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セルフ・エスティームを失うこと

 更新がとどこおりがちですみません。でも、アクセス数が意外と落ちていないことに驚いています。皆様に感謝しています。
 すでに書いたものを読み直していたら、自分でも「いいことを言う」と思うことに出会いました。「放射線、原子力、核兵器」の一部です。

> 教育だけが、人類を恐怖から解放する可能性を持っています。
> あまりにも単純なことです。子どもを恐怖に訴えて動かそうとすることをやめましょう。賞罰、競争、脅しに訴えた教育をやめましょう。子どもに対する、心ないド突きやからかいをやめましょう。

> 恐怖がないときに、人間は、事物とも他人とも、心を通わせて生きることができます。それは、欲しい物に目を血走らせたエネルギーではありません。理解と共感の中に、とてつもないエネルギーがあります。

 なぜ、恐怖があるのでしょうか。小学生のとき、そして中学生のとき、この問題と真剣に向き合っていたときの感覚を、想い出します。あのくらいの年齢は、実際に感じていることをごまかすのがうまくないのです。内面に嵐があるなら、その嵐のなすがままです。
 学校は、恐怖の場でした。学校の秩序はただの賞罰秩序で、なんの潤いもない。先生が見ていなければなにが起こるかわからない。

 なぜ恐怖があるのか、子どもの時はわかりません。
 私は、学校では適応できていました。明るく元気なほうでした。学校からは逃げられないから、そこで明るく生きるしかないのです。
 でも、一人になったときに、無価値感や寂寥に襲われる。そんなとき、押し入れに閉じこもるときもあるし、虫や草を相手にするときもあります。
 いまになると、その無価値感や寂寥をごまかさずに生きていたのは大事なことでした。それで、大事なものは失わないですみました。大事なものというのは、自己欺瞞なしに生きるということです。

 享楽的なものや強い刺激によって無価値感や寂寥を紛らすようになると、その人は偏見や先入観が多くなりますし、人とのコミュニケーションも独善的になりがちです。これは、子どもでも大人でも同じです。理想や将来像によって紛らすのも同じです。

 私も、大学生くらいになって、自分に対して言葉でいいくるめることができるようになったら、深い迷路に入り込みました。

 教育関係の仕事に携わって発見したことがあります。子どもの恐怖は、騒がしい行動が多くなるか、セルフ・エスティームの低下となって現れることです。
 小学生も、中学生も、生きるのがつらくなったとき、学校に問題があると思うことはできません。なにかトラブルがあると、自分が悪い子だから、と思うものなのです。これは、家庭生活でもそうです。親が悪い、と思えるのは中学生くらいの年齢で、それまでは、自分のせいだと思うものなのです。十歳にもなると、親に向かってずいぶんと憎まれ口をきくものですが、でも親への基本的な信頼は失っていません。

 小学生くらいまでの年齢は、依存の中で生きています。もし依存できる人がいなくなったら、親や先生がろくでなしの人間だと思わなければならなかったら、それはたいへんに不幸なことだと思います。

 子どもは大人を批判するかわりに、セルフ・エスティームを失ってしまうのです。子どもが自分はいけない子だと思っていたら、その子は恐怖に囚われているし、「忘れられた子」になっています。ほんとうのその子自身のほとばしりのところを、生きられなくなっているのです。
 「忘れられた子」に甘んじる子もいます。「問題児」のほうがまだましだと、トラブルを起こす子もいます。

 先生たちも親たちも、「よい子だったか」と「達成したか」に捉われすぎているのです。あるいは、他のなんらかのマニュアルに捉われすぎているのです。
 あるいは、ただ単に忙しくて子どものことを忘れているのです。

 生きる真実も、生きるエネルギーも、教育目標として実現することはできません。子どもとの現実の関係の中でしか、お互いの心の素早い動きの中でしか、見つけることはできません。「生きる力」を高所から言ってもしょうがないのです。
 セルフ・エスティームを失った子どもに、関心を注ぎましょう。いっしょに生きましょう、いっしょに戯れましょう。学校はたくさんの子どもを見ていてそれは不可能だというなら、見ることのできる人数にまで減らしましょう。学校に頼らずに、教育が街の片隅からでも生まれることが出来るようにしましょう。

 われわれが恐怖から解放されないかぎり、集団や個人間の闘争、憎しみ、殺し合い、からの解放は難しいのです。

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