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2016年の業界周りの総括と2017年の展望

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【6月】日本版ブラックフライデーか?比国在住のネットカジノ経営者の逮捕
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9280871.html

そして6月に発生したのが、フィリピン在住の日本人ネットカジノ経営者の逮捕。2月に発生した逮捕劇はあくまで国内を拠点としながらネットカジノの決済機能を提供する業者でしたが、今回は海外にサーバーを立てて日本向けにサービス提供を行うネットカジノ事業者そのもの。成田空港に降り立った瞬間に千葉県警に身柄を押さえられるというかなり強烈な逮捕劇となり、警察の本案件に対する「本気度」をうかがわせることとなりました。

【7月】カジノ推進勢力、衆参議席数の過半を確保
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9301230.html

そして7月の参院選。この選挙において「カジノ合法化およびIR導入の推進」を公約に掲げて戦った自民党、およびおおさか維新の会(のちに日本維新の会)が参院の過半数の議席を獲得、結果として衆院、参院ともカジノ推進派の議席が過半を超える事となりました。このことが今年最後の「大花火」であったIR推進法の成立の原動力となったのは間違い有りません。

【8月】警察とパチンコ業界の癒着について
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9320975.html

そして、8月。パチンコ業界を激震させたのが経済系スクープメディアであるFACTAがすっぱ抜いた、日本のパチスロメーカーを取りまとめる日電協の理事長、かつ大手パチスロメーカー山佐の社長である佐野氏と、それらを規制する側にいる警察庁生活安全局保安課の担当官の「蜜月」報道。この報道は、今後のパチンコ規制の主軸となると見られていたいわゆる「ECO遊技機」に使用されるパテントの一部を山佐が取得しており、当該規制が本格導入されれば山佐の懐にゴッソリとパテント料が入る、とするものでした。その後、山佐からは「密会と報道された警察庁の元担当官との間に金銭の授受はない」・「報道されたパテントは開放特許として使用されるもので、それによって山佐に利益が入る予定はない」などという釈明が行われたわけですが、FACTAのスクープによって汚点の付いたECO遊技機の導入は、その後、業界規制の本流から徐々に外されることとなりました。

【9月】総括:賞金制ゲーム大会を巡る法的論争
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9356604.html

そして9月に発生したのが、急速な興隆を見せていたビデオゲームを使ったeスポーツ大会における「賞金」の取り扱いをめぐる論議。これは私自身がまさにその中核として動いた案件であったわけですが、消費者庁がゲーム大会における賞金の景表法上の取り扱いの法令適用有無を正式に公示。それまで「違法性はない」として行われてきたゲームメーカー自身がスポンサードする賞金制大会が実は違法であったということが判明し、業界は大騒動となりました。この9月は日本のeスポーツ業界にとってメルクマールとなる非常に大きな月となりました。

【10月】カジノとの共存!?大阪万博の誘致先に「夢洲」
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9366629.html

そして10月、大阪府はそれまで統合型リゾート導入とは別個に検討を行ってきた2025年の大阪万博の誘致候補地を、大阪の統合型リゾート導入候補地である夢洲に決定。(上記記事は「予定」として9月に報じられた時のもの)大阪は夢洲で万博とIRの一挙両得を狙うという大きな方向性が示されることとなり、これもまたその後の年末に発生するIR推進法成立の原動力となった(主に大阪方面からの猛プッシュ)といえます。

【11月】パチンコ法的論争に決着、いわゆる「パチンコ換金」は合法です
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9418126.html

そして11月、民進党の緒方林太郎議員がIR推進法の審議開始に先駆けて行ったパチンコ景品買取システムに関する政府の法的見解を問う質問主意書において、パチンコ景品買取が風営法の定めに従って行われる限りにおいて「刑法の定める賭博および富くじに関する罪にはあたらない」とする政府見解が示されました。これは、「直ちに違法となるものではない」としてきたこれまでの見解からさらに一歩踏み込んだものであり、それまで長らく続いてきた景品買取をめぐる法的論争に一定の決着を示したものとなりました。

【12月】カジノ推進派の勝利と、私の個人的な敗北
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9438089.html

そして、昨年最後の大花火となったのが、年末国会における我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入を推進するIR推進法の成立。苦節10余年という長い月日をかけて準備を行ってきたものが、たった2週間のスピード採決で成立してしまうというカジノ推進派ですら「狐に摘まれた」ような法の成立でありましたが、とにかく推進派サイドの忘年会は笑顔が弾ける会合となっておりました。

しかし、この昨年末の強引ともいえるIR推進法の成立は、今年の論議に影を落とします。現在、各マスコミにおけるカジノに関する論調は完全にカジノ批判一色。最新の世論調査では回答者のおよそ7割が「カジノ反対」を表明するという結果になっており、今年の秋国会を目途にして整備が行われる後続のIR実施法に関する今後の論議に影を落とします。

そのような危機感もあってでしょうか、政府は昨年末早々にカジノ合法化においてもっとも批判の多いギャンブル依存症への対策推進を表明。矢継ぎ早に関係閣僚会議、実務者会合などを年末の忙しい折に開催し、今年の通常国会でギャンブル依存症対策に関する法の成立を狙っているところです。

既に1年半を残すのみとなっている現衆議院議員の任期もあって、この1年は嫌でも選挙を意識した動きをせざるを得ない年。我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入は野党サイドが選挙争点として担ぎ上げてくることが必至なテーマであるわけで、カジノ推進側にいる与党はこれに対してどのように準備を行い応戦するのか。昨年は昨年で非常に騒動の多かった1年でありましたが、この2017年は間違いなくカジノ合法化を中心に、わが国の賭博およびそれに関連する業界にとってさらに大きな波乱が巻き起こる年となることでしょう。

そのような中で「いちカジノ研究者」たる私が何が出来るのか、何をすべきなのか。「君子泰而不驕(君子、泰かにして驕らず)」の精神で、これまでどおりコツコツと私なりの役割を果たしてゆきたいと思うところ。 業界内外の皆様におかれましては、引き続きご指導、ご鞭撻を頂けましたら幸いです。

ということで、今年もよろしくお願い申し上げます。

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