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12月に我が国の友好路線の病理が顕在化した

 外交における平和友好路線と軍事を混同してはならない。
 我が国は、混同している。
従って、軍事的に非常識でナンセンスなことをしてきた。
 そして、この病理が、いよいよ顕在化してきた。
 これは我が国家の存亡に係わる。
 
 そもそも外交の路線は国別のものであり得ても、軍事常識は世界に普遍的なものである。
従って、外交の平和友好路線を以て我が国の軍備に関する方針を縛ることは、国家の国防力を削ぐことになり、ひいては我が国を他国の軍事的制圧下に陥れることになる。
そして、その過程で、何人もの若者が兵士として戦歿し、多くの国民を苦難に陥れる。
 しかし、外務省は責任をとらない。
かつて七十五年前に対米開戦の通告を真珠湾攻撃から一時間遅らせて我が国に「騙し討ち」の汚名を着せた時のように。
我が国は、今、この危機に直面している。
 
 即ち、我が国の外務省主導の「平和外交」が、対中、対露そして対北朝鮮との軍事的バランスの回復を阻止しており、拉致被害者救出を主目的から外し、国家と国民の命をないがしろにしつつある。
そして、政治は、漫然と、この友好路線に従って、中、露そして北朝鮮に対処しているのである。
ここには、断じて国民を救い守るという具体的問題意識がない。
これは、戦後政治の致命的かつ亡国的怠慢である。

 かつてこの怠慢の為に、亡国にいたり、もしくは国家存亡の危機に直面した国が、1940年のフランスでありイギリスである。
我が国は、この英仏両国の歴史の教訓から今こそ学ぶべきである。
 この時の、フランスおよびイギリスの外交路線(常識)は、今の我が国と同じ、「平和」、であった。
従って、ドイツの独裁者ヒトラーに宥和し続けたのである。
つまり、両国はドイツを「刺激しない」方針を貫いた。
そして、国内では、軍縮を続けた。
 この時、フランスでは一人ドゴール少将が、ドイツ機械化部隊の進撃を止めるにはマジノラインでは不可能でありフランスも機械化部隊を創設すべきであると主張し、イギリスでは、一人チャーチルが、ドイツ空軍に対抗するにはイギリス空軍を増強しなければならない、と主張していた。
 しかし、ドゴールは、マジノライン創設者のペタン元帥に嫌われフランス陸軍から追放された。
また、チャーチルは、戦争屋、お騒がせ屋と呼ばれて無視され続けた。
 その結果、ヒトラーは、野望の赴くままに暴れ回り、非武装地帯のラインラント進駐からオーストリー併合とズデーデン地方併合の後に、遂に突如ポーランドに進撃してヨーロッパは第二次世界大戦に突入したのだ。
 この戦争への経過の中で、フランスがドゴールに従い、イギリスがチャーチルに従って、独裁者と宥和しなかったならば、第二次世界大戦は勃発しなかった。
 従って、チャーチルは、大戦後、「この戦争はしなくてもよい戦争であった、平和主義者がこの戦争を作った」と回顧した。

 そこで、現在の東アジアに戻る。
 現在の我が国には、1930年代のヨーロッパに存在したチャーチルの名付けた「戦争をつくる平和主義者」がはびこっている。
彼らの一部は二年前の国会周辺や今の沖縄の基地の周りにたむろしている。
彼らは、戦争をつくるという意味で、中東のISのように危険である。
 その中で、我が国の政治は如何に動いてきたか。
その典型的事例が、十二月二十六日に報道されていた。
 
 我が国の防衛大臣が、新年にグアムを訪問し、アメリカの髙高度防衛ミサイル(THAAD)を視察する予定を、ロシアに配慮して断念したという。
その「配慮」の切っ掛けは、十二月十五、十六日に来日したロシアのプーチン大統領が、アメリカ主導のMDミサイル防衛に懸念を表明したからだという。

 この報道は、事実と共に我が国の病理を報道している。
我が国外交は、ロシアのプーチンと安倍総理の親密さをアピールするあまり、ロシアの構築しつつある軍事面に目をつぶり、見て見ぬふりをしている。
そもそもプーチンは、我が国の領土である国後と択捉にミサイル基地を建設しながら何食わぬ顔をして来日し、我が国のMD構築に懸念を表明しているのだ。
強盗が、家に上がり込んで、戸締まりを厳重にすることに「懸念」を表明すれば、それに「配慮」するのか。
反対ではないか、
相手が懸念を表明すれば、すかさず、こちらの懸念を表明し、国後と択捉のミサイル基地を撤去せよと要求するべきではないか。

中共が我が国の南方の南シナ海で軍事基地を建設しているのに呼応するかのように、ロシアは我が国の北方領土に軍事基地を建設していることに何故注目しないのか。
昨年の我が国領空に接近するロシア軍機に対するスクランブル発進は288回、であることを念頭に置いてプーチンに対処すべきであった。
(中共軍機に対するスクランブル発進は571回)
そして、同じ二十六日、中共の空母が宮古島沖を通過して西太平洋に進出したと報じられている。
我が国の対中・対露の「友好路線」は、その目的とまさに逆の結果をもたらしている。

北朝鮮に対してはどうか。
我が国(外務省)の方針は、未だに、小泉総理と金正日の交わした「平壌宣言」に固執している。
その「平壌宣言」の目的は、「日朝国交樹立」つまり友好路線であり、拉致被害者救出ではない。
これは、拉致被害者と家族そして国民を欺く欺瞞ではないか。

日航機ダッカハイジャック事件の時のように、アルジェリアのイナメナスそしてシリアにおけるISによる邦人殺害の時のように、北朝鮮に拉致された日本国民の救出、その一点に、真剣に取り組まねばならないのに何故、国交樹立を主目的にし続けるのか。
これは、日本人を人質に取った核とミサイルをもつISに金を渡して友好を深めようとするに等しい。

 以上、北から、ロシア、北朝鮮、中共に対する我が国の唖然とする甘さが極めて危険な状況を生み出していることが、遂に目に見えてきた平成二十八年であったと言わざるを得ない。
 このままでは、チャーチルの警告が、東アジアで再現される。
 来たる平成二十九年は、この東アジアの激動に対して、我が国は、身に寸鉄を帯びずに対処する覚悟を固めなければならない。

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