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2016年に読んで、面白かった本ベスト10

2/2

4位 『腰痛探検家』高野秀行

腰痛探検家 (集英社文庫)

腰痛探検家 (集英社文庫)

自己啓発と婚活と腰痛病院 - チェコ好きの日記

高野秀行さんの本、私はすっごく好きなのだけど、きっとこれを読んでいる人の中には「辺境とか興味ねーし」という人もいるだろう。そんな人におすすめしたいのが『腰痛探検家』。世界中のありとあらゆる辺境を旅してきた高野さんだけど、無理が祟ったのかひどい腰痛になり、東京中の整体・病院・マッサージを渡り歩くことになってしまう。

私はこの本を、今、仕事や恋愛に悩んでいる人にぜひ読んでみてほしいと思っている。仕事や恋愛に悩んでいる人に辺境ライターの腰痛本をすすめるとは前代未聞もいいところだと思うが、しかしこれは本当にそういう本だ。整体師、医師、鍼師、だれを信じればいいのかわからない。何が本当なのかわからない。そんな中で、高野さんが何とか自分の力で、オンリーワンの腰痛治療法にたどり着くという感動・涙・全米が泣いたエッセイだ。私はこの本に「世界の真実が書いてある」と強く主張しているのだけど、残念ながら同意してくれる人はまだいない。

3位 『ひと皿の記憶:食神、世界をめぐる』四方田犬彦

ひと皿の記憶: 食神、世界をめぐる (ちくま文庫)

ひと皿の記憶: 食神、世界をめぐる (ちくま文庫)

映画批評家の四方田犬彦さんが著者のこちらの本は、並の食エッセイとはちょっとスケールがちがう。幼少時代に食べたお菓子や大阪や金沢の美食から、韓国、インドネシア、コソボ、イタリア、フランス、ノルウェーなどなど世界の食べ物について書かれているのだけど、道楽として食の贅沢を楽しむにとどまっていない。世界には様々な食文化があり、食と民族、食と政治、食と宗教などといったテーマにかなり深く切り込んでおり、文化人類学の本としても読める。

四方田さんの凄いところは、食べる専門ではなく、やはり自分で実際に料理をしてみているという点にあると思う。フォアグラを食べたことのある人は世に腐るほどいるけれど、はたしてフォアグラを市場で割安で買ってきて、自分で調理をしたことがあるという人はどれくらいいるだろうか? あと、「イタリア語を勉強するためにイタリアに語学留学するだけでなくイタリアの料理教室に地元の主婦に紛れて通った」などというエピソードはなるほど、と思う。

しかし、幼少時代のエピソードなどをしっかり読みすぎてしまうと、「やっぱ四方田さんは金持ちのぼっちゃんだからな。庶民とはちがうんだわ〜」などと思ってしまい、卑屈になるので注意。少なくとも私はこの本に出てくるような上品な菓子は食っていなかった。

2位 『西南シルクロードは密林に消える』高野秀行

西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫)

西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫)

私がいちばん好きな、高野秀行さんの本。途中まで絶対にこれが2016年の1位だと思っていたのだけど、先月バリ島旅行中に読んだ『ヤノマミ (新潮文庫)』がいい本すぎたので、泣く泣く1位を譲る。30代後半の高野さんが、中国・四川省の成都から、ミャンマー北部を通過、インドに到達するという「幻の西南シルクロード」を4ヶ月かけて旅した記録である。

「シルクロードの旅か〜快適そうでいいな〜〜」と一瞬でも思ったあなたは、今すぐ土下座して謝ってほしい。このあたりは政情が複雑で、一般旅行者はまず立ち入ることのできないエリアである。反政府ゲリラと共に身分証を偽造する密入国の旅、しかも象に乗って進む行程は過酷すぎるアジアのジャングル。そして衝撃のインド。高野さんがなぜ死んでないのか不思議である。シルクロードという綺麗なタイトルがついてしまっているので表向きはわからないけど、この旅、『アヘン王国潜入記』のさらに2段階くらい上を行くハードさだ。

1位 『ヤノマミ』国分拓

ヤノマミ (新潮文庫)

ヤノマミ (新潮文庫)

私が今年いちばん感動した本について。:国分拓『ヤノマミ』 - チェコ好きの日記

というわけで、2016年に読んでいちばん面白かった本は、国分拓さんの『ヤノマミ』。すでに感想を書いてしまっているので詳しくは語らないけど、本当にいい本だった。民族と記憶とか、民族と呪術とか、どうして私はこの世界に生きているのかとか、生きることはなぜ苦悩が伴うのかとか、真面目なことをいっぱい考えた。

来年もまた、面白い本にたくさん出会えたらいいなと思う。いやしかし、自分に嘘を吐かず、正直にランキングを考えたら、「不良に憧れる中学生」みたいになってしまいとても恥ずかしい。

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