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アメリカ大統領選挙でのトランプ当選をどう見るか

 予想外の結果だったと言って良いでしょう。アメリカ大統領選挙でのトランプ候補の当選です。来年の1月20日にはトランプ政権が発足しますが、それがどのような政権になるのか、いま世界は固唾を飲んで見守っている状況です。

         * * *

 トランプ候補が当選したのは、グローバリズムと金融資本主義を背景とした新自由主義や緊縮政策などによって貧困と格差が拡大したためだと見られています。トランプ現象は一種のポピュリズム(大衆迎合主義)にほかなりませんが、既成政治の外から人々の不満や要求をすくい上げて政治に届ける回路の一つでもあります。過激な発言や嘘とデマも散りばめながら、それまでのアメリカ政治に失望した人々の期待をかき集めた結果だったとも言えるでしょう。

 逆に、クリントン候補の敗因は、元大統領夫人で上院議員や国務長官も務めた既成政治家のエリートだったという点にあります。しかも、女性初の大統領としての期待は高いものでしたが、女性であるが故の「ガラスの天井」にはじき返されたという面もあったでしょう。そのうえ、「チェンジ」を掲げて大統領になったにもかかわらず現状を打破できず、「チェンジチェンジ詐欺」などと非難されているオバマ大統領の後継者だったのも不利に働いたように見えます。

 それにもかかわらず、得票総数ではクリントン候補の方が200万票も多かったという事実は重要です。実は多数派であったのに選挙で負けてしまったのは、選挙制度の不備というしかありません。当選するのは得票数の多い候補者ではなく、それによって州ごとに選ばれた選挙人の多い候補者であるという間接選挙の問題点が、ここにはっきりと示されています。このようなカラクリが小選挙区制でもっと大きな規模で生ずることは、皆さんご存知の通りです。

         * * *

 当選後は「国民すべての大統領なる」と言って過激な言動を控えたため、「良いトランプに変わったのではないか」との見方が広まりました。訪米して私的な会見を行った安倍首相も「信頼できる指導者」だと請合いました。しかし、その「化けの皮」は直ぐにはがれ、安倍首相はトランプの「手品」の「サクラ」として利用された形となって世界中に恥をさらしています。

 トランプ新政権の陣容は共和党主流派と極右との連立であり、差別主義者やタカ派、財界人や富豪、元軍人のオンパレードとなっています。このような陣容の政府がどのような政策を打ち出すことになるのでしょうか。世界は大きな危惧と不安を抱きながら注目しています。
 日本に対しては、TPP条約からの離脱の言明や在日米軍の撤退可能性への言及などが注目されました。国会ではTPP条約が成立しましたが、アメリカの離脱で全く無意味になっています。

 在日米軍の経費を全額負担しなければ出ていくというのなら、出て行ってもらえばいいじゃありませんか。そうすれば、平和と安全の実現を軍事力によってではなく、周辺諸国との関係改善と友好親善の強化、つまり非軍事的な外交手段による安全保障という新しい「自主防衛」に向けてのチャンスが生まれることでしょう。

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