- 2017年01月04日 08:30
【読書感想】続 聞き出す力
2/2「あれは優等生を演じているのだろう」「真面目すぎてブログが面白くない」というような外野の声も、橋本さんはたぶん知っていて、それでも、直球を投げ続けているのでしょう。
すごい人だなあ、と思うのと同時に、「強すぎる人の隙のなさ」みたいなのが、橋本さんのタレントとしての「かわいいし、演技もうまいのに、爆発的な人気を得ているというわけではない」という状況につながっているような気もします。
前田敦子さんの「不安定さ」とか、指原莉乃さんの「自虐」は、ウイークポイントのようにみえて、実際はファンの「共感」を生んでいるところもあるのです。
他のメンバーも、こういう完璧超人みたいな人が傍にいると、仲が良くて、橋本さんが本心から他のメンバーを応援してくれていることはわかっていても、それはそれでやりにくいというか、「つらいこともある」のではなかろうか。
周りからは、どうしても比べられてしまうだろうし。
人間っていうのは、ややこしいものですね。
こうしてあれこれ考えてみると、「優等生の孤高」みたいなものも浮き彫りにされてくるのです。
というか、みんなから「天使すぎる」とか言われたら、それを対する「受け」のバリエーションは、そんなにたくさんはないですよね……
褒められることへのリアクションは、本当に難しい。
島崎遥香さんの寡黙すぎる受け答えとか、岡本夏生さんの「インタビュアー泣かせ」とか、もう最高です。吉田さんが断片的に紹介されている中にも、「このインタビュー、全文読んでみたい!」というものがたくさんありました。
いまこの原稿を書いている時点(2016年3月)では、不倫報道で大変なことになっている乙武君。おかげで一度だけ乙武君と一緒にゲイバーで飲んだ経験のあるボクが週刊誌1本、ワイドショー2本でなぜかコメントすることになった。
2002年に『小学三年生』で初めて乙武君を取材したときは、「なんでも手を出しちゃうんですよ。手ないのに」といったブラックなギャグや女好き話をのびのびと話した結果、1年の予定だったインタビュー連載が7ヶ月で終わり、編集長と担当編集が飛ばされていったことはボクもよく持ちネタにしているんだが、この機会に記事を読み直してみたら、「有名になったマイナス点として『女子と手をつないで歩けなくなったこと』って真っ先に言われていたのがさすがだと思いました」というボクの発言に、乙武君が「だって、遊びたい盛りじゃないですか。普通、彼女がいて、他の女の子とデートしてもバレやしないのに、僕は写真撮られて絶対にバレる。そういう辛さですよね(笑)」と返していて爆笑。一体いつまで遊びたい盛りが続いてるんだと思うが、乙武君は良くも悪くもそういう人なのである。
2011年にやった『人間コク宝』収録のインタビューでは、次男が生まれる瞬間にゲイバーでキャバ嬢を口説いていたこととかホストをやってることとかに突っ込んだら、一切隠すことなく笑顔で全部話してくれた。
なんだか、この話を読んでいると、ずっと昔から「良くも悪くもそういう人」だったにもかかわらず、参院選出馬とか政治が絡んでくると、あんなふうにあらためて採りあげられて叩かれてしまうのか、という気もしてくるんですよ。
少なくとも、身近な人、メディア側にいる人は、ずっと知っていたのではないでしょうか。
乙武さんの不倫は、社会通念からすれば、けっして「立派」とは言いがたい話ではありますし、「いつまで遊びたい盛りが続いているんだ」とは思いますけど。
ただ、乙武さんの場合、ふと思い立って、テレビゲームで遊んだり、出かけてコーヒーでも飲みながら本を読んだり、というような「娯楽」に制限がある人生なことは間違いなくて、その数少ない娯楽の中でいちばんハマってしまったのが「女性」であるのだとしたら、なかなかやめられないのかもしれませんね。これまではむしろ、みんな、そういう「障害を抱えているのにオープンで明るい乙武さん」を面白がっていたところもあったのだし。
吉田豪さんのインタビューを読むと、これまでその対象に抱いていたイメージが変わってしまうことが少なからずあるのです。
たぶんそれは、吉田さんが対象者を好きになろうとしていることと、相手を決めつけないで、ちゃんとその発言や行動の「理由」を確かめているから、なのでしょうね。
まあ、結局のところみんな対人関係というかコミュニケーション術に悩んでいるみたいだったので、そういう人にボクが言いたいのは、無理して「面白い人」になろうとする必要はないってこと。面白いことを話すためにはセンスが必要だから選ばれし者にしか向いてないけど、相手の面白さを引き出す「聞く能力」を磨くには、最低限の空気の読み方さえできれば努力次第でなんとかなるはず。
バンドを組んでもヴォーカルやギターみたいな目立つパートをやりたがる人が多くて、ドラムは常に人材不足でニーズがあるのと同じで、世の中には自分の話をしたい人が多いから、どう考えても聞く側になったほうが楽なのだ。
たしかに、「話し上手」に比べて、「聞き上手」は、競争率が低いのだと思います。
なんのかんの言っても、人は、自分の話を聞いてほしい。できれば、楽しそうに。
話し上手になるためと同じだけの努力を聞き上手になるためにすれば、「聞く世界のほうが成功しやすい」可能性は高そうです。
もちろん、吉田豪さんのような日本代表レベルになるのは難しいとしても。

- 作者: 吉田豪
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