経済力と軍事力を保持しているアメリカの大統領が、「アメリカ第一主義」を宣言したことの意味は決して小さくない。アメリカの傘の下にいる日本は、基本姿勢を改めないと、とんでもない取引を押し付けられる可能性もある。「強固なる日米同盟」を絶対視して、アメリカの言うことを聞いていれば間違いはないと安心していたら、今までとは勝手が違ってくるだろう。
安倍首相は、一日も早く再会して日米同盟を強化したいとアピールしているようだが、相手は「アメリカ第一主義」で迫ってくるのがわかっている。アメリカ大統領の権限は、日本の総理大臣よりずっと強いから、大統領の意向はストレートに交渉に反映するだろう。先方が「アメリカ第一主義」なら、こちらは「日本第一主義」で対抗できるだろうか。
トランプの言うことだけを聞いていたら、丸ごと日本を売り渡すような取引にもなりかねない。相手は遠慮はしないだろう。さりとて安倍首相が持ち出す「日本第一主義」の中身がどんなものになるか心配である。核武装した「防衛自立」に突っ走ったりしないだろうか。アメリカが内向きになるのなら、アジアに新しい平和な環境を作り出すチャンスにもなるのだが、安倍政権にそれだけの先見性は期待できそうもない。これからアメリカは変るだろう。日本もそれに合わせて変われるといいのだが。



