- 2017年01月07日 18:00
2017年は生活保護家庭の子どもが大学進学できる社会にしよう!
2/2かつては高校進学も認められなかった
冒頭に「稼働能力の活用」という話をしました。実は、つい最近まで、生活保護世帯の子どもは、高校進学にも大きなハードルがありました。
義務教育中は、この「稼働能力の活用」は求められません。(教育を受ける権利が憲法26条にあるため)
1970年までは、高校進学に関しても、「世帯分離」の扱いで、原則的には認めていませんでした。
それが、1970年からは「世帯分離」をせずに進学することが認められ、2005年からはじめて生活保護制度の枠の中から高校の授業料を支給する、ということがおこなわれるようになりました。
これは、一般世帯の高校進学率が高くなり高校に行くのが当たり前になったこと、そして、高校進学が中学卒業後に就職するよりも将来的な自立につながりやすいこと、などが理由ですが、2005年まではダメだった、ってあまりにも時代遅れすぎると思います。
生活保護家庭の子どもが負担なく高校進学できるようになってから、まだ10年ちょっとしか経っていない、ということでもあります。
このことはあまり知られていないのですが、制度が格差や貧困の連鎖をうむ原因になっていた、といっても言い過ぎではないと思います。
給付型奨学金ができる今だからこそ
昨年より、政府が給付型奨学金を創設する、という話が出ています。
まだ、予算規模など不透明な点が多いのですが、貧困家庭(生活保護家庭もふくまれる)の子どもの進学へのハードルを下げる施策は大歓迎です。
しかし、そういった制度をつくるならなおのこと、この「生活保護家庭の子どもの大学進学」に関しては、現状の運用を変えなければならないと思います。
では、一体どうすればいいのか。
世帯分離でなく「世帯内就学」へ
これは、あくまで個人的にこうしたらいいと思う案ですが、ずばり、世帯分離でなく「世帯内就学」へ制度運用を変えられないか、と思います。
もちろん、そもそも、給付型奨学金の給付額が大きくて「世帯分離」しても奨学金で学費や生活費がまかなえる、とか、大学の授業料が無料でお金がかからない、とかになったら状況は全く変わるわけではあるのですが。
とりあえず、ガラガラポンでなく現状の延長線上で考えた時の方法としては「世帯内就学」ではないかなと思います。
「世帯内就学」を認めると、さきほどの母と娘の2日世帯を考えると、「世帯分離」せずに2人世帯のままとなり、'''支給される生活保護費は変わりません。
なので、子どもは勉強に集中することができます'''。
一方で、アルバイトや奨学金で家計を助けることが必要なくなる分、そのお金がきちんと就学費用に充てられなければ意味がなくなってしまうわけですから(せっかくの奨学金やアルバイト代が生活費に消えては困るわけです)、奨学金やアルバイト代の認定除外や自立更生計画の策定など、運用上のルールを定めることが必要になります。

生活保護家庭の「世帯内就学」の場合
これらの技術的な課題や問題はありますが、1970年以降の高校進学が「世帯内」でおこなえるようになったのと同様に、この運用の変更は法律の改正を必要としません。
厚生労働省の発出する「通知」で、生活保護家庭の大学進学が制度内で可能になるのです。
もちろん、大学等(大学・短大)だけでなく、専修学校等に進学したい子どももいるでしょう。理容師になりたい、とか、介護の資格をとりたい、とか。
一般家庭の専修学校等もふくめた進学率は先述した通り70.9%なので、せめて生活保護家庭の子どもの進学率が現状の32.9%から70%台に持っていけるように、政策目標とするべきだと思います。
僕もあえて言いたい。人が作ったものは人が変えることができる、と。
生活保護基準部会資料によれば、平成26年時点で、生活保護家庭の子どもで、16歳の子どもは全国で21448人、17歳の子どもは21379人となっています。(平成26年度被保護者調査(年次調査(平成26年7月末日調査))特別集計)
この統計を見る限り、対象となる子どもは、1学年で約2万人。
現状、6000人の子ども(大学等への進学は約4000人)が制度の不備に苦しみながら進学し、14000人の子どもがもしかしたら進学したかったかもしれないのに、あきらめて高卒で働く。
これは、あきらかに時代遅れの制度の問題であり、生まれた家庭によって進学率に差が出てしまうという格差や貧困の連鎖の大きな要因になっています。
もちろん、「一般世帯でも進学しない子どももいる」「大学はみんなが行くものではない」「働いて自立した後に自費で行けばいい」「大卒じゃない労働者もたくさんいる」「努力すればなんとかなる」などなど、さまざまな意見があることでしょう。
しかし、僕は、この「生活保護家庭の大学進学を可能にする」ということは、日本の子どもの貧困対策のもっとも大きな第一歩になると思います。そして、生活保護にはいたらないが低所得の家庭への支援もふくめて拡げていけたら、と思うのです。
そして、時代遅れのこの制度運用も通知一本で変えられる。であれば、2017年、そろそろ変えませんか?
2017年、一緒に声をあげていきましょう!
※Yahoo!ニュースからの転載


