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糸魚川大火 木造密集地域の対策が急務だ 

新潟県糸魚川市の大規模火災から、あす29日で1週間。年の瀬に自宅や店舗を突然失った被災者の一日も早い生活再建を祈らずにはいられない。と同時に、今回の火災について多様な角度から検証し、得られた教訓を各地で共有する必要がある。

1軒の飲食店から広がった火災は、焼失面積が約4万平方メートルに及ぶ近年では異例の規模となった。144棟が焼け、うち120棟が全焼。約200人が被災した。

これほどの大火となった要因は、強風や乾燥という悪条件が重なったことに加え、木造建築物が密集していたことが大きいとされる。全国各地にも同様の地域は多く、対策が急務だ。

国は2012年、地震などによる火災の危険性が高い密集市街地として、全国197地区5745ヘクタールを指定し、20年度中の解消をめざしている。しかし、15年度末時点の進捗率は約2割にとどまる。

全国で最も多い69の指定地区を抱える東京都は、木造住宅密集地域における古い建物の除却費や建て替えのための設計費用の一部を助成している。こうした取り組みを各地で展開してはどうか。

糸魚川市の消防長が「絶対的な消防力がこの火災に対して不足だった」と認めるように、消防能力が十分でなかったとの指摘も見逃せない。さらに、道幅が狭く初期消火に難航したという。こうした地域では消防バイクの活用も検討したい。

被害が広範囲に及んだものの死者が出なかったのは、防災行政無線や地域住民による声掛けが早期避難につながったとの分析もある。各地の防災無線は十分に機能するか。「共助」の体制はどうか。ソフト・ハード両面でチェックが必要だ。

市消防本部は出火の約1時間半後、近隣自治体に応援を要請、19の消防本部が駆け付けて鎮火にこぎ着けた。日ごろからの連携体制の重要性が再確認されたといえよう。

糸魚川市は1928年や32年にも大規模な火災に見舞われているだけに、住民の防火意識も高いとされている。それでも今回の大火となった。今後も全国的に乾燥した日が続く。まずは身の回りの防火対策から見直したい。

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