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堀義人のダボス会議2017速報(2) 「第二次世界大戦後に築きあげてきた世界秩序が崩壊し始めている」

ダボス会議3日目の様子です。早朝の「チームジャパン戦略会議」に始まり、夜はジャパンナイトと盛り沢山でした。最も強く印象に残ったのは、ジョー・バイデン米国副大統領のスピーチ。「第二次世界大戦が終わってから欧州・米国が二度と戦争を起こさないために作ってきた自由貿易、安全保障体制、EU統合等の努力が、今逆戻りし始めている。何が何でもこの流れを止めなければならない」と世界に警鐘を鳴らすもので、日本が果たすべきこれからの役割について考えさせられました。

ダボス会議3日目。朝6時に起きて、ルーチンとなっているストレッチ、腹筋100回の後、メール返信をしてから、スーツに着替えた。本日も朝からスケジュールがみっちりだ。頑張ろう!

最初の会合は、下村博文 自民党幹事長代行、山本幸三 内閣府特命担当大臣、丸川珠代 東京オリンピック・パラリンピック担当大臣をお招きして、小林喜光 経済同友会代表幹事、朝田照男 丸紅会長、佐藤康博 みずほフィナンシャルグループCEO、清家篤 慶應義塾長、長門正貢 日本郵政社長、吉田慎一 テレビ朝日HD社長などと共に「チームジャパン戦略会議」だ。シンクタンク・ソフィアバンク代表の藤沢久美さんと一緒に企画しました。

チームジャパン戦略会議を終えてコングレスセンターに歩き、朝9時からのセッションに参加している。テーマは、「The Future of Warfare」。AIやロボット、ドローンなどが戦争をどう変えるのか、そして、どう規制するのか?

ダボス会議にハーバード大学教授のマイケル・サンデルさんが登場!対談相手は、フィナンシャル・タイムズのジリアン・テットさん。

ジョー・バイデン米国副大統領がダボス会議に登場。「副大統領としてはあと48時間。最後のスピーチをダボス会議ですることにした」。会場は満杯だ。登場した時に、立ち上がる人が半数程度。おそらくアメリカ人であろう。

ジョ―・バイデン副大統領のスピーチは、現況を憂える内容で、世界に警鐘を鳴らすものだった。「第二次世界大戦が終わってから欧州・米国が二度と戦争を起こさないために作ってきた自由貿易(WTO)、安全保障体制(NATO)、EU統合等の努力が、今逆戻りし始めている。何が何でもこの流れを止めなければならない。私人に戻っても訴え続けたい」。

著書『ライフ・シフト』で有名なリンダ・グラットン女史と意見交換した。「英国の知識人は皆落胆している。まさか欧州離脱が現実のものになるとは思っていなかった。弁護士の夫に聞いても、もういかなる方法でも離脱の流れは止められない。戦後作ってきた平和維持のための欧州統合の流れが崩壊する感覚がある」。

英国人の知識層と話していると、涙が出てくるほど感傷的になってしまう。世界を引っ張るべき国が、世界の問題となっている悔恨の気持ちなのか、戦後作ってきた秩序が壊れていくことの悲しさからくるのか、自らが社会の断絶を埋め合わせられなかった後悔の念なのか・・・。日本は、しっかりしないとね。

一方、米国人知識層と話をすると、「希望を持っている」と言う。米国人の楽観主義から来るのだが、議論をするとトランプの政策の問題を冷静に指摘する。ジョー・バイデン氏のスピーチも、半分以上がトランプ政策の問題点を指摘していた。

まさに世界最大のリスクは、トランプ政権の不確実性だ。

ダボスは、本日は快晴だ。今年のダボス会議は、天候に恵まれているが、とても寒い。昨晩は氷点下20度まで下がった。最高気温がマイナス5度の世界だ。一方、屋内の会議場では熱い議論が交わされている。そして世界は、激動の嵐の真っ只中だ。 

さて、パワフルな女性リーダーのセッション「A Positive Narrative for the Global Community」。IMFのクリスティーヌ・ラガルデ氏、HPのメグ・ウィットマン氏、Facebookのシェリル・サンドバーグ氏ほか。日本人女性が欲しい!

「Economics for the Global Commons」。ジョセフ・スティグリッツ教授、ローレンス・サマーズ教授等が参加して、経済成長と環境問題の両立を考慮しながら、総合的かつ現実的に解決することをみんなで議論する。 

ダボス会議では、セッション内容を即座にビジュアル化している。 

福岡市の高島宗一郎市長とダボス会議で会いました。日本の首長としては唯一の招待です。素晴らしい!

ダボス会議3日目、水曜日の夜は、恒例のジャパンナイトだ。グロービスもスポンサーして、鏡割りに参加。三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行CEOらと同じ樽を割りました。

ジャパンナイトの後に、インドネシアナイトを訪問。妻は着物で参加。やはり、着物のインパクトは凄い。そして、「Asian Friends Dinner」を共同ホストしたリッポー・グループのRiady家の方々とパチリ。欧米が揺らぎ、中露が強権的なリーダーシップを発揮する中、アジアの仲間が重要となる。

ダボス会議3日目の最後は、マッキンゼーナイトを訪問して終えた。ジャパンナイトから4時間以上も立ちっぱなし、歩きっぱなしで疲れきってしまった。せっかくのライブバンドだったが踊らずにホテルに戻った。浮かれている気分ではないのだ。

今日最も印象に残ったのが、ジョー・バイデン副大統領のスピーチとリンダ・グラットン女史との会話だ。まさに、戦後70年間かけて欧米が中心となり築いてきた世界秩序が崩壊しつつあることを実感する。英国はEUから離脱し、欧州は弱体化していく。英国の知識層の誰もが良いことだと思っていない。誰もがやりたくない作業だ。しかし、国民投票の結果を法的に変えることができない。歯車が回り始めたのだ。

米国次期大統領は、孤立主義・保護主義政策を掲げ、人種差別的な言動も多い。まさに第二次世界大戦に向かった時の道のりと同じだ。「トランプ氏はプラグマティックに変わるだろうという声があるが、ヒットラーが台頭した時も同様な楽観論はあった。もちろん、米国には議会があり、大統領ができることは限られてはいるが」という発言を聞いた時は衝撃を覚えた。

NATOや同盟に対しても懐疑的な空気が広がりつつある。世界的にグローバライゼーションが疑問視され、社会の断絶が起こっている。メディアやリーダーへの不信感が根強い。今まで、築いてきた秩序、価値観が崩壊しつつある感じがする。

今後、日本は難しい舵取りが必要となる。欧州がバラバラで、米欧関係が不安定になり、米中・米露関係は全くの未知数だ。韓国政治も揺れている。日本は独自の外交力で、比較的安定している豪州や東南アジアとの関係性を強化する必要がある。そういう意味でも安倍総理の豪州・アジア歴訪は適切だと思う。

これから、凄まじい地政学的な変化が起こるであろう。日本は強くならなければならないのだ。

欧米で不確実要因が高まる中、静かに就寝することにする。明日も朝が早い。頑張ろう!

2017年1月18日
ダボスにて
堀義人

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