釜山市の日本総領事館前に設置された従軍慰安婦の少女像を巡って日本政府が駐韓大使に帰国命令を出したりするなど、日本政府の大人げない対応がなされています。
このようなことをすれば、さらに両国関係を悪化させるだけでしかなく感情的な対立を煽ることにしかなりません。
本来、日本政府は、この問題は自重すべきものなのです。
「慰安婦少女像の設置と日本政府の大人げない報復行動がかえって事態を悪化させる」
私が上記意見を述べたところ、ネトウヨたちからさっそく「国に帰れ」とか「韓国のスパイ」などというレベルの低いツイッターやらコメントやらという状況です。いつものことですが。
韓国と国交断絶せよみたいなものまで、何でそこまで韓国に対して敵意を剥き出しにできるのか不思議なのですが、1年前の従軍慰安婦に関する日韓合意に対する不満が鬱積していたのでしょう。
確かに政情が不安定な韓国においてナショナリズム的な反日感情が少なくないのも事実でしょう。
しかし、このような反日感情がくすぶる原因を作っているのは保守・反動政治家であり、日本の右翼層であることの自覚が全くないことが極めて残念です。
未だにA級戦犯を「英霊」扱いしたりしておきながら、安倍氏が70年談話では、未来志向の名のもとに過去の侵略の歴史に対する反省をねぐってしまっているのですから、これらは極めて意図的に行われているわけです。
そうなってくると、従軍慰安婦問題もそうですが、安倍氏をはじめとする今の日本の政権の指導者たちに本当に従軍慰安婦問題も含め過去の侵略戦争に対する「反省」の気持ちがあったのかどうかが疑わしくなるのも当然であって、むしろ、今回の安倍政権の姿勢を見る限り、一切の「反省」はなく、従軍慰安婦問題に関して言えばカネをくれてやったんだからそれでいいだろうという姿勢が露骨に見て取れるわけです。
韓国国民が心底、納得できていないのは当然でもあります。
未だに靖国参拝に固執する日本の右翼支配層はあの侵略戦争に対しては反省どころか美化すらしているのですから、日本国民にとっても大問題なわけです。
過去の総括ができていないのはむしろ日本だということを示したのが今回の大使召還という行動だったということです。
考えてみれば従軍慰安婦の少女像が設置されたからといってそれが一体、何が問題なのかということでもあります。
領事館前に設置されたことをもって、ウィーン条約違反だと日本政府も主張しているようですが、領事館前に設置することイコール威厳等の侵害になるかといえば甚だ疑問です。
(私に対する批判としてウィーン条約も知らないのかなどというものもありましたが、あまりに的外れです。)
大使館前や領事館前でのデモや抗議などは時折、行われることがありますが、それと同じレベルのものです。というよりもデモや抗議よりもより平和的なメッセージです。
確かに日韓合意によって解決に向けて動き出した以上は、大使館などの前からは撤去すべきというのもわかります。大使館前に設置したことは日本政府に向けられた政治的意味合いが強いものだからです。
ですから、そうではない場所に記念碑のような形で像を設置することは全く問題のないものだし、原爆ドームを永久保存するのと何ら変わりませんし、日韓合意の実現に向けてはいずれはそうなることを期待しますが、しかし、それは韓国政府だけの努力で達せられるものでもありません。
むしろ日本政府の姿勢も重要なのです。
何もこのような問題で外交問題にしてみたり、経済に影響を及ぼすような報復措置を行うことはどちらの国にとってもマイナスでしかなく、日本政府の姿勢は問題であり、むしろ国内のナショナリズムの醸成に利用しようという政治的意図すら表れています。
過去の忌まわしい歴史をいつまでも忘れないために
[画像をブログで見る]
安倍政権の行ったことは、政情不安定な韓国国内の出来事に対し、ことさら火に油を注ぐための行為であり、韓国国内のナショナリズムを煽り立て、それを日本の国内政治に利用しようとしているものです。
韓国を敵視するような論調が蔓延するとすれば日本社会の病理以外なにものでもなく、このような煽り行為は要注意です。
記事
- 2017年01月08日 00:40