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2017年展望 世界編

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

さて、1年前の「2016年展望 世界編」で私は16年がゲームチェンジャーの年になると書かせて頂きました。そしてアメリカ大統領選に関して「誰が選ばれるかよりアメリカ国民や世論がリーダーとはどうあるべきか、という議論と時代のトレンドが映し出す世相がキーになる」と述べています。

欧米で保守的な思想が広がりつつあるのが今の流れであります。何故、移民や貿易に対して壁を作るのか、私は情報化社会が作り上げた反動を一因に挙げたいと思います。どんなことも知ることができる、どんなことにもアクセスできる、そのような社会ではアクセスする側はうれしいものですが、アクセスされる側は必ずしも諸手を上げて喜べる話ではないかもしれません。

なぜか、といえば公衆の意見はまちまちであり、どちらかを立てればどちらかが立たなくなるからです。例えば年末、韓国 釜山の少女像が一旦撤去されたものの当局が判断を変え、容認しました。「自治体では手に負えない」と敗北宣言を出してしまうのです。

これを聞いた多くの日本人は「ならば韓国とは距離を置くべきだ」と考える人が多いでしょう。これが保守化への動きです。TPPが難航するだろうと私はずっと言い続けていました。事実、行方は混とんとしてます。英国はEUからの離脱を国民が決めました。オープンにすると面倒なことがたくさんあります。そして情報は正しいか不正確かの判断もされないまま、瞬時に行き渡ることで人々に様々な「印象という色」を植え付けます。日本でDeNAのまとめサイトが一気に閉鎖に追い込まれたことも記憶に新しいでしょう。

こんなことで人間社会が収縮してはいけない、という正論に対して残念ながら、世の中の実情はもっと狭くなるベクトルが働いています。悪い表現をすれば皆が自己中心的思想に陥りやすくなる、ということでしょう。SNSの情報範囲で語り、判断しようとする流れが生み出した社会の結果であります。トランプ氏はメディアのフィルターがかからない140字のツィッターで放言します。

このような流れに対して世の中のリーダーは立ち上がらねばなりません。いやリーダーだけではなくすべての人が認識を変える必要があります。さもないとせっかく築き上げた近代人間社会は再び戦争社会へ舞い戻ってしまう懸念すら生まれてくるでしょう。

プーチン大統領は北方領土問題で改めてハードルを上げたと思います。それは圧倒的人気と権力を保持する同氏ですらロシア国内の調整が困難であった裏返しです。10数年前ならば2島返還ならもっとたやすかったはずです。世の中が複雑になりすぎたことで物事が動かなくなってきたとも言えます。

法律、条約、協定、ルールにコンプライアンスがこれほど網の目のように張り巡らされるとギブアップする人が増えてきます。そしてそれに太刀打ちできるのは資本力のある大きいところであります。これは企業の話だけではなく、世界の196の国家も同様であります。先進国のリーダーシップについて行かざるを得ない新興国という構図でしょう。

私の期待はアメリカがロシアとの関係を改善すること、欧州大陸が一枚岩となること、英国のEUへのアクセスを認めること、中国が膨張主義をやめ、国内経済と社会の改善に努めること、日本が世界と広く対話を続けリーダーシップをとることではないかと思います。個々で見ると案外可能性が高そうですが、これが地球規模で同時並行で行われることで不安感を取り除き、人々がSNSの狭い世界から社会全体をもう一度広く受け入れる気持ちのゆとりを持つことが重要であります。

一方、私の最大の不安材料は朝鮮半島にあります。個人的には朴大統領は裁判で弾劾されず、国家と国民は酷く揺れることになる予感がします。半島は火薬庫と言われるほど地政学的に弱点を持っています。かつてはバルカン半島でした。そうなると想像もつかない大混乱も想定しなくてはいけないでしょう。

また、経済的には欧州、特にイタリア金融危機をどう収拾するか、更にはフランス、オランダ、ドイツでの国家元首選挙の行方が注目でしょう。民族主義になるかどうかはテロなどの事件が起こるかどうかで大きく変わるとみています。

中国は習近平氏が国家の成長よりも保身に重きを置くようになると苦しくなるでしょう。少なくとも秋の党大会までは身内のパワーゲームが何より重要となるはずですから中国が大きく変わることはなさそうです。逆にゲームの一環で一触即発の事態が生じればリスク含みだとも言えます。

最後にアメリカですが、ビジネスマン大統領の登場でいったんは盛り上がるとみていますが、人々の心に「果たしてこれでよいのだろうか?」という疑問が湧き起こるのではないでしょうか?東部からリベラルな西部へ移動する人が増えるかもしれません。

私は2017年はたやすい年ではないとみています。が、ここを乗り越えないと次のステージが見えないことも確かです。未来への英知とはITと人の持つ価値観の融和でこそ成り立ちます。我々が技術に使われるのか、我々が技術を駆使するのか、個々の判断が問われる年になるとも言えるでしょう。

では今日はこのぐらいで。
明日は「2017年展望 日本編」をお届けする予定です。

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