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- 2011年08月30日 10:14
「実務家教員」から見る法科大学院事情
法科大学院には弁護士などの実務家が教員として参加しています。
日弁連によると、2010年5月現在、全国74校の法科大学院の専任教員1690人中、実務家教員は563人で、内弁護士は430人、兼任(非常勤)は1967人中、実務家教員が1260人で、内弁護士が1025人。
専任教員総数に占める実務家教員総数の割合は30%強、弁護士教員の割合は25%強と、過去3年でほとんど変動がなく、実務家教員総数に占める弁護士の割合も75%強を維持しています。ちなみに実務家教員には、弁護士のほか、派遣裁判官や派遣検察官、官公庁出身者などが参加しています。
複数校にかかわっている人もいますが、専任・兼任合わせて少なくとも延べ人数で約1500人の弁護士が、法科大学院の教育にかかわっている現状にあります(「弁護士実務家教員の状況」)。
その実務家教員、とりわけ非常勤の教員が冷遇されているという話が伝わっています。専任にはそれなりの実績や経歴を持った弁護士がなっていますが、非常勤には若手が沢山います。冷遇といわれているのは、まず、その報酬で、本業を犠牲にする経済的メリットのなさから、就任を敬遠される傾向もあるようです。従って、協力は、ボランティアという受け止め方もあります。
しかし、冷遇というのは、報酬だけにとどまらないようです。法科大学院でのカリキュラム決定などには、専任講師でない限り、携われないことも多く、教育内容の改善提言をしても相手にされないといった状況もあるようです(「福岡の家電弁護士 なにわ電気商会」)。
前記ブログには、こんなエピソードも書かれています。
「報酬もでない、意見も通らない、しかも学生のために真剣に教えたら『試験対策だからダメ』などと言われたのでは、いくらヤル気のある人でもモチベーションは著しく低下するのは当然です。ある若手弁護士が講師を頼まれたときには、合格率のあまりの低さに、責任を感じてしまって引き受けられない、と断ったということも聞いております。福岡でも、あるLSの外部講師が、交替要員が見つからないということで、長期間講師を続けざるを得なくなったという有様でした(そうなるとさらに人材供給は困難)」
そもそも実務家教員については、法科大学院制度での位置付けについて疑問視する見方があります。以前にも触れましだ、法科大学院教員について、実務家は概ね2割以上という基準はおかしいのではないか、という意見です。現実的には8割は学者でもかまないし、2割も司法修習を経て法曹になった実務家とは限らず、実務経験があればいいことになっています。
実務家を育てるのに、この体制はどうなのかという話です。この現状は一方で、法科大学院が受験指導・対策はしない建前ながら、司法試験合格率が実績になるという矛盾や、「職業訓練校」的性格になりきれない現実ともつながっています。大学が運営し、「法務博士」という学位を授ける教育課程と、司法試験や実務家教育との関係が、すっきりつながっていない観があります。
そして、この体制が、何を守り、何を優遇しようとしているのか、大学運営に法曹養成をゆだねていることによる、その事情も見えてくるように思うのです。
「たったひとつ変えるだけで劇的に改善するロースクール制度案(?)」
以前、弁護士のブログにこんなエントリーがあったのを見つけました(「赤ネコ法律事務所・別館!」)。その改善点とは、ずばり「ロースクール教育を行う『教員』は、全て実務家にすること」でした。
「だって、司法研修所だって実務家教官しかいないやん。修習の代用である以上、当然だよね?そして、教員を全て実務家で揃えることが出来ないロースクールは廃止です。ロースクールがそもそも多すぎるから、『ロースクール生のほぼ全てが法曹になれる』という当初の理想が実現しないんだもん。 少しロースクールは減った方がいい。減らす理由が「合格率の低迷」なんてアホです。 で、現実に法曹教員を揃えられないロースクールは淘汰され、ローが減ることにより『ロースクール生のほぼ全てが法曹になれる』という条件は満たされる」。
さらに、実務家教員は、任期制にして学者化しないようにし、司法試験問題を作成するのもすべて実務家にして、その作成者は一切法科大学院での教鞭を取れなくして、学校間の枠を越え、実務家教員同士の意見交換会などを定期に実施する――といったことも提案されていました。
この世界の多くの方は、「こんなことは実現しない」とおっしゃるかもしれません。しかし、少なくともそういう方は、前記矛盾を含めた、法科大学院制度の現実だけでなく、それを取り巻く法曹養成と直接関係のない事情を、ある意味、よく分かっている方のような気がします。
