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世論形成の生態系と大臣会見開放

 鳩山由紀夫首相が辞任を表明した。そのことに対する感慨は特別ない。冷静に考えてどうやっても現行案の修正なんか無理だろという米軍普天間基地の移設問題に手を付けた上に解決の期限を設けた時点で既に結末は見えていた。しかし、僅か八ヶ月前の衆議院選挙で300議席を超える圧勝をした政権が、あっという間に支持を失っていく(とされる)ことには、多少の考察が必要なように思われる。

 東浩紀氏がtwitterで現行の選挙制度に疑問を呈し「システム根本から見直すしかないじゃん」とおっしゃっていた(参照)のに、Parsleyも賛同する。だが、現状では選挙制度改革は議論の俎上に乗ることすら難しいのではないか。

 それ以上に私が気になるのが、世論醸成装置としてのメディアの存在、である。

 NHKニュースを見ていると、街の声で50歳前後の男性が「事業仕分けまではよかったけど…」といった発言をされていた。確かに、その頃まではテレビのワイドショーなども蓮舫議員が勇ましく既得権益に切り込むの図をしきりに放映していたし、政権にとって「見栄え」のいい報道がなされていた。その後は、マスコミの報道が小沢幹事長の資金問題や沖縄問題(安全保障問題、でなく)に移ってしまい、一気に支持率も下がっていった。小沢vs特捜では、前者に近い週刊誌などは、特捜バッシングもしていたので、政権にとって決定的な打撃にはならなかった。が、沖縄の「迷走」が繰り返し報道されたことが、政権にボディーブローのように効いていたのだろう。

 それにしてもだ。結果として辺野古移設案って安全保障的に最適解なはず(だって、尖閣諸島という係争域が目と鼻の先にあるんですよ?)。それで政権が一つ潰れる程の事案だったのか? あえて疑問を呈したい。

 要するに、政治家の皆様もテレビ・新聞・雑誌といったオールドメディア=世論、と捉えているようなふしが感じられてならない、ということ。

 各種世論調査が出す支持率って、本当に「世論」が反映されているのか。「報道」されていること以外の、主にネットで流れている情報に気を配らないで済むのか。いずれにしても、オールドメディアの「報道」が、政治家の方々の「判断」を左右しているのだとすると、各メディアの地盤沈下が著しい現在においては、様々な読み違いの原因になるのではないか。

 そういった意味でも、例えばニコニコ生放送やtwitterなど、新たな世論形成の生態系も出来上がるつつある中で突入する次の参議院選挙は注目しなければならないだろう。

 さて、鳩山政権化での数少ない実績の一つに「大臣記者会見オープン化」がある。

 個人的には、次期政権に変わることで、もとのクローズドな会見になる懸念は少ないだろうと考えている。大臣(トップ)主導で官僚を動かして一度開いてしまったドアをまた閉じるというような方針転換をするエネルギーに割く余力があるとも思えないし、なによりどんな手を使っても支持率に拘泥するのなら、「オープン」というところに拘るんじゃないかな?

 それよりも、「記者」会見の「オープン」、というところで、全て開放されているような印象が流れることは、木っ端ブロガーとしては非常に面白くない。ほとんどの省庁は、会見参加者のガイドラインを一番最初にオープン化に踏み切った際の外務省のものを準拠している(拙ブログ参照)。

 日本インターネット報道協会の神保哲生氏にお伺いしたところ、協会に個人で入会したとしても、会見出席の是非を判断するのは官庁側だという。その出席の線引きを官庁で行っている、ということ自体にも是非があるし、「報道目的」ということに限定しているのも、現在の情報流通の実態にそぐわない感じが拭えない。

 神保氏は、4月25日に開催された新聞労連のシンポジウム「記者会見は誰のもの」で、報道以外の、例えば証券情報を得るための情報収集の場になるとまずい、といった趣旨の発言がなされていた。

 しかし、先に挙げたニコニコ生放送やUSTREAMなどで手軽に同時中継が誰にでも出来る環境になっている現状、衆人環視の中で、自説を大臣に向けるような質問者は糾弾され淘汰されるだろう。もちろん、閣僚就任会見で「靖国に参拝されますか」と訊く職業記者も同様だ。

 また、大臣個人の意向で開くのではなく、あくまで省庁内で記者クラブもしくは官庁がオフィシャルに会見を開く場が、オープンである、ということが重要だ。

 5月12日に開かれた亀井静香金融・郵政改革担当大臣の「オープン市民会見」は、「会見」というよりも講演会や支持者の会合に近い空気だった。記者会見に漂う緊張感が、政治家側にも質問者にもある程度感じさせるような場になるためには、政治家が主導する私的な空間ではなく、なんらかの公的な担保がある場が用意されることが望ましいだろう。

 この大臣会見も、オールドメディアに替わる世論形成の生態系を担うことになるだろうし、そうなるべきだとParsleyは思うのだけど、それはまた別に機会に。

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