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子どもに勉強させるための「ごほうび」ってどうなの?[やる気を引き出すコーチング]

「子どもに、『成績があがったら、ゲームを買ってあげる』と言うと、とりあえず、勉強するようになるのですが、こういうやり方ってどうなんでしょうか?」というご質問をいただくことがあります。「ごほうびで子どものやる気を引き出すのはいかがなものか?」という議論は以前からよく耳にし、さまざまな意見もありますが、皆さんはどうお考えでしょうか?
今回は、この「ごほうび」について、コーチとして思うところをお伝えしたいと思います。

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「ごほうび」は自分で決めるもの

私のコーチ仲間のKさんのお子さんは、「宿題をやりなさい」と言わなくても、いつも、さっさと宿題をやってしまうそうです。なぜそれができるのかというと、このお子さんは、やらなければならないことは先に片づけてしまって、後は、自分の好きなことを心おきなくして過ごしたいというタイプのようです。「うちの子もこうだったら、なんて楽だろう」と思われるかたもいらっしゃるかもしれませんね。

宿題が終わってからの楽しい時間は、このお子さんにとっては、1つの「ごほうび」なのだと思います。しかし、ここでのポイントは、ごほうびが「物」ではないということと、実は、お子さん自身が決めているということです。Kさんは、「宿題やってから遊びなさいね」と言う代わりに、質問をして、お子さんが自分で考える機会を折々に作ってきたそうです。

「宿題が終わったら何したい?」「どっちを先にやったら楽しいと思う?」などの質問をすることで、お子さん自身が、時間の使い方を考えて決めます。自分で決めることで、より自発的な気持ちが引き出されます。

コーチングでも、「目標を達成したら、自分へのごほうびは何にしますか?」などの質問をして、達成への意欲をより高めることがあります。しかし、ごほうびは、あくまで、相手が自分で考え、自分で与えるものです。コーチ側が与えたりはしません。

確かに、「宿題をやったら、お菓子を買ってあげる」など、作為的に物品を提示することで、一時的な効果はあるかもしれませんが、「物をあげれば動く子」として扱ってしまうのは、あまりに子どもを軽視しています。「報酬がないことはやらない」子どもになってしまうのも悲しい気がします。

内側からのやる気を引き出す

そもそも、「やりたいこと」をやるのに、「やる気」は要りません。「今日は、やる気を出して遊ぶぞ!」などと思って遊んでいる子どもなどなく、遊ぶことそのものが楽しくてしょうがないから遊ぶのです。「楽しい」、「おもしろい」、「もっとやりたい」など、内側から湧き出るやる気(内発的動機づけ)を引き出せたら、そのほうが、外から与えられる報酬(外発的動機づけ)より効果的なことはよく言われていることです。

「おもしろそうだから、一緒にやってみようよ」、「これができるようになったら楽しいよね」と、日頃から、大人のほうが宿題や勉強を「楽しいもの」として扱ってみてはと思います。「おもしろくないけれど、後でごほうびをあげるからがんばろう!」と大人がとらえてしまうこと自体、子どもの意欲を削いでいるように思えてなりません。

大阪で、コーチングをベースにしたまったく新しい教育スタイルを展開しているフリースクールがあります。ここでは、文字や計算など、子どもたちにはあえて教えていませんが、子どもたちは、本が読めるようになったり、算数検定に合格したりしています。「勉強しなさい」と強制しない分、「友達に手紙を書きたいから」、「このパズルを解きたいから」という内側からの動機によって、自ら学んでいくのだそうです。少しでも読めたり解けたりするようになると、「もっと勉強したい!」と、さらにやる気が湧いてきます。

子どもたちは、本来「学びたい」という気持ちを持っている存在です。それをもっと信頼して、物で操作するよりも、学ぶ過程を一緒に楽しむほうが効果的ではないかと感じます。

(筆者:石川尚子)

プロフィール

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石川尚子
国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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