日弁連によると、2010年5月現在、全国74校の法科大学院の専任教員1690人中、実務家教員は563人で、内弁護士は430人、兼任(非常勤)は1967人中、実務家教員が1260人で、内弁護士が1025人。
専任教員総数に占める実務家教員総数の割合は30%強、弁護士教員の割合は25%強と、過去3年でほとんど変動がなく、実務家教員総数に占める弁護士の割合も75%強を維持しています。ちなみに実務家教員には、弁護士のほか、派遣裁判官や派遣検察官、官公庁出身者などが参加しています。
複数校にかかわっている人もいますが、専任・兼任合わせて少なくとも延べ人数で約1500人の弁護士が、法科大学院の教育にかかわっている現状にあります(「弁護士実務家教員の状況」)。
その実務家教員、とりわけ非常勤の教員が冷遇されているという話が伝わっています。専任にはそれなりの実績や経歴を持った弁護士がなっていますが、非常勤には若手が沢山います。冷遇といわれているのは、まず、その報酬で、本業を犠牲にする経済的メリットのなさから、就任を敬遠される傾向もあるようです。従って、協力は、ボランティアという受け止め方もあります。
しかし、冷遇というのは、報酬だけにとどまらないようです。法科大学院でのカリキュラム決定などには、専任講師でない限り、携われないことも多く、教育内容の改善提言をしても相手にされないといった状況もあるようです(「福岡の家電弁護士 なにわ電気商会」)。
前記ブログには、こんなエピソードも書かれています。
「報酬もでない、意見も通らない、しかも学生のために真剣に教えたら『試験対策だからダメ』などと言われたのでは、いくらヤル気のある人でもモチベーションは著しく低下するのは当然です。ある若手弁護士が講師を頼まれたときには、合格率のあまりの低さに、責任を感じてしまって引き受けられない、と断ったということも聞いております。福岡でも、あるLSの外部講師が、交替要員が見つからないということで、長期間講師を続けざるを得なくなったという有様でした(そうなるとさらに人材供給は困難)」
そもそも実務家教員については、法科大学院制度での位置付けについて疑問視する見方があります。以前にも触れましだ、法科大学院教員について、実務家は概ね2割以上という基準はおかしいのではないか、という意見です。現実的には8割は学者でもかまないし、2割も司法修習を経て法曹になった実務家とは限らず、実務経験があればいいことになっています。
実務家を育てるのに、この体制はどうなのかという話です。この現状は一方で、法科大学院が受験指導・対策はしない建前ながら、司法試験合格率が実績になるという矛盾や、「職業訓練校」的性格になりきれない現実ともつながっています。大学が運営し、「法務博士」という学位を授ける教育課程と、司法試験や実務家教育との関係が、すっきりつながっていない観があります。
そして、この体制が、何を守り、何を優遇しようとしているのか、大学運営に法曹養成をゆだねていることによる、その事情も見えてくるように思うのです。
「たったひとつ変えるだけで劇的に改善するロースクール制度案(?)」
以前、弁護士のブログにこんなエントリーがあったのを見つけました(「赤ネコ法律事務所・別館!」)。その改善点とは、ずばり「ロースクール教育を行う『教員』は、全て実務家にすること」でした。
「だって、司法研修所だって実務家教官しかいないやん。修習の代用である以上、当然だよね?そして、教員を全て実務家で揃えることが出来ないロースクールは廃止です。ロースクールがそもそも多すぎるから、『ロースクール生のほぼ全てが法曹になれる』という当初の理想が実現しないんだもん。 少しロースクールは減った方がいい。減らす理由が「合格率の低迷」なんてアホです。 で、現実に法曹教員を揃えられないロースクールは淘汰され、ローが減ることにより『ロースクール生のほぼ全てが法曹になれる』という条件は満たされる」。
さらに、実務家教員は、任期制にして学者化しないようにし、司法試験問題を作成するのもすべて実務家にして、その作成者は一切法科大学院での教鞭を取れなくして、学校間の枠を越え、実務家教員同士の意見交換会などを定期に実施する――といったことも提案されていました。
この世界の多くの方は、「こんなことは実現しない」とおっしゃるかもしれません。しかし、少なくともそういう方は、前記矛盾を含めた、法科大学院制度の現実だけでなく、それを取り巻く法曹養成と直接関係のない事情を、ある意味、よく分かっている方のような気がします。



