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「小悪魔ageha」における「地方志向」の正体

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(「週刊メルマガクリルタイ」Vol.57 (2010/09/01 配信分) の原稿を再掲)

今回の話は「.review」の論考『ライフスタイルとしての「小悪魔ageha」と「森ガール」分析』の中で特にage嬢の中に見られる「地元志向」について考察してみたものである。

http://dotreview.jp/blog/2010/04/07/co_article006/

age嬢の二つの志向性



age嬢の中には歌舞伎町や六本木などのトップクラスキャバクラで成功することを目標とする人たちもいる。一方で、あくまでも地元で活動し、地元から出ない方向性を持つグループもいる。

典型的なのが2008年11月号の特集記事である。「小悪魔ageha」には目次がないので正式なタイトルがどこからどこまでなのかわかりにくいが、表紙のポエムによれば「夜に生きる 昼に生きる 私たちが今、生きている街'08 息をするのも疲れるけど、この街のネオンの下を選んだ。ここが私たちの本当の目的地ではないけれど」という特集である。

東京志向組は、六本木の早川沙世。銀座の山口幸乃。歌舞伎町のりん。また、山口県床波のエステティシャン木下布美子は、「東京へ行きたい」と語っている。

中間的存在として、関西圏や名古屋で活躍するグループがいる。ミナミの姫崎クレア、キタの姫乃蓮、祇園の百合華、神戸のフリーターみきてぃ、名古屋の水野有美。このほか、ageha専属モデルとなった桜井莉菜(さくりな)も大阪出身である。東京との対抗心を持ちつつ、大都市の繁華街での成功を目指すタイプがこれだ。

そして、地元密着型のモデルたちが挙げられる。この特集では札幌の黒瀧まりあ、仙台の純恋(すみれ)、千葉のトレーラー運転手渡辺かなえ、新潟の木村るい、静岡の桃華絵里、広島の貴咲愛鈴がいる。

もう一つ例を挙げよう。2010年2月号の「ちょうちょの夜物語」小特集は二章に分かれている。

第一章「地元ちょうちょの日常」では広島の貴咲愛鈴、熊本の城咲美華、福島の遠藤彩香、福岡の吉川ぐり・吉川ぐら、鳥取の双葉、山口のMA*RS嬢ありすん、愛知の成愛唯乃・成愛恋。

第二章「歌舞伎ちょうちょの憂鬱」では8人のage嬢が紹介されている。

このようにage嬢には「地元」派と「歌舞伎(六本木)」派が共存している。

私自身が奈良生まれの奈良育ち、高校が泉州、予備校が難波、大学が京都というコテコテの関西人であるため、「東京がナンボのもんや、東京だけが世界とちゃうで」という地元郷土愛精神というのは理解できる。一方で、「上昇志向があるなら東京に出て当然、田舎でくすぶっていても仕方がない」という考え方も世の中には存在している。

ここで地元志向と中央志向について『ケータイ小説的。』(原書房・2008年)で示された速水健朗氏の分析をおおざっぱにまとめておこう。それは「ヤンキーは地元志向、ギャルは中央志向」という傾向だ。

リンク先を見る
ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち
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だが、age嬢はその両方の要素を兼ね備えていると思われる。実際、age嬢には、雑誌「egg」に代表されるギャル系と、浜崎あゆみに代表されるヤンキー系の両方の文化要素が入り込んで混在している。だとすれば、地元志向と中央志向が共存していても、何ら不思議なことではない。

……と片付けるならば、少々結論を急ぎすぎているようだ。もう少し詳しく見てみよう。
中央志向が当然でもおかしくないage嬢たちは、なぜ地元にとどまるのか。

ももえりと「地元」



地元が好き、地元で生きる―それが彼女たちのあるグループにおいては重要な「自分らしさ」のアピールポイントとなっている。

最も典型的な例として、「小悪魔ageha」のモデルを卒業した静岡の桃華絵里(ももえり)が挙げられよう。バツイチ・シンママ(シングルマザー)の静岡キャバ嬢であり、人気ageモであった。その後、キャバをやめて専属モデルとなるが、2009年6月号で卒業。自ら設立した会社・ブランド「Moery」での活動に専念しているが、本拠地を静岡に置き続けている。

先に挙げた特集でも「この先一生静岡から離れて暮らすことはないっていう確信があるんだ」「私は本来生まれた場所に根を張って生きるタイプ。地元密着型の人間なんだ。それに心のどこかで、地方で頑張ることに意味があるとも思ってる」と語っている。

シンママキャバ嬢からageモとなり、さらに起業したという典型的成功例を背景に支持を集める「桃華絵里」というブランドを前面に押し出したファッションショップを展開している。その中で、単に夜嬢のファッションをサポートする商品だけではなく、「ももえりプロデュース焼津魚河岸シャツ」を展開するなど、地元性も一つの柱にしている。

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