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「暴力団提携」弁護士の見え方

 過払い金返還を求める多重債務者の斡旋を男性弁護士が暴力団から受けていたという事件か報道されています。産経新聞の9月14日の記事には、こんな見出しが付いています。

 「暴力団の片棒担いだ弁護士『事務所が赤字で…』 多重債務者救済ないがしろ」

 弁護士は、警視庁の取り調べで違法行為を知りながら暴力団側に協力したことを認め、その時に、「違法とは分かっていたが、事務所が赤字だった」と語ったそうで、それか見出しにとられています。

 「司法制度改革で弁護士の数が急増。仕事不足、収入不足に悩む弁護士が増える中、多重債務者らが消費者金融を相手に、払いすぎた利子などの返還を求める過払い金返還訴訟は、弁護士にとり確実なビジネスとなっている一面がある」

 産経は、記事の中で、事件の背景事情として、こんなことを書いています。69歳にもなる1973年に登録したベテラン弁護士が、弁護士の激増による仕事不足のなか、過払い返還に飛び付き、道を踏み外してしまった、というストーリを描いています。

 しかし、この記事を見た市民の印象は、聞いた限り、そんな感じではありません。むしろ、見出しの頭部分の暴力団とのつながりに目がいっています。そして、それは、経済困窮の食いつめた弁護士が事件処理で得たカネが、暴力団に流れ資金源となっていた、というストーリーにもおさまらないもののようです。

 それは、端的にいって、もっと強い弁護士と暴力団とのつながりです。つまり、実は完全に弁護士と暴力団はグル、一体で、もともと両者で利益を上げる取り組みではなかったのか、という連想です。「赤字」云々は、事実ではない、言い訳だと。本当は、より儲けるための手段だったのではないかというわけです。

 記事中にも暴力団組長は、以前、自分の刑事事件で弁護人を務めた縁で、この弁護士に接触し、斡旋先となるように持ちかけたことになっており、この辺も、そうした理解につながっている可能性はあります。

 もちろん、この想像が当たっているかどうかは分かりません。報道だけでは背景事情がよく分かりませんし、事実この弁護士がいう通り、悪いと分かりながら、経済的に苦しくて手を出してしまった、という話かもしれません。

 しかし、それは別として、この記事の効果にとどまらず、この記事の読まれ方こそ、弁護士を取り巻く社会の目線を象徴しているように思います。

 「正義」を掲げながら、暴力団と裏ではつながっていることを容易に想像できてしまう存在、経済困窮が伝えられながらも、実は儲けているはず、という強いイメージ。ベテランともなれば、それはなおさらかもしれません。「赤字」云々も、もっともらしい情状酌量を求める弁護士お得意の弁論ではないか、といったところです。

 記事の中には、捜査関係者のこんなコメントも出てきます。

 「返還訴訟が弁護士のビジネス化しているという構図が、悪質な弁護士が野放しになる土壌となる」

 微妙な表現です。返還訴訟をビジネスととらえる意識は、いまや「正当な」自覚として、それに携わる弁護士が持ち合わせているかもしれません。それが「悪質な弁護士が野放しになる土壌」というのであれば、返還訴訟に限らず、おカネに群がることになる弁護士のビジネス化は、常にそうしたものが登場する土壌になるということもできるように思います。

 そのこと自体は、ある意味、正しいと思います。しかし、それをいうならば、これからさらに競争を激化させ、よりビジネス化し、それによって生き残りをかけた淘汰まで予想している弁護士の未来図の方にも、「悪質な弁護士が野放しになる土壌」が描きこまれなければなりません。

 それとも、今回のように、捜査の手が伸びることで、どんどん捕まって、市場から退散を迫られるから、大丈夫。いつかこういう弁護士はすべていなくなります、ということでしょうか。その間の野放しと被害、あるいは今回のような不正義は、目をつぶるということでしょうか。

 そうした描き方が、ものすごく楽観的に見えるほど、実は弁護士と弁護士の登場への大衆の不信感は、進んでいるように思います。弁護士はその数によって「社会のすみずみに」登場することで大衆に頼られることを考える前に、登場する者たちの「質」で信頼を固めることをまず、考えなければ、この状態は変わりません。

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