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2016年に読んで、面白かった本ベスト10

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12月になると毎年自分でやっている、恒例の「今年読んで面白かった本ランキング」。完全に自己満足だけど、これを書かないと気持ちよく年を越せない気がする。ちなみに昨年のランキングはこちら。

aniram-czech.hatenablog.com

今年はいろんな本に手を出してしまい、あまりにも絞りきれなさすぎたので、昨年ベスト5だったのを2倍にして、ベスト10にしてみた。なのでちょっと長いけれど、まずは10位から振り返ってみようと思う。(※2016年に発売された本ではなく、2016年に私が読んだ本です。)

10位 『アヘン王国潜入記』高野秀行

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アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

まずは辺境ノンフィクションライター・高野秀行さんの『アヘン王国潜入記』から。今年私は高野さんの本にどハマりしてしまい、このランキングも本当は10位から1位まで、すべて高野本にしたい勢いだった。が、それではさすがに芸がないので、「高野本は3冊まで」というルールを設けてランキングを作成することにした。つまり、この後まだ2冊高野本が登場する。

それはさておき、『アヘン王国潜入記』は、ミャンマーの国境付近でアヘンを密造している(いた)「ゴールデントライアングル」という地帯に高野さんが潜入、7カ月滞在し、その様子を綴ったルポである。あらすじを読むと「反政府ゲリラ」に「アヘン」にと、ヤバそうな単語が並ぶのでどんな禍々しい書かと思うのだが、高野さんはケシ栽培を行なう村の人々をとってもハートフルに、ユーモラスに描いている。ゲリラとの交渉からインフラがまるで整っていない辺境での滞在、そして取材のために自らアヘン中毒になるという体当たりすぎる姿勢に、「これが、本気の、本気の、本気の旅か……!」と非常に感銘を受けた。私もこういう旅がしたいんだ! と強烈に思ったのだけど、いかんせんハードルが高すぎる。ちなみに高野さんはこの後、アヘン中毒を脱するためにアル中になったそうだ。

だけど、『クレイジージャーニー』などのテレビ番組をご覧になった人はわかると思うのだけど、高野さんは決して「屈強な男」という感じの人ではない。いつもニコニコしているし、なんならめっちゃいい人そうだ。道とかすごく親切に教えてくれそうでもある。そこがまたカッコイイなあと思う。

9位 『奇界紀行』佐藤健寿

奇界紀行

奇界紀行

写真家・佐藤健寿さんが珍しく写真より文章多めで綴った旅行エッセイ。台湾、アフリカ、南米、はては奥多摩の話まで載っている。私がいちばん好きな話は、佐藤さんが占い師の警告を無視してタイの海に潜ったら、溺れて死にかけたというやつ。あとは、アフリカで霊感商法に騙されそうになったという話も。アフリカの呪術師市場は私もいつか行ってみたいと思っていて、ワニとかフクロウの死骸や、得体の知れない動物の骨が売られているところを生で見てみたいなあと思う。ちなみに、この本に書いてあるインドネシアで有名なジャコウネコのうんちコーヒー、コピ・ルアクは私も現地で飲んでみた。けっこう美味しかったし、知人にお土産で買って行ったのもわりと好評だったように思う。

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(※バリ島。コーヒー豆をすりつぶしているところ)

8位 『世界屠畜紀行』内澤旬子

世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)

世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)

肉は毎日のように食べているけれど、牛や豚が解体されるところは見たことがないという人は多いはずだ。ノンフィクションライターの内澤旬子さんが世界を旅して「屠畜」に迫った禁断のルポである『世界屠畜紀行』は、写真こそないものの、内澤さんによるイラストで、解体や食肉加工の詳細を知ることができる。

この本で内澤さんは、東京にとどまらず、韓国、バリ島、エジプト、他それぞれの国・地域で食肉業を営む人々が、どのように差別感情と闘っているかなどを書いている。かなり差別意識が強い地域もあれば、生活にゆるやかに同化していて「なんで? だってみんな肉は食べるでしょう?」って感じの地域もあり、その差を作り出しているのが宗教なのか、あるいは偶然なのか、読んでも実はよくわからない。

バリ島とチェコはそういった差別意識の弱い地域だそうで、確かに、バリ島では絞めた鳥を持って歩いている人が普通にいた(下の写真)。チェコも、私は昔研究していたので覚えているのだけど、映画の中で普通に鳥を絞めるシーンがあった。見慣れてないので一瞬「うわっ」と思うのだけど、映画はその後も普通のテンションで展開していった。「シュールだな〜」と思っていたのだけど、その謎が解けた気がする。

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7位 『優雅な獲物』ポール・ボウルズ

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優雅な獲物

美しい歌声をもつ者は、やがて惨たらしい死を遂げる/ポール・ボウルズ『優雅な獲物』 - チェコ好きの日記

詳しい感想は以前書いたので割愛するけど、ポール・ボウルズを読むと、モロッコを旅したときの楽しさが2倍になる。ボウルズの描く、「あまりにも遠くへ行きすぎたために、もはや帰還が不可能になった旅行者」という主題が私は大好きだ。

しかし「帰還が不可能」ということは、ボウルズの時代ならいざ知らず、インターネットでどことでも繋がることが可能になった現代ではほぼ「死」とイコールである。ポール・ボウルズの小説のような旅行がしたい。死にたくはないけれど、死の直前、あるいは生のギリギリまで行ってみたい。これは危険思想だろうか。ポール・ボウルズの文学は、「ハマったらダメ、でもハマっちゃう」というなんともヤバイ魅力に溢れている。ヤバイ。

6位 『インドへ』横尾忠則

インドへ (文春文庫 (297‐1))

インドへ (文春文庫 (297‐1))

【日記/42】ヒッピー文化、わかりました|チェコ好き|note

これも実は以前に感想を書いているので詳しくは省略するけれど、画家の横尾忠則がインドを旅したときのエッセイだ。とりあえず登場するのは薬物、薬物、薬物。ニューヨークでラリった後にインドでドラッグをやるとは、ヒッピー文化ここに極まれりという感じである。だけど、横尾忠則自身はヒッピー文化ど真ん中に浸りながらも、最終的には「ヒッピーなんて全然自由じゃない。こんなのは自由とはいわない」みたいな結論を出していて、そこが私としてはすごく好きだ。

5位 『東京を生きる』雨宮まみ

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東京を生きる

感想文:雨宮まみ『東京を生きる』 - チェコ好きの日記

これも先日感想を書いたばかりなので詳しくは割愛。私は実は雨宮まみさんの『女子をこじらせて』が苦手だったのだけど、『東京を生きる』はもっと普遍的に、女性だけでなく、男性にも読める本なのではないだろうか。だけど逆に、すごく個人的な心情について書かれているので、「私の苦しみを代弁してくれた!」みたいなことにはならないのではないかと思う。そして、『東京を生きる』が好きな人にはぜひフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』と『夜はやさし』、そして『マイ・ロスト・シティー』を一緒にすすめたい。

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