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「沖縄特別法」を考える… - 鈴木耕

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 日本国憲法第95条は、次のように定めている。

 第九十五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

 ただし、これに関しては「米軍基地は日本各地に存在するのだから、第95条が言うように『一の地方公共団体のみに適用』されるわけではない。したがって、沖縄だけの『特別法』はこの条文にはそぐわない」という批判が必ず出てくる。
 だが、米軍専用基地の70.6%は、日本の総面積のたった0.6%しかない沖縄に集中している(注・12月22日に日本に返還されたと日米両政府がお祭り騒ぎの返還式を行った約4000ヘクタールの北部訓練場を入れても、74.5%から70.6%に減ったに過ぎない)。
 つまり、この辺野古の米軍新基地建設がいかに沖縄にとって過重な負担になるかは、他の日本各地の比ではないのだ。
 これ以上の新たな米軍新基地建設は、明らかに沖縄県という「一の地方公共団体のみ」の問題である。だとすれば、国は「沖縄県における辺野古新基地建設に関する特別法」をきちんと提起して、95条にあるように「その地方公共団体の住民の投票」にその意志を委ねるべきだ。住民投票を行って、その結果が「辺野古新基地建設容認」というのであれば、堂々と工事着工すればいい。それが正しい手続きというものだろう。そうでない限り、この対立は延々と続くことになる。
 多分、この意見に対しては、日米安保条約の条文を持ち出して反論する人も出てくるだろう。日米安保条約第6条が次のようになっているからだ。

 第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍および海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。(以下略)

 つまり、米軍は日本国内の施設や区域を(自由に?)使用できる、と定められているのだ。もし条文を厳しく適用するなら「海兵隊はこの条文に含まれていないから、海兵隊が使用する辺野古の新基地は違反だ」ということもできるはずだが、そんなことが日米政府に通用するわけもない。
 もはや、日本政府においては、自国の憲法よりも日米安保条約や日米地位協定のほうが上位法であり大切なものだと思い込んでいるかのようだ。
 しかし、何度でも声を大にして叫びたいけれど、沖縄は日本なのだっ! ならば、日本国憲法を第一に適用すべきではないか。誰が何といおうが、沖縄は日本なのだから。

 もうひとつ。
 このように書くと、いわゆるネット右翼らしき人たちの攻撃にさらされる。それは「沖縄から米軍基地をなくして、中国にどう対処するのか。抑止力はどうなるんだ」というもの。きちんと沖縄県の主張を確認していないから、こんな批判が出てくる。
 沖縄県がいま訴えているのは、翁長知事が繰り返しているように「辺野古に米軍新基地を造らせない」ということであって、「沖縄の全米軍基地の撤去」ではない。「これ以上の負担押しつけに反対」と言っているだけだ。
 例えば、沖縄の嘉手納米軍基地(弾薬庫を含む)だけでも、日本本土の横田・三沢・厚木・岩国・横須賀・佐世保の米軍基地をすべて合わせたよりも広いのだ。その嘉手納基地などが存在する限り、抑止力(そんなものがあると仮定して)がなくなるという批判など、まったく当たらない。
 だが、安倍政権のゴリ押しが続けば、いずれ「全米軍基地撤去を」という叫びが、沖縄から起きてくるに違いない。
 強圧は抵抗を生む。

 考えていると、なんだかとても腹立たしくなる。いつの間にこの国は、いい加減なリクツがまかり通る国になってしまったのだろう。いつから、日本国憲法よりも外国との取り決めが上位になってしまったのだろう。

 今年は、もう数日で終わる。
 最初に書いたように、デモクラTV出演者たちが選んだ「今年の漢字」は、あまり嬉しくないものばかりだった。
 せめて来年は、「優」しくて、「柔」らかで、「静」かで、「穏」やかで、そして「楽」しい漢字で締めくくれるような年になってほしいものだと思いつつ…。

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